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結像光学装置 コモンズ

国内特許コード P04A004644
整理番号 Y01-P298
掲載日 2004年8月27日
出願番号 特願2001-325067
公開番号 特開2003-131138
登録番号 特許第3942861号
出願日 平成13年10月23日(2001.10.23)
公開日 平成15年5月8日(2003.5.8)
登録日 平成19年4月13日(2007.4.13)
発明者
  • 生田 孝
  • 志水 隆一
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 結像光学装置 コモンズ
発明の概要 球面収差や色収差を含んだ光学系の下で、両収差の影響を除去した高分解能観察が可能な結像光学装置を提供する。波動性ビーム〔光波を含む各波長域の電磁波、音波(超音波)、電子ビームや荷電粒子ビームなど〕を使用した球面収差や色収差を有する結像光学装置において、焦点はずれ量を一定範囲内で連続的に変化させながら観察像を積算する(焦点移動平均,色収差と等価)。焦点はずれ量の可変範囲が球面収差係数で決まる値に比べ十分に大きければ、積算画像は焦点深度が深くなることに加えて、光学系の球面収差(回転不変型波面収差)の影響を受けなくなる。しかしながら、この際、積算画像は中・高域空間周波数成分が抑制されるので、これを回復し、鮮明な像を再生できるように、中・高域空間周波数強調フィルタリングを適用する。これにより球面・色両収差の影響が除去され、かつ付随的に焦点深度の深い観察像を再生することができる。
従来技術、競合技術の概要
従来、光波を用いる光学顕微鏡、望遠鏡、カメラなどを代表として、電磁波、音波、電子ビームや荷電粒子ビームなどを用いた波動性ビーム結像光学装置が広く実用化されている。よく知られているように、結像光学装置を構成する広い意味でのレンズには各種の収差が含まれている。とりわけ回転不変型波面収差として分類される主球面収差と高次球面収差は、光学結像装置の解像力を決める極めて重要なファクターである。
【0003】
さて、光波を用いる光学顕微鏡や望遠鏡、カメラなどでは、光学系を構成する凸レンズに凹レンズを組み合わせることで、わずかに高次球面収差が残留する程度にまで主球面収差を除去することが可能となっている。しかしながら電子ビームや荷電粒子ビームなどを用いた顕微鏡で使用される磁場型や静電型レンズには原理的に凹レンズが作り得ないという欠点があるため、光学レンズで行われているように凸凹レンズの組み合わせで球面収差を除去することが出来ない。
【0004】
このため、この種の顕微鏡における高分解能化の努力はまずレンズの球面収差係数低減に注がれてきた。しかしながら現在、この方向での努力は材料、技術の両面で限界に直面している。このため今日達成されている分解能は波長限界からみて、はるかに低いところに留まっている。
【0005】
一方、原理的に異なる手段で凹レンズを作り、凸レンズと組み合わせて球面収差を補正しようとする試みがいくつか報告されている。例えば、静電型電子レンズの一部に導電性を有する薄膜を挿入して凹レンズを構成する方法や、非回転不変型の多極子レンズにより球面収差補正を実現する方法が挙げられる。とりわけ後者の多極子レンズによる球面収差補正光学系は最近、透過型電子顕微鏡に適用され良好な結果を得ている。しかしながら、この方法は原理的に高次球面収差を完全補正できるわけではない。
【0006】
もう1つの方向として、球面収差の影響を受けた観察像を画像処理的手段で修復する試みがある。よく知られた例として、ガボアーによるインラインホログラムがあり、これは電子線と光によるインラインホログラムの記録・再生過程において、記録時における電子レンズの正の球面収差係数を、再生時に負の球面収差係数をもつ光学レンズで補償するものである。
【0007】
さらに焦点はずれ量の異なった複数枚の観察像からフーリエ空間でフィルタリング・荷重付き積算演算して球面収差の影響を補正する手法もいくつか報告されているが、実時間収差補正は困難であること、ならびにガボアーのインラインホログラムも含めて強い散乱体からの散乱波相互の干渉縞が球面収差補正の妨げになり、観察対象が弱散乱体に限られることが欠点である。
【0008】
このようなガボアーのインライン電子線ホログラムによる球面収差補正手法の欠点である、弱散乱体試料に限られる問題点はその後、電子線パイプリズムを用いたオフアクシス電子線ホログラムの実現によって改善されているが、いまだ、従来型電子顕微鏡の最高分解能を大幅に上回る球面収差補正効果を示すには至っていないのが現状である。
【0009】
また、先に示した焦点はずれ量の異なった複数枚の観察像を使用する方式の延長として、能動的に焦点はずれ量を変調して得られた観察像を正負荷重付き積算する方式の実時間球面収差補正手法〔T.Ikuta:J.E1ectron Microsc.38,415(1989).,Y.Takai et.a1.:J.E1ectron Microsc.48,879(1999).〕が最近開発されている。
【0010】
これによれば、実時間補正手法であることと、瞬時に振幅・位相像を切り替え観察可能であることが最大の特徴であるが、残念ながら強い散乱体からの散乱波相互の干渉縞成分には誤った補正処理が作用してしまう。このため、観察対象が弱散乱体に限定される。
【0011】
このような画像処理的手段に基づく収差補正法では、一般的に空間的コヒーレンスの高い光源(電子源、波動性ビーム源)によるコヒーレント照明法が用いられる。このような照明法を用いた透過型顕微鏡(光学/電子光学/波動性ビーム光学)で、弱散乱性の試料を用いた場合を考える。この場合、直接透過波の振幅が大きく、後側焦点近傍での干渉縞の形成には主として直接透過波と散乱波の干渉を考えれば良い。
【0012】
そこで、直接透過波の進行方向は判っているので観察された干渉縞の空間周波数から寄与する散乱波の進行方向を決定することができる。これから両波の位相ずれ量の差(波面収差関数の差)を求めると、位相補正がフーリエ空間上で可能になる。これが画像処理的手段による収差補正の基本原理であり、先の電子線ホログラムにも当てはまる。もちろんこのような収差補正適用の前提条件として、結像光学系の波面収差関数が既知である必要がある。
【0013】
また、先に示したように、試料からの散乱が大きく散乱波相互の干渉縞の寄与が無視できなくなると、観察された干渉縞の空間周波数から干渉に寄与した2波の進行方向を特定できなくなり、誤った補正処理が作用してしまう結果になる。
【0014】
さて、いわゆる天体望遠鏡は主として恒星、星雲などの自己発光体を観測する。光学顕微鏡においても自己発光体や蛍光を観察することがある。自己発光体や蛍光では観察対象物上の異なった点から出た光波(波動)は干渉しない(インコヒーレント)。同一点から異なった方向に射出された光波のみが干渉を起こす。
【0015】
結像現象とは観察対象物上の1点1点から各方向に射出する光波が光学系を通じ波面収差関数に対応する位相変化を受けて再度後側焦点近傍で干渉縞を形成、それらが重なり合ったものとして記述できる。空間的にインコヒーレントである光源を観察対象物の照明(インコヒーレント照明)に用いた場合の望遠鏡、透過/反射型顕微鏡、カメラなどもほぼ同様な考え方で結像現象を捉える事が可能である。
【0016】
自己発光体や蛍光の結像と同等の考え方を行える例としては、紫外線、X線励起の光電子を観察する光電子顕微鏡がある。直接透過光(直接反射光)を対物瞳に入れない暗視野顕微鏡(光学/電子光学)の結像もこれに近い考え方を行って良い。このような結像をまとめて以下、便宜上インコヒーレント照明型結像と呼ぶ。
【0017】
以上のインコヒーレント照明型結像に共通した事情として、進行方向が定まった直接透過波などが存在しないことが挙げられる。このため、観察された干渉縞の空間周波数を基にして、干渉縞形成に寄与した2波の進行方向を特定できない(複数の2波の組が同一空間周波数の干渉縞に寄与している)。これは既知の波面収差関数を基にした収差補正手法が適用できないことを意味する。さらに球面収差に加えて結像光学系に波長分散性が含まれる場合、照明光(自己発光、蛍光)の波長広がりによって色収差を生じる。球面収差による分解能低下に色収差が追い討ちをかける形になり、分解能はさらに低下する。
【0018】
幸い光波を用いた結像光学装置では、凸凹レンズの組み合わせと波長分散の異なるレンズ材料を使用することで、球面収差や色収差をかなりの程度除去出来る。
【0019】
このため、インコヒーレント照明型結像に対する両収差補正の必要性は高くなかった。しかし、光波以外の結像光学装置については、原理的に異なる新しい収差補正法の登場が強く嘱望される現状である。
産業上の利用分野
本発明は、球面収差や色収差の無い高分解能な観察像を取得する結像光学装置に関する。本発明により、光学系に含まれる球面収差(回転不変型波面収差)と色収差の影響が除去され、解像力の高い像が再生される。さらに、本発明は光波のみならず、同等の原理で動作する、電磁波、音波、電子ビームや荷電粒子ビームなどを用いた波動性ビーム結像装置にも広く利用できるものである。
特許請求の範囲 【請求項1】(a)波動性ビームを使用した結像光学系と、
(b)該結像光学系の焦点位置に配置された、画像蓄積特性を有する検知器アレイと、
(c)適切な範囲で前記結像光学系の焦点はずれ量を高速に制御する焦点はずれ制御機構と、
(d)前記検知器アレイから得られた画像情報に対する中・高域空間周波数強調フィルタリング機構とを備え、
(e)前記結像光学系の焦点移動平均を通して、観察される干渉縞に寄与する2平面の進行方向が制限され、ここで、2平面波の進行方向と光軸のなす角度の差Δθは、焦点はずれ量の変化幅をΔL、波長をλとすれば、Δθ・ΔL=2λ/sin(θ)になり、焦点はずれ量の中心値をΔf、対物レンズの主球面収差係数をCsとおく時、波面収差関数γ(θ)のΔθによる最大変化量Δγは、Δγ=4π(Cs・sin2 θ-Δf)/ΔLであるレイリーの4分の1波長則となるようにし、前記焦点はずれ量の中心位置(Δf)と焦点はずれ量の変化幅(ΔL)とに基づいて前記結像光学系の焦点はずれ量(焦点位置)を制御し、前記結像光学系の球面収差と色収差の影響除去を行うことを特徴とする結像光学装置。
【請求項2】 請求項1記載の結像光学装置において、前記波動性ビームは、電磁波(光波含む)、音波、電子ビーム又は荷電粒子ビームであることを特徴とする結像光学装置。
【請求項3】 請求項1記載の結像光学装置において、前記検知器アレイは、取り外し可能なフィルム、蓄積プレート又は電気的出力が可能な各種エリアセンサーであることを特徴とする結像光学装置。
【請求項4】 請求項1記載の結像光学装置において、前記焦点はずれ制御機構を、前記結像光学系自体の焦点制御機構、観察対象物の機械的移動機構、前記結像光学系が0でない色収差係数を持つ場合の波動性ビーム波長変調あるいは強制的な外的色収差付加機構、又は等価的に円環状瞳を有する結像レンズに置き換えることを特徴とする結像光学装置。
産業区分
  • 光学装置
  • 電子管
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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