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C4植物の光合成酵素を発現するC3植物体

国内特許コード P04A005176
掲載日 2005年1月11日
出願番号 特願平09-056742
公開番号 特開平10-248419
登録番号 特許第3210960号
出願日 平成9年3月11日(1997.3.11)
公開日 平成10年9月22日(1998.9.22)
登録日 平成13年7月19日(2001.7.19)
発明者
  • 松岡 信
  • 徳富 光恵
  • 土岐 精一
  • モーリス スン-ベン. クウ
出願人
  • 農林水産省農業生物資源研究所長
発明の名称 C4植物の光合成酵素を発現するC3植物体
発明の概要 進化系統学的に近縁なC4植物の光合成経路を構成する酵素を高度に発現させるC3植物体、C3植物組織、またはC3植物種子であり、またはそれらの作成方法に関するものである。C4植物のゲノム遺伝子がトウモロコシのホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)遺伝子であり、C3植物はイネである。具体的な実施例は以下のとおりである。(1)トウモロコシPEPCゲノム遺伝子の単離、(2)発現ベクターの構築、(3)発現ベクターPEPCgenome/pBIH2のイネ細胞への導入、(4)イネ細胞の形質転換とイネ個体の再生、(5)形質転換イネにおけるPEPC遺伝子発現の検出、(6)形質転換イネにおける光合成速度の測定。
従来技術、競合技術の概要 植物は、その光合成炭酸固定経路における二酸化炭素の初期固定産物の種類から、C3植物、C4植物および多肉植物型光合成(CAM)植物とに分類される。地球上の植物の90%以上はC3植物に属し、例えば、イネ、ムギ等の農業的に有用な植物が含まれる。このC3植物の光合成経路は、カルビン経路とも呼ばれており、この経路でCO2固定に関与する酵素は、リブロース-1,5-二リン酸カルボキシラーゼである。この酵素は、CO2に対する親和性が低く、逆に酸素に対する親和性が高いために、CO2固定反応、ひいては光合成反応の効率が低い。他方で、C4植物は、この非効率的なCO2固定反応を克服すべく進化した植物であり、 CO2を濃縮する機構を有し、高い光合成能を有している。このC4植物の光合成経路におけるCO2固定に関与する酵素は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼである。この酵素は、酸素による活性阻害を受けず、CO2の固定化能が高い。CAM植物は、乾燥した環境に適応した光合成系を有しており、この光合成系は、C3光合成の一種の進化した形態と考えられている。C3植物にC4植物の光合成機能を付与することにより、農業的に有用なC3植物(例えば、イネ)の光合成能、物質生産能が大きく改善されることが期待される。そこで、C4光合成遺伝子をC3植物に導入する試みが、いくつかなされている。例えば、C3植物の葉組織で高発現するプロモーター(例えば、クロロフィルa/b結合タンパク質遺伝子プロモーターあるいは、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター)にC4植物の光合成遺伝子(ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)遺伝子)を結合して組換えDNAを作成し、C3植物であるタバコに導入した報告があるが、C3植物内でのPEPC活性は、高く見積もっても、2-3倍増加するにすぎなかった。他方で、C4光合成遺伝子のプロモーターの作用を検討する目的で、大腸菌のβ-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子とPEPC遺伝子の5'隣接領域(プロモーター領域)との融合遺伝子をC3植物であるタバコに導入して、GUS遺伝子を高レベルで発現させた例が報告されている。しかし、C4光合成遺伝子の発現調節領域(プロモーター活性領域)を有するトウモロコシのPEPCゲノム遺伝子をタバコに導入したが、そのPEPC活性はほんの2~3倍に増加したにすぎないという報告もある。従って、現実に光合成に関与する酵素の遺伝子が高発現した例は報告されておらず、C3植物内でC4植物の光合成遺伝子を高度に発現させ、C3植物の光合成能力を高める技術が期待されている。
産業上の利用分野 C4光合成経路を構成する酵素の遺伝子(以下、C4光合成遺伝子)を有し、このC4光合成遺伝子を高発現するC3植物
特許請求の範囲 【請求項1】 進化系統学的に近縁なC4植物の遺伝子を発現するC3植物体であって、該C4植物の光合成経路を構成する酵素の遺伝子の発現調節領域および該C4植物の光合成経路を構成する酵素の構造遺伝子を含有するゲノム遺伝子を有し、該C4植物の光合成経路を構成する酵素の構造遺伝子を、該C4植物で発現される以上に発現する、C3植物体。
【請求項2】 前記C4植物が単子葉植物であり、前記C3植物体が単子葉植物の植物体である、請求項1に記載のC3植物体。
【請求項3】 前記C4植物が双子葉植物であり、前記C3植物体が双子葉植物の植物体である、請求項1に記載のC3植物体。
【請求項4】 前記C4植物のゲノム遺伝子がイントロンを含む、請求項1ないし3いずれかの項に記載のC3植物体。
【請求項5】 前記C4植物のゲノム遺伝子が、イネ科植物のゲノム遺伝子であり、前記C3植物がC3イネ科植物である、請求項4に記載のC3植物体。
【請求項6】 前記C4植物のゲノム遺伝子が、トウモロコシのホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼのゲノム遺伝子であり、C3イネ科植物がイネである、請求項5に記載のC3植物体。
【請求項7】 進化系統学的に近縁なC4植物の光合成経路を構成する酵素を高度に発現させるC3植物体の作成方法であって、該方法は、進化系統学的に近縁なC4植物の光合成経路を構成する酵素の遺伝子の発現調節領域および該C4植物の光合成経路を構成する酵素の構造遺伝子を含有するゲノム遺伝子でC3植物の細胞を形質転換する工程;および該形質転換されたC3植物細胞をC3植物体に再生する工程;を含み、ここで、該C3植物体は、該C4植物の光合成経路を構成する酵素の構造遺伝子を、該C4植物で発現される以上に発現する、方法。
【請求項8】 前記C4植物が単子葉植物であり、前記C3植物体が単子葉植物の植物体である、請求項7に記載のC3植物体の作成方法。
【請求項9】 前記C4植物が双子葉植物であり、前記C3植物体が双子葉植物の植物体である、請求項7に記載のC3植物体の作成方法。
【請求項10】 前記C4植物のゲノム遺伝子がイントロンを含む、請求項7ないし9いずれかの項に記載のC3植物体の作成方法。
【請求項11】 前記C4植物のゲノム遺伝子が、イネ科植物のゲノム遺伝子であり、前記C3植物がC3イネ科植物である、請求項10に記載のC3植物体の作成方法。
【請求項12】 前記C4植物のゲノム遺伝子が、トウモロコシのホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼのゲノム遺伝子であり、C3イネ科植物がイネである、請求項11に記載のC3植物体の作成方法。
【請求項13】 進化系統学的に近縁なC4植物の遺伝子を発現するC3植物組織であって、該C4植物の光合成経路を構成する酵素の遺伝子の発現調節領域および該C4植物の光合成経路を構成する酵素の構造遺伝子を含有するゲノム遺伝子を有し、該C4植物の光合成経路を構成する酵素の構造遺伝子を、該C4植物で発現される以上に発現する、C3植物組織。
【請求項14】 前記C4植物が単子葉植物であり、前記C3植物組織が単子葉植物である、請求項13に記載のC3植物組織。
【請求項15】 前記C4植物が双子葉植物であり、前記C3植物組織が双子葉植物である、請求項13に記載のC3植物組織。
【請求項16】 前記C4植物のゲノム遺伝子がイントロンを含む、請求項13ないし15いずれかの項に記載のC3植物組織。
【請求項17】 前記C4植物のゲノム遺伝子が、イネ科植物のゲノム遺伝子であり、前記C3植物がC3イネ科植物である、請求項16に記載のC3植物組織。
【請求項18】 前記C4植物のゲノム遺伝子が、トウモロコシのホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼのゲノム遺伝子であり、C3イネ科植物がイネである、請求項17に記載のC3植物組織。
【請求項19】 進化系統学的に近縁なC4植物の光合成経路を構成する酵素を高度に発現させるC3植物組織の作成方法であって、該方法は、進化系統学的に近縁なC4植物の光合成経路を構成する酵素の遺伝子の発現調節領域および該C4植物の光合成経路を構成する酵素の構造遺伝子を含有するゲノム遺伝子でC3植物の細胞を形質転換する工程;および該形質転換されたC3植物細胞をC3植物組織に再生する工程;を含み、ここで、該C3植物組織は、該C4植物の光合成経路を構成する酵素の構造遺伝子を、該C4植物で発現される以上に発現する、方法。
【請求項20】 前記C4植物が単子葉植物であり、前記C3植物組織が単子葉植物の植物組織である、請求項19に記載のC3植物組織の作成方法。
【請求項21】 前記C4植物が双子葉植物であり、前記C3植物組織が双子葉植物の植物組織である、請求項19に記載のC3植物組織の作成方法。
【請求項22】 前記C4植物のゲノム遺伝子がイントロンを含む、請求項19ないし21いずれかの項に記載のC3植物組織の作成方法。
【請求項23】 前記C4植物のゲノム遺伝子が、イネ科植物のゲノム遺伝子であり、前記C3植物がC3イネ科植物である、請求項22に記載のC3植物組織の作成方法。
【請求項24】 前記C4植物のゲノム遺伝子が、トウモロコシのホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼのゲノム遺伝子であり、C3イネ科植物がイネである、請求項23に記載のC3植物組織の作成方法。
【請求項25】 進化系統学的に近縁なC4植物の遺伝子を発現するC3植物種子であって、該C4植物の光合成経路を構成する酵素の遺伝子の発現調節領域および該C4植物の光合成経路を構成する酵素の構造遺伝子を含有するゲノム遺伝子を有し、該C4植物の光合成経路を構成する酵素の構造遺伝子を、該C4植物で発現される以上に発現する、C3植物種子。
【請求項26】 前記C4植物が単子葉植物であり、前記C3植物種子が単子葉植物の種子である、請求項25に記載のC3植物種子。
【請求項27】 前記C4植物が双子葉植物であり、前記C3植物種子が双子葉植物の種子である、請求項25に記載のC3植物種子。
【請求項28】 前記C4植物のゲノム遺伝子がイントロンを含む、請求項25ないし27いずれかの項に記載のC3植物種子。
【請求項29】 前記C4植物のゲノム遺伝子が、イネ科植物のゲノム遺伝子であり、前記C3植物種子がC3イネ科植物の種子である、請求項28に記載のC3植物種子。
【請求項30】 前記C4植物のゲノム遺伝子が、トウモロコシのホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼのゲノム遺伝子であり、C3イネ科植物がイネである、請求項29に記載のC3植物種子。
【請求項31】 進化系統学的に近縁なC4植物の光合成経路を構成する酵素を高度に発現させるC3植物種子の作成方法であって、該方法は、進化系統学的に近縁なC4植物の光合成経路を構成する酵素の遺伝子の発現調節領域および該C4植物の光合成経路を構成する酵素の構造遺伝子を含有するゲノム遺伝子でC3植物の細胞を形質転換する工程;該形質転換されたC3植物細胞をC3植物体に再生する工程;および、該C3植物体から種子を取得する工程;を含み、ここで、該C3植物種子は、該C4植物の光合成経路を構成する酵素の構造遺伝子を、該C4植物で発現される以上に発現する、方法。
【請求項32】 前記C4植物が単子葉植物であり、前記C3植物種子が単子葉植物の種子である、請求項31に記載のC3植物種子の作成方法。
【請求項33】 前記C4植物が双子葉植物であり、前記C3植物種子が双子葉植物の種子である、請求項31に記載のC3植物体の作成方法。
【請求項34】 前記C4植物のゲノム遺伝子がイントロンを含む、請求項31ないし33いずれかの項に記載のC3植物種子の作成方法。
【請求項35】 前記C4植物のゲノム遺伝子が、イネ科植物のゲノム遺伝子であり、前記C3植物がC3イネ科植物である、請求項34に記載のC3植物種子の作成方法。
【請求項36】 前記C4植物のゲノム遺伝子が、トウモロコシのホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼのゲノム遺伝子であり、C3イネ科植物がイネである、請求項35に記載のC3植物種子の作成方法。
産業区分
  • 農林
  • 有機化合物
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中


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