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人工シャペロン用キット

国内特許コード P04A004709
掲載日 2004年11月29日
出願番号 特願2000-071533
公開番号 特開2001-261697
登録番号 特許第3668091号
出願日 平成12年3月15日(2000.3.15)
公開日 平成13年9月26日(2001.9.26)
登録日 平成17年4月15日(2005.4.15)
発明者
  • 町田 幸子
  • 林 清
出願人
  • 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
発明の名称 人工シャペロン用キット
発明の概要 自発的フォールディング能が低く、分子シャペロンの介添えなしには正しい高次構造を取ることが困難もしくは不能であるタンパク質について、正しい高次構造に短時間で巻き戻すことができ、しかも活性型としてフォールディングさせるために有用な人工シャペロンを提供すること。環状糖質サイクロアミロースとポリオキシエチレン系界面活性剤または環状糖質サイクロアミロースとイオン性界面活性剤を含有することを特徴とする人工シャペロン用キット並びに変性タンパク質に特定の界面活性剤を添加することにより、タンパク質を変性状態にしている物質を希釈すると共に、タンパク質分子同士の凝集を防ぎ、次いで環状糖質サイクロアミロースを添加し、その包接能を利用して前記界面活性剤を除き、タンパク質を正しい高次構造に戻し、活性を有する正しい高次構造にフォールディングさせる方法。
従来技術、競合技術の概要
タンパク質は高次構造といわれる立体的なコンフォメーションをとっており、正しい高次構造をとることがタンパク質の機能には必須である。これらの高次構造のうち、2次構造としてはαヘリックス構造やβシート構造などが知られており、こうした2次構造がさらに折りたたまれて3次構造を形成している。3次構造の安定化の要因として疎水結合,水素結合、システイン残基間のS-S結合等が挙げられる。
この高次構造は、加熱,凍結,紫外線やX線の照射などの物理的な原因に加えて、極端な酸性やアルカリ性,有機溶媒,尿素やグアニジン塩酸等の変性剤や界面活性剤などの化学的な原因によっても変性を起こし、秩序正しく折り畳まれたコンパクトな構造からアンフォールドな状態であるランダムコイルに変化する。
【0003】
上記のような変性状態にあるタンパク質を、正しい高次構造を有した状態に巻き戻すフォールディングには、解決しなければならない2つの段階的な問題がある。すなわち、1段階目の問題はタンパク質同士の凝集を防ぐこと、2段階目の問題はアンフォールドされた状態からいかに正しく折り畳まれることである。
生体内では、この2つの段階に分子シャペロンと名付けられた一群の介添え役のタンパク質が関与している。分子シャペロンとは、合成直後のタンパク質に結合して折り畳みを停止させて運搬されやすい状態に保ったり、うまく折り畳みができないタンパク質の折り畳みを助ける等の機能を有するタンパク質である。
【0004】
最近、分子シャペロンを模倣した人工シャペロンを用いて、上記の2つの問題を解決しようとする人工シャペロンの構築を目指した試みが報告されている。
Daugherty ら(The J. Biol. Chem.,vol. 273, No.51, p.33961-33971,(1998))は、タンパク質の凝集を防ぐ役割をする人工シャペロンとして非イオン性界面活性剤であるTritonX-100 やアルキル基の鎖長の短いポリオキシエチレン系の界面活性剤を使用して、タンパク質・界面活性剤複合体を形成させた後に、該複合体から徐々に界面活性剤を除去することによって、変性タンパク質に自然な高次構造を取らせる方法を報告している。
この方法においては、界面活性剤を除去する際、介添え役として、その疎水性空洞内に種々の物質を取り込んで包接化合物を形成することのできる環状糖であるβ-サイクロデキストリン(以下、β-CDと略記することもある。)を用いている。
また、Sivakama Sundariら(FEBS Letters, 443, p.215-219(1999))には、変性した炭酸脱水素酵素B(以下、CABと略記することもある。)やリゾチームとカチオン系界面活性剤であるセチルメチルアンモニウムブロミド(以下、CTABと略記することもある。)を結合させた後、直鎖状のdextrin-10または環状のβ-CDを作用させることにより、該変性タンパク質を正しくフォールディングさせる方法が示されている。
【0005】
しかしながら、上記したいずれの方法においても、変性した不活性なタンパク質が再び活性型にフォールディングされる割合は60~70%程度にとどまっており、さらにβ-CDには溶解度の低さや老化によって水溶液が不安定になる等の安定性に問題があるため、完全な人工シャペロンとして利用するには満足のいくものではなかった。
また、変性状態のタンパク質から変性剤をゆっくり除去する希釈透析法によって正しい高次構造を取らせようとする試みもあったが、適応可能なタンパク質は特別な処理をしなくても正しい高次構造に自然に戻るものなど、自発的なフォールディング能を有しているものに限られていた。
このように、上記した試みはいずれも、タンパク質が活性型としてフォールディングされる割合が低かったり、自発的フォールディング能が低く分子シャペロンの介添えなしに正しい高次構造をとることができないタンパク質には適用することができない等の問題を抱えているのが現状である。
産業上の利用分野
本発明は人工シャペロン用キットとその利用に関し、詳しくは環状糖質サイクロアミロースと特定の界面活性剤とからなる人工シャペロン用キットとその利用に関する。さらに詳しくは、本発明は環状糖質サイクロアミロースとポリオキシエチレン系界面活性剤を含有する人工シャペロン用キットあるいは環状糖質サイクロアミロースとイオン性界面活性剤を含有する人工シャペロン用キット並びに該人工シャペロン用キットを用いて変性状態にあるタンパク質を活性を有する高次構造に正しくフォールディングさせる方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 重合度25~50もしくは40~150の環状糖質サイクロアミロースとポリオキシエチレン系界面活性剤を含有することを特徴とする人工シャペロン用キット。
【請求項2】 重合度40~150の環状糖質サイクロアミロースとイオン性界面活性剤を含有することを特徴とする人工シャペロン用キット。
【請求項3】 αヘリックス構造を取る変性タンパク質に過剰量のポリオキシエチレン系界面活性剤を添加することにより、タンパク質を変性状態にしている物質を希釈すると共に、タンパク質分子同士の凝集を防ぎ、次いで重合度25~50もしくは40~150の環状糖質サイクロアミロースを添加し、その包接能を利用して前記界面活性剤を除き、タンパク質を正しい高次構造に戻し、活性を有する正しい高次構造にフォールディングさせる方法。
【請求項4】 βシート構造を取る変性タンパク質および/または分子内S-S結合を有する変性タンパク質に過剰量のイオン性界面活性剤を添加することにより、タンパク質を変性状態にしている物質を希釈すると共に、タンパク質分子同士の凝集を防ぎ、次いで重合度40~150の環状糖質サイクロアミロースを添加し、その包接能を利用して前記界面活性剤を除き、タンパク質を正しい高次構造に戻し、活性を有する正しい高次構造にフォールディングさせる方法。
【請求項5】 ポリオキシエチレン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘプタメチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルまたはスクロース脂肪酸エステルである請求項1記載の人工シャペロン用キット。
【請求項6】 イオン性界面活性剤が、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシル硫酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ] -1-プロパンスルホン酸、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドまたはミリスチルサルホォベタインである請求項2記載の人工シャペロン用キット。
産業区分
  • 有機化合物
  • 高分子化合物
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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13321_01SUM.gif
出願権利状態 権利存続中


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