TOP > 国内特許検索 > 昆虫の休眠卵誘導剤およびその休眠卵産出方法

昆虫の休眠卵誘導剤およびその休眠卵産出方法 新技術説明会

国内特許コード P04A005263
掲載日 2005年1月11日
出願番号 特願2000-261112
公開番号 特開2002-068916
登録番号 特許第3475239号
出願日 平成12年8月30日(2000.8.30)
公開日 平成14年3月8日(2002.3.8)
登録日 平成15年9月26日(2003.9.26)
発明者
  • 塚田 益裕
  • 清野 敦
  • 鈴木 幸一
  • 安 嬰
  • 宋 紅生
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 昆虫の休眠卵誘導剤およびその休眠卵産出方法 新技術説明会
発明の概要 【課題】 昆虫(例えば、カイコ)の休眠卵を産出させる機能を持つと共に、生体の生理状態を攪乱させることのない昆虫(例えば、カイコ)の休眠卵誘導剤および該休眠卵の産出方法を提供すること。
【解決手段】 配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列、Glu-Asn-Phe-Ala-Gly-Gly-Cys-Ala-Thr-Gly-Phe-Met-Arg-Thr-Ala-Asp-Gly-Arg-Cys-Lys-Pro-Thr-Phe-を有し、C末端が遊離酸化され、分子量が2435.73である昆虫麻酔性ペプチドを有効成分として含有する。該ペプチドは、カイコなどの昆虫に対して休眠卵誘導作用を有する。該ペプチドをカイコなどの昆虫に投与して、休眠卵を製造することができる。
従来技術、競合技術の概要


昆虫由来で、いわゆる生体防御物質として知られている抗菌性ペプチドは、200種類以上にもおよび、それらの多くが単離され、構造決定されている。本明細書では、野蚕およびカイコの休眠誘導機能を持つ生理活性物質であるタンパク質を対象とするため、以下、昆虫の休眠を誘導する機能を有する物質を中心に説明し、発明の背景の理解が容易になるようにする。
従来から、昆虫の麻痺性ペプチドは知られている。この麻痺性ペプチドという用語は、活性画分を生体外から注射することにより、体の全体または一部分が収縮し、麻痺性行動を惹起するような活性ペプチドの総称として用いられている。近年、これらの既知ペプチドにおいて、麻痺性活性以外に、生体防御系に関与する活性が見出されたことから、生体内では多機能性があると考えられるようになり、昆虫ペプチドの中でも注目されるようになっている。
「麻痺性ペプチド」、「休眠制御物質」というように、本明細書では同一の物質でありながらも異なる用語で用いられる場合があるため、以下、これらの用語の定義をする。
従来、昆虫由来の麻痺性ペプチドファミリーとしては10種類が知られていた。最近、天蚕の5齢幼虫体液から単離同定された天蚕麻痺性ペプチド(Seino, A. etal., J. Seric. Sci. Jpn., 67, 473-478, 1998.)が、その一次構造のアミノ酸配列と麻痺性の生理活性とから、新にこのファミリーに加えられた(Strand, M.R. et al., J. Insect Physiol., 46, 817-824, 2000)。従って、本明細書では、天蚕由来の麻痺性ペプチドは、昆虫由来の麻痺性ペプチドファミリーの一つとして位置付けて説明する。しかし、前記Seinoらは、ペプチドを単離・同定し、それが麻痺性機能を持つことを既に明らかにしているので、混乱をさけるために、本明細書では、このペプチドを「天蚕麻痺性ペプチド」の代わりに「休眠制御物質」と呼ぶこともある。
昆虫の生理活性ペプチドの中で、麻痺性ペプチドファミリーと呼ばれているものには、例えば、以下のものがある。すなわち、ヨトウガの1種からのプラズマ細胞拡散ペプチド(Clark K. D et al., J. Biol. Chem., 272, 23440-23447, 1997)、アワヨトウからの発育阻害ペプチド(Hayakawa, Y., J. Biol. Chem., 266, 7982-7984, 1991)、ヨトウガとハスモンヨトウからの発育阻害ペプチド(Hayakawa and Ohnishi, Biochem. and Biophys. Res. Commun., 250, 194-199, 1998)、タバコスズメガ・タバコガ・シロイチモンジヨトウからの麻痺性ペプチド(Skinner W. S. et al., J. Biol. Chem., 266, 12873-12877, 1991)、ウワバの1種からの麻痺性ペプチド(Skinner W. S. et al., Biochem. Physiol., 104C, 133-135, 1993)、ヨトウガの1種からの心縮性ペプチド(Furuya et al., Peptides, 20, 53-61, 1999)、そしてカイコからの麻痺性ペプチド(Ha et al., Peptides, 20, 561-568, 1999)が知られている。
これまでに知られている昆虫麻痺性ペプチドファミリーの中で、麻痺性機能が最も大きいものとして、配列番号1に示すアミノ酸配列を持つ天蚕由来の麻痺性ペプチドである休眠制御物質がある。そのため、本明細書では、配列番号1に示すペプチドを天蚕の休眠制御物質と略記することもある。
19世紀に、養蚕のための実用的な孵化技術として塩酸を用いてカイコ卵を孵化させる、いわゆる「塩酸孵化法」が確立されているが、孵化メカニズムの詳細は現在に至っても未だ明らかにされていない。また、天蚕の人工孵化法が開発されたものの、その分子機構は全く解明されていない。本発明者らが進めているカイコの生理活性蛋白質の開発は、昆虫における人工孵化機構を解明するための糸口となるだけでなく、下記に述べるように表裏一体の関係にある長期低温の機構解析への道をも切り拓くことになる。
昆虫のみならず温帯地方に生息する多くの休眠する生物にとって、長期低温順化機構は、生物における人工孵化機構を解明することと表裏一体の関係にあるものであり、重要な生活史調節のための環境シグナルになっている。植物種子の春化機構もその1つの例であるといえる。短期低温順化や長期低温順化に関し、分子レベルからみた低温刺激について、最近活発に研究されている。植物界においては各種のcDNAが決定されるようになり、推定アミノ酸配列から、RNA結合タンパク質、伸長因子、あるいは耐凍タンパク質などが重要な働きを持つものと考えられている。しかし、長期低温順化による生体反応および、休眠覚醒を決定的に説明する遺伝子とタンパク質は未だ発見されていない。

産業上の利用分野


本発明は、昆虫の休眠卵誘導剤およびその休眠卵産出方法に関し、特にカイコ用休眠卵誘導剤およびカイコ休眠卵産出方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列、Glu-Asn-Phe-Ala-Gly-Gly-Cys-Ala-Thr-Gly-Phe-Met-Arg-Thr-Ala-Asp-Gly-Arg-Cys-Lys-Pro-Thr-Phe-を有し、C末端が遊離酸化され、分子量が2435.73であるペプチドを有効成分として含有することを特徴とする昆虫の休眠卵誘導剤。

【請求項2】
前記昆虫がカイコである請求項1記載の昆虫の休眠卵誘導剤。

【請求項3】
前記ペプチドが天蚕幼虫体液由来の昆虫麻痺性ペプチドである請求項1または2記載の昆虫の休眠卵誘導剤。

【請求項4】
ヨトウガ1種のプラズマ細胞拡散ペプチドI(Psi PSP I)又はアワ阻害ペプチド(Pss GBP)のいずれかを有効成分として含有することを特徴とする昆虫の休眠卵誘導剤。

【請求項5】
蛹化後72~96時間のステージのカイコの非休眠卵産出蛹に、請求項1~3のいずれかに記載のペプチド150~300 nmoles/蛹1頭を投与し、該蛹を生育し、羽化した雌を雄と交尾させ、その後産卵させて休眠卵を得ることを特徴とする休眠卵の産出方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2000261112thum.jpg
出願権利状態 登録


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close