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セリシンを大量に生産する蚕品種

国内特許コード P04A004725
掲載日 2004年11月29日
出願番号 特願2000-059239
公開番号 特開2001-245550
登録番号 特許第3374177号
出願日 平成12年3月3日(2000.3.3)
公開日 平成13年9月11日(2001.9.11)
登録日 平成14年11月29日(2002.11.29)
発明者
  • 山本 俊雄
  • 間瀬 啓介
  • 宮島 たか子
  • 原 和二郎
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 セリシンを大量に生産する蚕品種
発明の概要 【解決手段】 突然変異種の「裸蛹系統」に、普通品種の「強健・多糸量系統」を交雑させることにより得られる、セリシンを大量に生産する蚕品種。
【効果】 本発明により新たに育成されたセリシンを大量に生産する蚕品種によれば、機能性材料として各産業界で需要の高いセリシンタンパク質を高能率で生産できる。また、これらの品種は蚕染色体DNA の制限酵素断片長多型(RFLP)を、蚕の28対の各染色体に座乗する遺伝子に由来する蚕cDNAをプローブに用いて検出することにより、他の蚕品種と区別することができる。
従来技術、競合技術の概要


セリシンは、絹糸を構成しているタンパク質で、フィブロインが繊維を形成しているのに対し、その外側を層状に覆っているゼラチン様の物性を持つタンパク質である。普通の繭はフィブロイン約75%とセリシン約25%の2種のタンパク質で構成されている。衣料素材として利用する場合、セリシンは水溶性であるため、生糸加工の段階で大部分が除去・廃棄されており、これまではほとんど利用されていなかった。
ところが、近年になって、セリシンが有する様々な作用が着目されるようになり、それを利用する種々の試みがなされるようになってきている。例えば、セリシンは抗酸化作用があることから、活性酸素による食用油脂の酸化を抑える酸化防止剤として利用することができる。また、セリシンは、チロシナーゼ阻害作用があることからメラニンの生合成を抑制する美白成分として、あるいは水酸基を有するセリンを約30%含み、保湿作用に優れていることから保湿成分として各種の化粧品に配合することも提案されている。さらには、優れた透湿性、吸湿性、風合いを付与できるという点からセリシンを定着させた衣料品が開発されている。
このように、セリシンは機能的素材として各方面で広く利用され、今後もその需要増大が見込まれることから、セリシンを大量にかつ効率よく得る方法を開発することが要望される。これまで、セリシンを生産する手法として以下のようなアプローチが検討されてきた。
第1は、セリシンを特異的に合成する突然変異種の利用である。このような突然変異種として、これまで2種が発見されており、一つは、フィブロインをほとんど合成せず、セリシンのみ(含量99%以上)を合成する裸蛹系統(「Nd系統」)であり、もう一つはフィブロイン約30%、セリシン約70%の組成から成るタンパク質を生産するセリシン蚕系統(「Nd-s系統」)である。しかしながら、いずれの突然変異種も絹タンパク質の生産量が1頭当たり30mg内外と非常に少ない上、営繭時に吐糸できず裸蛹や半化蛹となる蚕の割合が高く、正常に吐糸してセリシン繭を形成する蚕の割合が60%程度である。このため、セリシン1gを生産するには、Nd系統で約55頭、Nd-s系統で約80頭を飼育する必要があり、両系統ともセリシンの生産量が著しく低いため、基礎的研究の材料には利用されているが、セリシン量産を目的とした実用面ではまったく利用されていない。
第2は、普通の生糸用繭(フィブロイン約75%、セリシン約25%)からアルカリ溶剤を使って直接セリシンを溶出して採取する方法であるが、この方法では生糸となるフィブロイン成分を捨てることになるので実施されていない。第3は、製糸工場で生糸を生産する際に排出する廃水から回収する方法であるが、純度の高いセリシンを得るための回収工程が繁雑であり、コストも非常に高いので実施されていない。
第4は、実際に行われている方法として、蚕品種の製造に利用された後に残る切繭から採取する方法がある。蚕品種の製造では雑種一代を作るため、採種に用いる蚕(繭)は、化蛾する前に雌雄に分ける必要があり、蛹の時期に雌雄鑑別を行っている。そのため、繭層を切開して蛹を取りだすが、切開した繭層(切繭という)は繰糸用としては利用できない。そこで、この切繭をアルカリ剤で処理してセリシンを溶出させ、精製することによりセリシンを得ている。しかしながら、繭層のセリシン含量は約25%で回収工程が繁雑であり、生産効率は高いとはいえない。また、蚕品種の製造用に生産される繭層量は日本全体で約2トンに過ぎず、その大半がシルクパウダーに利用されるので、原料繭の確保が容易ではない(平成11年度で約500Kgの繭層がセリシン用に利用された)。以上のように、セリシンを採取するためのこれまでの方法は、いずれも実際には実施できないか、あるいは実施できても大量生産が難しく、今後益々増加が見込まれるセリシンの需要を満たすのに満足のいくものとはいえない。

産業上の利用分野


本発明は、セリシンを大量に生産し、かつ営繭率がよく、裸蛹や半化蛹が出現しない新規な蚕品種に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
「Nd系統」に、普通品種の「強健・多糸量系統」を交雑させて得られるカイコを、普通品種の「強健・多糸量系統」に戻し交配し、さらに近親交配及び選抜することにより得られる、1頭当たりの吐糸量が72mg以上であり、かつ繭層のセリシンの割合がNd系統と同程度であることを特徴とするカイコ品種。

【請求項2】
「Nd系統」に、普通品種の「強健・多糸量系統」を交雑させて得られるカイコを、普通品種の「強健・多糸量系統」に戻し交配し、さらに近親交配及び選抜することからなる、1頭当たりの吐糸量が72mg以上であり、かつ繭層のセリシンの割合がNd系統と同程度であることを特徴とするカイコ品種の作出方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録


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