TOP > 国内特許検索 > 絹蛋白質/コラーゲン複合体およびその製造方法

絹蛋白質/コラーゲン複合体およびその製造方法

国内特許コード P04A005045
掲載日 2004年11月29日
出願番号 特願平10-033010
公開番号 特開平11-228837
登録番号 特許第2955653号
出願日 平成10年2月16日(1998.2.16)
公開日 平成11年8月24日(1999.8.24)
登録日 平成11年7月23日(1999.7.23)
発明者
  • 塚田 益裕
  • 白田 昭
出願人
  • 農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所長
発明の名称 絹蛋白質/コラーゲン複合体およびその製造方法
発明の概要 本発明の絹蛋白質/コラーゲン複合体は、昆虫由来、例えばカイコ由来の絹蛋白質繊維から得られる絹蛋白質とコラーゲンとの水性溶液または水性分散液から得られるものである。本発明の絹蛋白質/コラーゲン複合体の製造法は、コラーゲンもしくはアテロコラーゲンをアシル化して得たアシル化コラーゲンまたはアシル化アテロコラーゲンと絹蛋白質との水性溶液または水性分散液から膜状、ゲル状、粉末状または繊維状の絹蛋白質/コラーゲン複合体を得ることを特徴とする。本発明で用いる絹蛋白質としては、カイコが吐糸して繭繊維の外側を膠着するセリシンまたはセリシンを除去して得た絹フィブロイン繊維を中性塩水溶液中に溶解し、セルロース製の透析膜を用いて透析して得た水溶性絹フィブロイン、またはカイコの絹糸腺内の水溶性セリシンまたは水溶性フィブロインがある。
従来技術、競合技術の概要 絹蛋白質は、カイコなどの昆虫が生産する昆虫生体高分子であり、従来から衣料材料として利用されてきた。絹蛋白質繊維が染色性、吸・放湿性、力学的特性などの実用特性に優れているため、従来より衣料材料として重宝されてきた。最近、絹蛋白質が有する優れた生体適合性に着目し、先端分野の医用材料として利用され始めるようになった。外科手術用縫合糸に絹糸を用いる歴史は11世紀にまで遡るといわれ、細菌処理が容易で、体内に埋め込んでも抗原抗体反応が起こり難いことから、付加価値の高いバイオ材料や医用材料としての利用が可能となりつつある。末梢静脈内試料被膜系留置法で、絹フィブロイン膜を静脈内に2週間留置しても、絹フィブロイン膜表面には血液の凝固が認められないことが知られている。このことから、絹蛋白質膜は血液と接触しても血液凝固が起こり難く、血液適合性の高い素材として使用できる。また、絹蛋白質膜は、その表面では生体細胞が良好に付着増殖するので、バイオ材料としても利用できる。例えば、絹フィブロイン膜を10%仔牛血清を含んだマウス由来の繊維芽細胞浮遊液に浸漬して細胞を培養すると、絹フィブロイン膜表面に細胞が良好に付着し、増殖することが確認されており、絹フィブロインを細胞培養床基材として利用することにより、有用な細胞を低コストで、かつ効率的に培養できる見通しが得られている。かくして、絹蛋白質を、細胞工学や免疫工学分野で利用できる。一方、コラーゲンは、動物由来の生体結合組織の主要な蛋白質であり、皮膚、血管、骨、歯など多くの組織に分布する。このコラーゲンは、天然生体高分子の中にあって、優れた生体機能を持ち、人工血管、人工臓器の材料として広く利用されていると共に、抗原抗体反応のメカニズムが分子レベルで解析されている。コラーゲンからなる繊維、膜は比較的優れた強度特性を示し、かつ生体組織との適合性が良いので、縫合糸として用いられている。コラーゲンはバイオ材料として重要視されており、また、コラーゲンの変性物であるゼラチンは人工臓器材料の表面被覆材としてなくてはならない材料である。コラーゲンは生体細胞や組織と優れた親和性を持つため、組織の治癒を促し自己と同等の組織にまで回復できるバイオ材料としても有望である。また、コラーゲンは血小板粘着、凝集に端を発する血栓形成に関与していることから、血液適合性に優れたバイオ材料を設計する上でも有益である。コラーゲンは、膜、糸、スポンジ、ゲルなど各種形状に加工できる。コラーゲンは、分子量が10万のペプチド鎖3本から構成され、三重らせんの構造を持つ。この三重らせん構造の両側には、数十個のアミノ酸からなるテロペプチドが存在する。抗原の原因となるこのテロペプチドを蛋白質分解酵素などにより除去したものが、アテロコラーゲンである。このように、昆虫生体高分子の絹蛋白質と動物由来のコラーゲンとは、それぞれが優れた生体機能を持つため、医用分野の先端領域で付加価値の高い利用が可能であるが、絹蛋白質とコラーゲンとの均一な複合体はいままで得られていない。
産業上の利用分野 絹蛋白質/コラーゲン複合体およびそれらの製造方法、更に詳しくは、昆虫生体高分子の絹蛋白質と、生体結合組織の主要な蛋白質であり、各種バイオ材料として利用価値の高いコラーゲンとを水性溶液または水性分散液の状態で混合することによって製造できる素材であり、優れた生体適合性を持つ絹蛋白質/コラーゲン複合体およびこれらの製造法
特許請求の範囲 【請求項1】 カイコが吐糸して作る繭繊維の外側を膠着するセリシン、または該セリシンを除去して得た絹フィブロイン繊維を中性塩水溶液中に溶解し、この水溶液をセルロース製の透析膜を用いて透析して得た水溶性絹フィブロイン、またはカイコ体内より取り出した絹糸腺内の水溶性絹セリシンもしくは水溶性絹フィブロインからなる0.01~10重量%の絹蛋白質水性溶液または水性分散液と、コラーゲン分子側鎖もしくはアテロコラーゲン分子側鎖の化学反応性活性部位にアシル化剤を反応させて得た水溶性もしくは水分散性のアシル化コラーゲンまたはアシル化アテロコラーゲンからなる0.1~5重量%のコラーゲン水性溶液または水性分散液とから得られる絹蛋白質/コラーゲン複合体。
【請求項2】 前記アシル化剤がC1~C4の二塩基酸の無水物またはC1~C15の一塩基酸の無水物であることを特徴とする請求項1記載の絹蛋白質/コラーゲン複合体。
【請求項3】 前記アシル化アテロコラーゲンが、サクシニル化アテロコラーゲンまたはミリスチル化アテロコラーゲンまたは両者の混合物であることを特徴とする請求項1または2記載の絹蛋白質/コラーゲン複合体。
【請求項4】 前記コラーゲンとして、動物皮革由来のコラーゲンから蛋白質分解酵素でテロペプチドを除去して得られるアテロコラーゲンを使用することを特徴とする請求項1-3のいずれかに記載の絹蛋白質/コラーゲン複合体。
【請求項5】 前記請求項1~4のいずれかに記載の絹蛋白質/コラーゲン複合体がさらに水不溶化処理されたものであることを特徴とする水不溶化絹蛋白質/コラーゲン複合体。
【請求項6】 カイコが吐糸して作る繭繊維の外側を膠着するセリシン、または該セリシンを除去して得た絹フィブロイン繊維を中性塩水溶液中に溶解し、この水溶液をセルロース製の透析膜を用いて透析して得た水溶性絹フィブロイン、またはカイコ体内より取り出した絹糸腺内の水溶性絹セリシンもしくは水溶性絹フィブロインからなる0.01~10重量%の絹蛋白質水性溶液または水性分散液と、コラーゲン分子側鎖もしくはアテロコラーゲン分子側鎖の化学反応性活性部位にアシル化剤を反応させて得た水溶性もしくは水分散性のアシル化コラーゲンまたはアシル化アテロコラーゲンからなる0.1~5重量%のコラーゲン水性溶液または水性分散液とを均一に混合し、この混合液体から膜状、ゲル状、粉末状または繊維状の絹蛋白質/コラーゲン複合体を得ることを特徴とする絹蛋白質/コラーゲン複合体の製造方法。
【請求項7】 前記請求項6に記載の絹蛋白質/コラーゲン複合体をさらに水不溶化処理することを特徴とする水不溶化絹蛋白質/コラーゲン複合体の製造方法。
産業区分
  • 高分子化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

08577_01SUM.gif
出願権利状態 権利存続中


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close