TOP > 国内特許検索 > カイコ等の昆虫に対するウイルスの感染、増殖方法

カイコ等の昆虫に対するウイルスの感染、増殖方法 UPDATE

国内特許コード P04A005270
掲載日 2005年1月11日
出願番号 特願平10-153608
公開番号 特開平11-318451
登録番号 特許第2969181号
出願日 平成10年5月18日(1998.5.18)
公開日 平成11年11月24日(1999.11.24)
登録日 平成11年8月27日(1999.8.27)
発明者
  • 米村 真之
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 カイコ等の昆虫に対するウイルスの感染、増殖方法 UPDATE
発明の概要 【課題】 有用なタンパク質をコードする遺伝子を組込んだウイルス等をカイコ等の昆虫に接種して感染させ、増殖して有用物質を大量生産する場合に、ウイルスによる環境汚染のおそれがなく、安全で且つ簡単な操作で、効率よく有用物質を生産することができる新規な方法を提供すること。
【解決手段】 ウイルスから分離精製したDNAをカチオン性脂質を含む水溶液と混合してカイコ等の昆虫に経皮接種することからなる、ウイルスDNAの宿主への感染導入を促進しウイルスを増殖する方法において、ウイルスからウイルスDNAを分離精製する際に、ウイルスの封入体を沈降速度遠心法により純化し、次いで稀薄な炭酸ナトリウム水溶液で溶解して遊離したウイルスを酵素処理した後、ウイルスDNAのアルコール沈殿回収に先立ちヨウ化ナトリウムを添加することを特徴とする、ウイルスDNAの宿主への感染を促進しウイルスを増殖する方法。
従来技術、競合技術の概要



今日、カイコには広食性蚕品種が開発され、また桑葉の粉末を寒天等に練り込んで調製したカイコ用の人工飼料などの常時調達可能な飼料が開発されている。そのため、遺伝子組換え技術を利用し、カイコ等の昆虫を用いて(いわゆる昆虫工場として)有用なタンパク質を生産する技術が盛んに研究されるようになった。有用なタンパク質をコードする遺伝子を組込んだウイルスをカイコ等の昆虫に接種して感染させ、増殖して有用物質を大量生産しようとする試みについては、これまでに、例えば、特開昭61-9288号公報、特開昭62-208276号公報、特開平7-303488号公報、特開平9-215499号公報等いくつかの報告がなされている。

現在、核多角体病ウイルスをカイコ等の昆虫に接種する方法には、経口接種による方法と経皮接種による方法がある。前者の経口接種では、ウイルスを包埋した封入体の懸濁液を人工飼料に吸着または桑葉に塗布してカイコに食下させる方法や、ウイルス液をそのまま人工飼料に吸着または桑葉に塗布し5齢脱皮直後に例えば5℃で24時間低温処理したカイコに食下させる方法が採用されている。また後者の経皮接種の場合には、遊離型ウイルス、包埋型ウイルス及び遺伝子組換えウイルス等のウイルス液を注射器でカイコの体内へ注入する方法が採用されている。

このようなウイルスを経皮接種する方法は、少量の接種液量で確実に感染させることができるという利点はあるが、一方では、接種時にウイルス液が飛散するなどして、作業環境を汚染する欠点もある。そのため、組換えウイルスを物理的に封じ込めるという観点からみると難点がある。

一方、核多角体病ウイルスには、封入体に包埋されない遊離型ウイルスと封入体に包埋された包埋型ウイルスとの2形態がある。一般に、前者の遊離型ウイルスの場合は、ウイルスに感染した培養細胞の培養液またはウイルスに感染した昆虫の体液から、密度勾配超遠心によってウイルス分画を分離し、分離したウイルス分画をDNA精製に供する。また後者の包埋型ウイルスの場合は、沈降速度遠心にかけて精製した封入体をアルカリ液で溶解し、遊離させたウイルスを含む水溶液をウイルス分画として、DNA精製に供する。

分離したウイルス分画からウイルスDNAを精製するには、フェノール法が適用されるが、ウイルス分画中の峡雑物が多いとフェノール抽出を繰り返し行なわなければならない。もっとも、前処理に密度勾配超遠心を行えばフェノール抽出を繰り返し行う操作を省いて直接フェノール/クロロホルム抽出を行うこともできるが、いずれにしてもフェノール法を適用する限りタンパク質を簡単に取り去ることは困難である。

フェノール法には、具体的には、上記分離したウイルス分画に、(1)ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)およびタンパク質分解酵素を加えて55℃で約1時間放置し、ウイルス粒子を分解した後に、(2)水相が無色透明になるまで(水相と等量の)フェノールを加え抽出を繰り返し、引き続き、(3)フェノール:クロロホルム(1:1)溶液を水相と等量加え抽出を行い、さらに(4)クロロホルムを等量加えて抽出を行い、水相に残留するフェノールを完全に除去し、最後に(5)水相の2倍量のエタノールを加えてウイルスDNAを沈殿回収し、(6)回収したDNAをエタノール水溶液で洗浄する、という諸工程を経て精製する方法がある。しかし、この精製法では、かなりの労力と時間がかかる上に、タンパク質を完全に除去して純粋なDNAを得るには必ずしも十分に満足できる方法とはいえない。

また、これまでにDNAのトランスフェクション試薬として各種カチオン性脂質試薬が開発されているが、これらの試薬は、DNAを培養細胞へ導入するために開発された試薬であり、試薬とDNAを一定の割合で混合して得られるDNAのカチオン性脂質試薬溶液を培養細胞の培養液に混入するような方法でDNAの導入を図るものである。

このDNAのカチオン性脂質試薬溶液を用いた方法を使った導入実績のある培養細胞としては、ヒト、サルおよびハムスター等の哺乳類由来の細胞、カイコおよびヨトウ等の昆虫由来の細胞などを挙げることができる。しかし、これらは、いずれも細胞レベルで扱うものであり、個体レベルを対象に実施した例はこれまで発表されていない。これは、動物個体に対してDNAのカチオン性脂質試薬溶液を経皮接種したとしても動物体内の防御機構によってDNAが代謝されてしまうためであると考えられていたからである。

ただ、1990年代半ばになって、ヒトの遺伝子治療を視野に入れた試験的な実験として、DNAのカチオン性脂質試薬溶液を大量にラットの肝臓に対して投入し、遺伝子組換えを図る実験が行われている。しかし、有用なタンパク質をコードする遺伝子を組込んだウイルスをカイコ等の昆虫に接種して感染させ、増殖し有用物質を大量生産するという目的で、ウイルスDNAのカチオン性脂質試薬溶液を用いるという試みは、未だなされていない。

産業上の利用分野



本発明は、組換えウイルス等のDNAをカイコ等の昆虫に感染させ、昆虫体内でそのウイルスを増殖させて有用物質を効率よく生産する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
カイコ核多角体病ウイルスから分離精製したDNAをカチオン性脂質を含む水溶性と混合してイコに経皮接種することからなるウイルスDNAの宿主への感染を促進しウイルスを増殖する方法。

【請求項2】
カイコ核多角体病ウイルスから分離精製したDNAをカチオン性脂質を含む水溶性と混合してイコに経皮接種することからなる、ウイルスDNAの宿主への感染導入を促進しウイルスを増殖する方法において、ウイルスからウイルスDNAを分離精製する際に、ウイルスの封入体を沈降速度遠心法により純化し、次いで稀薄な炭酸ナトリウム水溶液で溶解して遊離したウイルスを酵素処理した後、ウイルスDNAのアルコール沈殿回収に先立ちヨウ化ナトリウムを添加することを特徴とする、ウイルスDNAの宿主への感染を促進しウイルスを増殖する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

08829_01SUM.gif
出願権利状態 登録


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close