TOP > 国内特許検索 > 蛋白質ミクロフィブリルおよびその製造方法ならびに複合素材

蛋白質ミクロフィブリルおよびその製造方法ならびに複合素材

国内特許コード P04A005036
掲載日 2004年11月29日
出願番号 特願平10-351722
公開番号 特開2000-170029
登録番号 特許第2981555号
出願日 平成10年12月10日(1998.12.10)
公開日 平成12年6月20日(2000.6.20)
登録日 平成11年9月24日(1999.9.24)
発明者
  • 加藤 弘
  • 早坂 昭二
  • 塚田 益裕
出願人
  • 農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所長
発明の名称 蛋白質ミクロフィブリルおよびその製造方法ならびに複合素材
発明の概要 蛋白質繊維を単に繊維軸に垂直の方向での切断のみならず、繊維軸と平行な縦方向にも細かく開裂させることで、蛋白質ミクロフィブリルを効率的、経済的に製造する方法の提供。天然蛋白質繊維を、アルカリ剤を含むアルカリ水溶液により処理し、またはアルカリ剤でpHを調整した中性塩水溶液により処理し、該繊維を膨潤させ、繊維構造が若干弛緩した状態にして、該水溶液に分散せしめ、この分散した天然蛋白質繊維に対して、一定の振動とずり応力を与えるビーズ衝撃破砕処理を行う。これにより、該繊維の繊維軸と垂直な横方向の切断のみならず該繊維軸と平行な縦方向にも細かく開裂されて、蛋白質ミクロフィブリルが得られる。
従来技術、競合技術の概要 超微細繊維は、衣料分野ならびに非衣料分野の先端素材として利用されている。特に有機高分子素材の微細繊維化技術の進展は著しく、得られた微細繊維は医用材料として積極的に利用が図られているが、天然蛋白質を素材とする微細繊維化の技術は遅れている。まず、有機高分子と天然蛋白質の微細繊維化の現状について述べる。超微細繊維は太い繊維とは全く異なる機能特性を持つことから、各種の産業資材としての利用が進んでいる。有機高分子を素材として約0.00001デニールの超微細繊維が製造されている。例えば、ポリエステル繊維であれば直径が0.1ミクロンのものまで可能であり、この太さは0.0000975デニールに相当する。こうした超微細繊維を製造する方法には様々あるが、有機高分子を対象として開発されたもののうちから主要なものを、以下、2、3列挙する。(1)合成高分子の超微細繊維は「高分子相互配列体繊維」紡糸法により製造できる。海島(うみしま)構造を持つ特殊な紡糸用の口金により、1本の繊維の中に何千本もの繊維が詰まった繊維の製造が可能となる。こうした方法で製造した素材はスエード調新素材に利用されている。(2)剥離型複合繊維:多数に分割した繊維流をつくり、その後交互に張り合わせ状の繊維とする。この方法は、分割の数に限度があり、極端に扁平化できないので極端に細いものはできないという問題がある。(3)フラッシュ紡糸製布法:ポリマー溶液を高温高圧にしてノズルから噴出させ、超微細繊維の網状糸条を製造する。天然蛋白質繊維である羊毛や絹糸がしなやかで風合い感がよいのは、素材を構成するアミノ酸残基が多様であること、ならびにその配列順位が複雑であることに起因する。また、天然繊維を構成する微細構造が複雑であるためでもある。羊毛は、ミクロフィブリルから構成されており、また、絹糸は直径が100~300Åのミクロフィブリルから構成されている。約1000本のミクロフィブリルが集まってフィブリルが出来上がっているのが絹糸である。コラーゲン繊維も同様であり、直径1~4μmのコラーゲン繊維は、0.08μmのミクロフィブリルから形成され、それが集合して直径40μmの繊維束を形成している。したがって、天然蛋白質繊維から、その構成単位であるミクロフィブリルを製造するには、羊毛や絹糸を構成する繊維構造を取る最も微細な単位のミクロフィブリルを開裂させれば良いはずである。しかし、ミクロフィブリル間の水素結合が極めて強いため通常の方法では効率よく開裂することが不可能であった。従来、絹糸をアルカリ水溶液に浸漬して十分に膨潤させ、これを強く摩擦すると顕微鏡観察でフィブリル構造が確認されることは知られていた。フィブリルあるいは絹蛋白質は、絹蛋白質分子からなっている。基本的な分子骨格は、アミノ酸の脱水結合により生じるアミド結合(-CONH-)の繰り返し単位から構成されている。基本骨格中のCO、NH基が近接分子鎖間のCO、NH基と水素結合で結ばれている。フィブリル間には、このように水素結合が形成されているため、フィブリルを開裂させることは不可能に近かった。まして、そのフィブリルを利用する研究は著しく遅れていた。特公昭58-58449号公報には、銅-エチレンジアミン水溶液あるいは臭化リチウムなどの中性塩水溶液中に絹糸を溶解させ、これに機械的な剪断力、剪応力を加えてフィブロイン分子を凝固・沈殿・結晶化させ、その後脱水・乾燥させることによって微粉末状の絹フィブロインを製造する方法が開示されている。この方法では、調製できる絹フィブロインの中に中性塩が混在してしまい、純度の高い絹フィブロインを効率的に得ることは困難であるという欠点がある。また、絹フィブロインを一旦溶解させる方法を採るため、絹糸に特徴的な繊維構造が失われてしまい、分子形態がランダムコイル状態に変わってしまうという問題があった。また、従来法として、絹糸をアルカリ水溶液で処理して膨潤させ、しかる後に粉末化装置により大きさ5μm程度にまで粉末化させる方法が知られている。この方法によれば、絹糸を構成するミクロフィブリルがランダムに切断されて全体として粉末状態になるだけで、ミクロフィブリルが繊維軸と平行の方向に規則正しく開裂できないという欠点があり、得られたものは、繊維を機械的に開裂した状態で細繊維化されたものに過ぎず、繊維構造を持つミクロフィブリルでないため、利用上好ましくないという欠点があった。特許第1557142号には、絹フィブロイン繊維を中性塩水溶液中に分散して絹フィブロイン分散液となし、これをセルロース製の透析膜に入れ、純水と置換してできる絹フィブロイン水溶液にキモトリプシンを作用させて、絹フィブロイン分子を加水分解させ、沈殿する分画、あるいは上清を凍結乾燥することで、2~3μmの超微粉末を得る方法が開示されている。この方法では、絹フィブロインの結晶領域あるいは非結晶領域に対応した微細な粉末が得られるが、サンプルはいずれも繊維構造を持たない分画である。すなわち、この特許第1557142号記載の製造技術では、繊維軸に対して縦方向や横方向という繊維状の形態の区別が全くないものしか得られない。
産業上の利用分野 天然蛋白質繊維からその構成成分であるミクロフィブリルを開裂(分繊または微細化)させて蛋白質ミクロフィブリルを製造する方法、得られた蛋白質ミクロフィブリル、および該蛋白質ミクロフィブリルを含有する複合素材
特許請求の範囲 【請求項1】 繊維が膨潤されかつ繊維構造が若干弛緩した状態にある、アルカリ水溶液または中性塩水溶液に分散した天然蛋白質繊維に対して、一定の振動とずり応力を与えるビーズ衝撃破砕処理を行うことにより、該繊維の繊維軸と垂直な横方向の切断のみならず該繊維軸と平行な縦方向にも細かく開裂させて得られる蛋白質ミクロフィブリル。
【請求項2】 天然蛋白質繊維を、アルカリ剤を含むアルカリ水溶液により処理し、またはアルカリ剤でpHを調整した中性塩水溶液により処理し、該繊維を膨潤させ、繊維構造が若干弛緩した状態にして、該水溶液に分散せしめ、この分散した天然蛋白質繊維に対して、一定の振動とずり応力を与えるビーズ衝撃破砕処理を行い、該繊維の繊維軸と垂直な横方向の切断のみならず該繊維軸と平行な縦方向にも細かく開裂させて、ミクロフィブリルを得ることを特徴とする蛋白質ミクロフィブリルの製造方法。
【請求項3】 前記アルカリ水溶液による処理は、1.0~5.0%のアルカリ水溶液を用いて行われ、また、前記中性塩水溶液による処理は、アルカリ剤でpHを9以上に調整した、濃度が4M以上の中性塩水溶液を用いて行われることを特徴とする請求項2記載の蛋白質ミクロフィブリルの製造方法。
【請求項4】 前記ビーズ衝撃破砕処理は、ビーズ直径が0.2~1mmφ、衝撃処理時間が5~50分、ビーズ振動の周波数が50Hz以上である条件下で行われることを特徴とする請求項2または3記載の蛋白質ミクロフィブリルの製造方法。
【請求項5】 天然蛋白質繊維を、アルカリ剤を含むアルカリ水溶液により処理し、またはアルカリ剤でpHを調整した中性塩水溶液により処理し、該繊維を膨潤させ、繊維構造が若干弛緩した状態にして、該水溶液に分散せしめ、この分散した天然蛋白質繊維に対して、一定の振動とずり応力を与えるビーズ衝撃破砕処理を行い、該繊維の繊維軸と垂直な横方向の切断のみならず該繊維軸と平行な縦方向にも細かく開裂させて、ミクロフィブリルを得る際に、該アルカリ水溶液の濃度もしくは中性塩水溶液の濃度、該アルカリ水溶液もしくは中性塩水溶液への浸漬処理時間、該ビーズ衝撃破砕処理におけるビーズの直径、ビーズ振動の周波数、ビーズ衝撃破砕処理時間を変えることでミクロフィブリルの開裂の程度を制御することを特徴とする蛋白質ミクロフィブリルの製造方法。
【請求項6】 高分子物質中に、前記請求項2~5のいずれかに記載の方法に従って得られた蛋白質ミクロフィブリルを含んでなることを特徴とする複合素材。
産業区分
  • 布製品
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

08568_02SUM.gif
出願権利状態 権利存続中


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close