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生物体から核酸を溶出する方法

国内特許コード P04A004800
掲載日 2004年11月29日
出願番号 特願2001-212281
公開番号 特開2003-024067
登録番号 特許第3735706号
出願日 平成13年7月12日(2001.7.12)
公開日 平成15年1月28日(2003.1.28)
登録日 平成17年11月4日(2005.11.4)
発明者
  • 矢部 希見子
  • 聖 祚姜
出願人
  • 独立行政法人食品総合研究所
発明の名称 生物体から核酸を溶出する方法
発明の概要 生物体から核酸を溶出する方法において、該生物体を塩の非存在下または低濃度の存在下で加熱処理することを特徴とする生物体からの核酸溶出方法。本発明により、細胞壁を有する殆どすべての生物に適用できる簡便かつ迅速な核酸溶出法を提供することができた。また、本発明は、細胞壁を有しない生物においても適用可能である。近年、生物種の分類がリボゾームDNAの配列に基づいて行われているが、本発明を組み合わせることにより多数の生物の分類が一度に極めて容易に行えるようになる。
従来技術、競合技術の概要
カビ(糸状菌)や植物など強固な細胞壁を有する生物体からの一般的なDNA溶出法は、各々を培養後、得られた生物体を液体窒素等で凍結し、乳鉢と乳棒ですりつぶし、それを界面活性剤や有機溶媒が入った溶液に懸濁し、抽出を繰り返すことによって調製する。しかし、これらの一般的な方法は規模が大きく、作業にも時間がかかり、操作も複雑であるため多数のサンプルをスクリーニングするためには適していなかった。そこで、PCR法に利用可能な、胞子や菌糸等の小規模のDNA溶出法の開発が望まれ、これまでにも種々の試みが報告されてきている。アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)では、2日間培養後の胞子を水に懸濁し、PCR反応液の5分の1の容量に当たる胞子懸濁液をPCR反応液に添加してPCRを行い、705 bpのPCR産物を得たという報告がある( Curr. Genet. 24:177-178 (1993) )。しかし、この方法を他のカビを用いて成功したという報告例はなく、また、胞子を多量にPCR反応液に添加すると胞子による非特異的な反応阻害がおこるため、非常に狭い範囲の胞子数でしか応用できないこと等、多くの問題があり、一般的な方法とは言えない。また、既報のDNA溶出法(Appl. Environ. Microbiol. 64:2463-2472 (1998))としては、(1)熱界面活性剤処理、(2)凍結融解の繰り返し処理、(3)ビーズ・ミル乳化処理(Bead mill homogenization)がある。(1)の熱界面活性剤処理法は、胞子や菌体を1% SDSと100mM 以上の塩が入った緩衝液に懸濁し、70℃で、10分ごとに5秒ボルテックスで撹拌して、合計20分間処理する。この方法は、DNAの溶出効率が低く、安定した結果が得られない。(2)凍結融解繰り返し処理法は、胞子懸濁液を液体窒素や-80℃、または-20℃で2分~5分凍結し、直ちに沸騰水に容器をつけて融解する。これを1~3回繰り返し、DNAを溶出する。この方法もDNA溶出効率が低く、再現性に問題がある。マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)の場合、胞子を-80 ℃で凍らせた後融解し、希釈して直接PCR溶液に添加することで、3000bpのPCRバンドが得られたとの報告がある。しかし、この場合は、溶出DNAだけではなく、処理した胞子液全体をPCR反応液に添加するため、胞子による非特異的なPCR反応阻害が起こる可能性がある。本発明者らも同方法をアスペルギルス・パラシティカス(Aspergillus parasiticus)の胞子を用いて試みたが、PCRのバンドは得られなかった。(3)ビーズ・ミル乳化処理では、菌体及び胞子液をビーズ・ビーター・チューブに入れ、ガラスビーズを加え、ミニ・ビーズ・ビーター・セル破砕器で撹拌破砕する( Appl. Environ. Microbiol. 64:2463-2472 (1998) 、 Mol. Cell. Probes. 14:339-348 (2000))。この方法は、他の方法に比べてより効果的にDNA溶出を行えるが、特殊な装置を必要とすること、そのため一度に処理できる数が限られるという問題点がある。ミニ・ビーズ・ビーター・セル破砕器の代わりにボルテックス・ミキサーなど一般的な震盪機を用いる方法もあるが、その場合は効率がかなり低くなる。
【0003】
以上の方法以外に、種々の細胞壁溶解酵素を用いて菌体や胞子からプロトプラストを調製し、得られたプロトプラストをPCR反応液に供する方法が報告されている( J. Clin. Microbiol. 29: 810-812 (1991) )。たとえば、胞子を微量プラスチックチューブ中の200 μl程度の培地に摂取し培養後、得られた菌糸を96穴のプレートの一つの穴に移し、細胞壁分解酵素で60分処理し、短時間の熱処理で酵素を失活後、溶液部分をPCR反応液に加えて、PCR産物を得る方法がある( J. Biotechnol. 59:221-224 (1998) )。これを用いて3000bp程度の比較的長いPCR産物が得られることが報告されているが、培養に40時間程度必要であるため培養開始からPCRの結果が得られるまで2日以上かかり、さらに、酵素を用いるため比較的高価な実験となる。また、利用する細胞壁分解酵素によってはDNA分解活性が混在している場合があり、確認が必要である。さらに、工程数も多く簡便な方法とは言いがたい。以上のように、これまで報告された方法では、再現性の問題、条件設定の難しさ、結果を得るまでの時間、操作の煩雑さ、実験法の価格等の点で、多くの問題があった。
産業上の利用分野
本発明は、生物体からの核酸を溶出する方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 糸状菌、担子菌、植物培養細胞及び植物体から選ぶ細胞壁を有する生物体から核酸を溶出する方法において、該生物体を0.5M以上の高塩濃度で加熱処理し、次いで010mM塩の非存在下または低濃度の存在下で加熱処理することを特徴とする糸状菌、担子菌、植物培養細胞及び植物体から選ぶ細胞壁を有する生物体からの核酸溶出方法。
【請求項2】 塩がKCl、NaCl、LiCl、CsClである請求項1記載の糸状菌、担子菌、植物培養細胞及び植物体から選ぶ細胞壁を有する生物体からの核酸溶出方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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13328_01SUM.gif
出願権利状態 権利存続中


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