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新規リゾホスファチジン酸受容体 コモンズ

国内特許コード P04P001154
整理番号 A141P09
掲載日 2004年9月14日
出願番号 特願2003-007657
公開番号 特開2004-217577
登録番号 特許第4184097号
出願日 平成15年1月15日(2003.1.15)
公開日 平成16年8月5日(2004.8.5)
登録日 平成20年9月12日(2008.9.12)
発明者
  • 清水 孝雄
  • 石井 聡
  • 野口 響子
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 新規リゾホスファチジン酸受容体 コモンズ
発明の概要 【課題】本発明は、LPAの新規な受容体を提供するものであり、それを用いたLPA受容体拮抗剤などの医薬品のスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】本発明は、Gタンパク質共役型タンパク質p2y9からなるリゾホスファチジン酸(LPA)受容体としての用途に関する。より詳細には、Gタンパク質共役型タンパク質p2y9のリゾホスファチジン酸(LPA)受容体としての使用に関する。また、本発明は、前記した本発明のLPA受容体を用いて、当該受容体に対する作動物質又は拮抗物質をスクリーニングする方法に関する。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


リゾホスファチジン酸(lysophosphatidic acid:LPA)は、グリセロリン脂質の1種であり、グリセリン骨格のひとつの水酸基に脂質が結合した物質である。LPAは、グリセロリン脂質がホスホリパーゼなどの作用により、グリセロリン脂質の2個の脂質部分のうちの1個の脂質部分が加水分解されて生ずる物質であり、1-アシルグリセロール-3-リン酸、2-アシルグリセロール-3-リン酸、1-アルケニル-グリセロール-3-リン酸などがLPAの代表例として知られている。
LPAは、生体内においては極微量しか存在せず、グリセロリン脂質の生合成の中間体や分解物である程度の認識しかされていなかったけれども、近年になってLPAが様々な生理活性を有し、特に血清中に存在する脂質性の増殖因子の主要な成分であることが明らかにされて(非特許文献1参照)からは、生理活性脂質の1種として注目を集めてきた。
LPAは、細胞増殖促進作用を有し、障害を受けた組織の修復に必要な物質であることが見出され、また、LPAには、神経細胞の成熟化に必要な神経突起を退縮させる作用や、ある種の癌細胞の浸潤を誘導する作用がことも報告されている。さらに、LPAは、平滑筋収縮作用、血小板凝集作用、細胞死の抑制、細胞の走化性の亢進作用など、様々な組織において様々な作用を有していることが知られてきた。さらに、血漿中のLPAを検出して卵巣がんを検出する方法(特許文献1参照)や、試料中のLPAなどのリゾリン酸を測定する方法(特許文献2参照)や、LPAを特異的に加水分解するリゾホスファチジン酸ホスファターゼの製造方法(特許文献3参照)や、ヒトリゾホスファチジン酸ホスファターゼのクローニング(特許文献4参照)などに関する特許出願も行われてきている。
このようにLPAは、単に中間物や分解物ではなく、様々な生理活性を有するメディエーターの1種であることがわかってきた。したがって、LPAは、血小板活性化因子(PAF)やスフィンゴシン1リン酸(S1P)などと共に「リゾリン脂質メディエーター」の1種であると考えられるようになってきた。



LPAは、細胞膜表面に存在するGタンパク質共役型の受容体(G‐protein‐coupled receptor;GPCR)に結合してその生理作用を発現すると考えられてきた。即ち、LPAの受容体は7回膜貫通型のGPCRであると考えられていたが、その実体は長らく不明であった。それは、LPAがリゾリン脂質の1種であり、脂溶性の物質であることから、膜との結合実験が非常に難しいことや、よいアンタゴニストが存在しないことなどから、受容体の存在そのものも疑問視されていたからである。
しかし、1996年に、LPAの受容体としてvzg‐1(非特許文献2参照)、及びPSP24(非特許文献3参照)と命名されたLPAの受容体遺伝子がクローニングされた。vzg‐1は、マウス脳の発生過程の脳質層において細胞周期に伴って神経芽細砲のエレベーター運動が観察され、この細胞に特異的な7回膜貫通型のGPCRであることから、vzg‐1(ventricular zone gene‐1)と命名された。vzg‐1は、それまでに単離されていたヒツジ由来のオーファン受容体であるedg-2遺伝子のマウスホモログであることがわかり、現在ではedg-2遺伝子として知られている。
そして、ESTデータベース上では、edg‐2(vzg‐1)の他に、edg‐1、edg-3、edg-4遺伝子などの多くの相同性を示す配列が登録されており、これらが一群のEDG(endothelial cell differentiation gene)ファミリーを形成することが明らかになった。このEDGファミリーは、その相同性から2つのグループに細分され、その1つはedg-2及びedg-4などのLPAのレセプターとして機能するグループであり、他のひとつはedg-1及びedg-3などのS1P(スフィンゴシン1リン酸)の受容体として機能するものである。
また、PSP24遺伝子は、前述してきたedg-2遺伝子とはアミノ酸配列上、相同性がほとんど無いが、マウス神経系やヒト胎児脳においても相同遺伝子が発現しており、この遺伝子産物もLPAに対する反応性を有することから独立のグループを形成すると考えられている。また、アフリカツメガエル卵母細胞のPSP24遺伝子の塩基配列に基づいて、ヒト成人の脳組織のcDNAライブラリーからヒト型のPSPS24遺伝子も見出されている(特許文献5参照)。



EDGファミリーやPSP24は、GPCRの1種であり、図1に現在までに知られているGPCRを示す。図1はこれらのタンパク質のアミノ酸配列の相同性に基づいて相同性の大きいものを近くに配置し、相同性の小さいものを遠くに配置した系統樹である。図1中の数字は各タンパク質間の相同性の低さを示す尺度となる相対値である。また、図1中の黒丸印は、脂質の受容体として知られているものを示し、灰色は脂質以外の受容体として知られているものを示し、それらの外側にリガンドとなる物質の総称が記載されている。EDGファミリーは図1中では右下側に表示されている。また、PSP24はほぼ中央の下側に示されている。図1中の白丸印はそのリガンドが未だ知られていないオーファン受容体であることを示している。
本発明のGPCRであるp2y9は、図1中では左側の下方に表示されており、従来のEDGファミリーやPSP24とはアミノ酸配列の相同性が全く異なるものであることが図1からもわかる。
GPCRについては現在でも新規なものが見出されており、例えば、特開2002-355045号(特許文献6)、特開2002-17378号(特許文献7)などの特許出願(特許文献8~18参照)として公開されている。また、GPCRの機能を改変させる方法(特許文献19参照)や、G2A受容体の転写の調節方法(特許文献20参照)や、GPCR活性のスクリーニング方法(特許文献21参照)についても特許出願がされてきている。



【特許文献1】
特開2002-328132号
【特許文献2】
特開2002-017398号
【特許文献3】
特開2000-152782号
【特許文献4】
再表 WO00/031275号
【特許文献5】
再表 WO99/024569号
【特許文献6】
特開2002-355045号
【特許文献7】
特開2002-17378号
【特許文献8】
特開2001-245674号
【特許文献9】
特開2001-245673号
【特許文献10】
特開2001-245672号
【特許文献11】
特開2001-211889号
【特許文献12】
特開2001-190281号
【特許文献13】
特開2001-186888号
【特許文献14】
特開2001-169786号
【特許文献15】
特開2001-161385号
【特許文献16】
特開2001-161383号
【特許文献17】
特開2001-161382号
【特許文献18】
特表2002-501083号
【特許文献19】
特表2002-523091号
【特許文献20】
特表2001-523456号
【特許文献21】
特表平11-505718号
【非特許文献1】
フォン コルベン イーら、セル、59巻、45-54頁、1989年(van Corven E., et al., Cell, 59, 45-54 (1989))
【非特許文献2】
ヘチャト ジェー エイチら、ジャーナル セル バイオロジー、135巻、1071-1083頁(1996年)(Hecht,J.H., et al., J. Cell. Biol., 135, 1071‐1083 (1996))
【非特許文献3】
グオ ゼットら、プロシーディング ナショナル アカデミック サイエンスユーエスエー、93巻、14367‐14372頁、1996年(Guo,Z., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 14367‐14372 (1996))

産業上の利用分野


本発明は、新規なリゾホスファチジン酸(lysophosphatidic acid:LPA)の受容体に関する。より詳細には、本発明は、Gタンパク質共役型タンパク質p2y9からなるリゾホスファチジン酸(LPA)受容体、リゾホスファチジン酸(LPA)受容体としての使用、及びそれを用いて当該受容体に対する作動物質又は拮抗物質をスクリーニングする方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
Gタンパク質共役型タンパク質p2y9の、リゾホスファチジン酸(LPA)受容体としての使用。

【請求項2】
LPAが、1-アシル-LPAである請求項に記載の使用。

【請求項3】
p2y9が、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するものである請求項又はに記載の使用。

【請求項4】
Gタンパク質共役型タンパク質p2y9に候補物質を作用させることを特徴とする、p2y9が有するLPA受容体としての機能指標にして、LPAが有する生理学的機能を活性化又は抑制する物質をスクリーニングする方法。

【請求項5】
癌細胞の浸潤に対する拮抗物質をスクリーニングする方法である請求項に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 脳を知る(脳の機能 京都) 領域
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