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淡水貯留池への魚類の遡上システム

国内特許コード P04A004996
掲載日 2004年12月7日
出願番号 特願平10-315418
公開番号 特開2000-120052
登録番号 特許第3303049号
出願日 平成10年10月19日(1998.10.19)
公開日 平成12年4月25日(2000.4.25)
登録日 平成14年5月10日(2002.5.10)
発明者
  • 端 憲二
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 淡水貯留池への魚類の遡上システム
発明の概要 【課題】水路より水位の高い水田に魚類を遡上させ、多様な生物を生息させる。
【解決手段】魚道10により淡水貯留池12の水位より低位の排水路13とこの淡水貯留池12とを接続する。淡水貯留池12にはポンプ14により淡水が供給され水位が所定のレベルLV1 に保たれる。魚道10は、淡水貯留池側平坦部が淡水貯留池12の水位より低位でかつ水路側平坦部が排水路13の水位LVn より低位にある階段状底板22と、底板22の両側に設けられ内側に水通路を形成する側壁23a,23bと、この水通路内に上・下流側を隔て上流側の水を溢流させる越流部30が形成された隔壁24a~24eとを備えて構成される。各越流部30は下流側の水位に対して小型魚類が遡上可能な高さH3 に設定される。淡水貯留池側の水位を所定のレベルLV1 に維持して、越流部30における下流側水位に対する高さH3 を小型魚類が遡上可能な深さとなるようにする。
従来技術、競合技術の概要



近年、水田または休耕田、親水公園の池等の淡水貯留池側において生物保全機能の維持向上によって多様な生物を生息させるビオトープ(動植物の生息空間)とし、水質の浄化や有用な植物の栽培を図る試みがなされている。例えば、水田または休耕田にコイ、フナ、ナマズ等の大型魚類(だいたい数十センチ程度の大きさ)だけでなくメダカ、ドジョウ等の小型魚類(だいたい数センチ程度の大きさ)を導き入れて産卵・生息させることにより、水質の浄化に一定の効果のあることが知られてきている。その結果、水の浄化された水田で栽培可能な有用な植物の範囲も広がってきている。ところで、水田または休耕田では、土地改良事業が進み、水田または休耕田側と用水路側あるいは排水路側との水位差が数十センチから1メートルに及ぶことも珍しくない。このような、落差が数十センチから1メートル程度の上下流の水域間を結ぶ魚道については従来から何も提案がなく、一般には、例えば、上流側から淡水が供給されるダム等の淡水貯留池とこの淡水貯留池下流側の河川との間のように数メートルから十数メートルに及ぶ落差の大きい水域間を接続するものとして、アイスハーバー型階段式その他の魚道が知られている。

この魚道は、上下流側間で落差の大きい河川の堰などに設けられ、図14および図15に示すように、淡水貯留池と河川とを接続する傾斜床面2とこの傾斜床面2の両側に立ち上がって設けられた側壁3とにより画成される水の通路に、複数の隔壁4を設けて構成される。隔壁4には、上部両側に切欠きかれて形成された越流部5と、越流部5の下方に潜孔6が形成される。このような魚道は、上流側の淡水貯留池と下流側の河川との落差が大きいため、魚道を確保するには、多量の水を魚道を通じて下流側に流さなければならない。このため、越流部(切欠部)5からの流れはほとんど直進して下流の隔壁4にぶつかり、そこで向きを変えて次の越流部(切欠部)5へと向かう。このため、隔壁間に設けられたプール7には、大きな、しかもかなり強い循環流が形成される。従って、各プール7に形成される強力な循環流に打ち勝つ力のある大型の魚類のみが上流側に遡上することができるようになっている。

産業上の利用分野



本発明は淡水貯留池への魚類の遡上システムに関し、特に、水田または休耕田と農業用の水路との間に設けられる魚類の遡上システムに関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
堰の内側に淡水を貯留する水田または休耕田と、この水田または休耕田に淡水を供給して水位を保つポンプと、この水田または休耕田の水位より低位で水位差が数十センチから1メートル程度に及ぶ水路とこの水田または休耕田とを接続する魚道とを備え、
この魚道を、水田または休耕田側が水田または休耕田の水位より低位でかつ水路側が水路の水位より低位にある床部と、この床部の両側からそれぞれ上方に立ち上がり内側に水田または休耕田と水路との間の水の通路を形成する側壁と、床部と各側壁とにより画成される空間内に設けられ上流側と下流側とを隔てるとともに上流側の水を溢流させる越流部が形成された隔壁とを備えて構成し、
ポンプにより魚道を流れ下る水量を一定の小水量とするとともに、
この隔壁の越流部を、下流側の水位に対して小型魚類が遡上可能な高さとなるべく設定し、水田または休耕田の水位をほぼ所定のレベルに維持して、水路側から水田または休耕田側に魚類を遡上させることを特徴とする淡水貯留池への魚類の遡上システム。

【請求項2】
隔壁には、小型魚類が遡上可能な所定の大きさの潜孔が所定位置に設けられ、水田または休耕田側の水位が所定のレベルに達するまでに、この潜孔が水面下に没する状態となることを特徴とする請求項1に記載の淡水貯留池への魚類の遡上システム。

【請求項3】
魚道の床部を、水田または休耕田側の平坦部が水田または休耕田の水位より低位にあり水路側の平坦部が水路の水位より低位にある階段状底板から構成するとともに、隔壁を階段状底板の上下流側両端部と階段状底板の段差部とに設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の淡水貯留池への魚類の遡上システム。

【請求項4】
階段状底板の平坦部をほぼ水平に形成するとともに、各側壁間の幅と、互いに隣接する上下流側隔壁間の間隔と、隔壁間に画成されるプールの水深とを大型魚類が休息可能な所定の寸法に設定したことを特徴とする請求項3に記載の淡水貯留池への魚類の遡上システム。

【請求項5】
越流部は隔壁上部の片側ほぼ半分を一定の深さで切り欠いて形成され、切欠き面は下流側に傾斜する曲面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の淡水貯留池への魚類の遡上システム。

【請求項6】
越流部の下流側水位に対する高さをほぼ0.1m以下に設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の淡水貯留池への魚類の遡上システム。

【請求項7】
堰の内側に淡水を貯留する水田または休耕田と、この水田または休耕田に淡水を供給して水位を保つポンプと、この水田または休耕田の水位より低位で水位差が数十センチから1メートル程度に及ぶ水路とこの水田または休耕田とを接続する魚道とを備え、
この魚道を、水田または休耕田側が水田または休耕田の水位より低位でかつ水路側が水路の水位より低位にある床部と、この床部の両側からそれぞれ上方に立ち上がり内側に水田または休耕田と水路との間の水の通路を形成する側壁と、床部と各側壁とにより画成される空間内に設けられ上流側と下流側とを隔てるとともに上流側の水を下流側に流出させる潜孔が形成された隔壁とを備えて構成し、
ポンプにより魚道を流れ下る水量を一定の小水量とするとともに、
この潜孔を小型魚類が遡上可能な大きさに設定し、
水田または休耕田の水位を、この潜孔が水面下に没する状態に維持し、水路側から水田または休耕田側に魚類を遡上させることを特徴とする淡水貯留池への魚類の遡上システム。

【請求項8】
魚道の床部を、水田または休耕田側の平坦部が水田または休耕田の水位より低位にあり水路側の平坦部が水路の水位より低位にある階段状底板から構成するとともに、隔壁を階段状底板の流れ方向両端部と階段状底板の段差部とに沿って設けたことを特徴とする請求項7に記載の淡水貯留池への魚類の遡上システム。

【請求項9】
隔壁の潜孔は一辺が4~5cmのほぼ正方形に形成され、潜孔をなす面は中央が内側に膨出する曲面に形成されることを特徴とする請求項7に記載の淡水貯留池への魚類の遡上システム。
国際特許分類(IPC)
画像

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JP1998315418thum.jpg
出願権利状態 登録


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