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プリオン遺伝子を非機能性に改変した動物細胞株とその使用

国内特許コード P04A005288
掲載日 2005年1月11日
出願番号 特願平11-013834
公開番号 特開2000-210078
登録番号 特許第3084399号
出願日 平成11年1月22日(1999.1.22)
公開日 平成12年8月2日(2000.8.2)
登録日 平成12年7月7日(2000.7.7)
発明者
  • 横山 隆
  • 糸原 重美
  • 小野寺 節
出願人
  • 農林水産省家畜衛生試験場長
発明の名称 プリオン遺伝子を非機能性に改変した動物細胞株とその使用
発明の概要 ヒツジ及びヤギのスクレイピー、牛海綿状脳症は中枢神経系の海綿状変性を主徴とする伝染性疾患で、ヒトのクロイツフエルト・ヤコブ病、ゲルストマン・ストロイスラー症候群、致死性家族性不眠症などとともにプリオン病と呼ばれている。本発明は、血清含有培地で増殖するが無血清培地でアポトーシスを起こす、プリオン遺伝子が欠失されているか又は非機能性となるように変異されている哺乳動物細胞株を提供する。この細胞株を培養しワクチン用ウイルスを感染させ増殖したウイルスを回収することを含むワクチン用ウイルス増殖方法、このウイルスを必要により弱毒化もしくは不活化し医薬的に許容される担体と混合することを含む抗ウイルスワクチンの製造方法、並びにプリオン遺伝子を上記の細胞株に導入して得られた形質転換体を無血清培地で培養しアポトーシス又は増殖に基づき哺乳動物の異常プリオン遺伝子を検出する方法を提供する。
従来技術、競合技術の概要 ヒツジ及びヤギのスクレイピー、牛海綿状脳症は中枢神経系の海綿状変性を主徴とする伝達性疾患で、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ゲルストマン・ストロイスラー症候群、致死性家族性不眠症などとともにプリオン病と呼ばれている。特徴的な臨床症状としては、脱毛、行動異常、歩行障害、起立不能、痴呆、歯ぎしり、不安動作、攻撃的などの症状が報告されている。感染動物の病理学的検査では肉眼的に著変は認められないが、組織学的に中枢神経系の海綿状空胞変性及びグリオーシスが認められる。この疾患の病原体として、感染性の蛋白質プリオンが提唱されている。スクレイピー感染マウスの脳から感染性を指標にしてPrPSC(スクレイピーPrP)と呼ばれる異常蛋白質が病原体として分離されたが、この蛋白質は正常プリオン(PrPC)が翻訳後修飾を受け感染力のあるプリオン様の高次構造に変化して形成されると考えられている。PrPCは、分子量約33~37kDaでグリコシル-ホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーで神経細胞、リンパ球の膜表面に結合する糖蛋白質であり、そのmRNAは特に神経系での発現が顕著であるが、その他の多くの組織でも発現が認められている。二次構造の解析により、PrPCはαヘリックス構造に富み(43%)、βシート構造をほとんど含まない(3%)が、PrPSCはβシート構造が多い(47%)ことが示されている。PrPCをコードするプリオン遺伝子はヒト、ヒツジ、ヤギ、ウシ、マウス、ハムスターなど多くの動物種で同定されており、アミノ酸配列は90%以上の相同性を示し高度に保存された蛋白質である。ヒトのプリオン遺伝子は20番染色体にあり、253個のアミノ酸からなる蛋白質をコードしている。CJDの大部分は変異がなく、プリオンに感染して発病する。生体内に侵入した異常プリオン蛋白質PrPSCは宿主由来の正常プリオン蛋白質PrPCと結合してダイマーを形成しPrPCをPrPSCに変換するという説も提唱されているが、PrPSCの蓄積形態の違いを示す株の存在も知られており、異常プリオンへの変換機序は十分に解明されていない。プリオン病の診断は、病理組織学的検査による海綿状空胞変性とアストロサイトの活性化の確認、電子顕微鏡によるSAFの確認、ウエスタンブロッティング、免疫組織化学的検査法、免疫電子顕微鏡検査などの免疫学的方法、マウス等の実験動物を用いた伝達試験によって行われる。マウスを用いた伝達試験は最も感度の高い方法であるが、本病の潜伏期が長いことから最終的な結果が得られるまでに2年近くかかる。また、免疫学的方法では、正常プリオンと異常プリオンに抗原性の差異が認められない場合が多く、またプリオンは多くの動物間で高度に保存されていることから、感染動物に抗体が出現せず、診断に有用な血清が得られ難い。さらに、病理組織学的検査や電子顕微鏡による診断法では、プリオンに感染してから発病するまでの潜伏期間が約5ヶ月以上と長いためにプリオン病の早期検出が難しい。このため、発症前の微量のPrPSCを検出するには、新たな検査法の開発と感度の向上が求められている。ところで、1939年に英国で旋回病ワクチンの摂取を受けたヒツジが1200頭スクレイピーで発症する事件が起きたが、これはワクチン成分に病原性プリオンが迷入したことが原因であった。現在、ウイルス増殖のために様々な方法で株化した細胞が用いられているが、これらの細胞にはプリオン遺伝子が含まれているため正常プリオン蛋白質の産生がみられる。このことは、ワクチン中にプリオン病病原体が混入する危険性があることを示唆している。一旦病原体が迷入すればその除去は不可能である。このため、ワクチン成分からプリオン病病原体を除去する有効な方法が希求されている。
産業上の利用分野 プリオン遺伝子が欠失されているか又は非機能性となるように変異されている哺乳動物細胞株。また、この哺乳動物細胞株を使用する、ワクチン用ウイルスの増殖方法、抗ウイルスワクチンの製造方法、及び異常プリオン遺伝子を検出する方法。
特許請求の範囲 【請求項1】 血清含有培地で増殖するが無血清培地でアポトーシスを起こす、プリオン遺伝子が欠失されているか又は非機能性となるように変異されている哺乳動物細胞株。
【請求項2】 神経細胞株である、請求項1に記載の哺乳動物細胞株。
【請求項3】 プリオン遺伝子をノックアウトした哺乳動物の脳細胞から得ることができる、請求項1又は2に記載の哺乳動物細胞株。
【請求項4】 細胞株HpL2-1(FERM P-17080)、HpL3-2(FERM P-17081)、HpL3-4(FERM P-17082)およびHpL4-2(FERM P-17083)からなる群から選択される請求項3に記載の哺乳動物細胞株。
【請求項5】 血清含有培地にて請求項1~4のいずれかに記載の哺乳動物細胞株を培養し、ワクチン用ウイルスを感染させ、増殖したウイルスを回収することを含む、ワクチン用ウイルスの増殖方法。
【請求項6】 ウイルスが、インフルエンザウイルス又は脳心筋炎ウイルスである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】 細胞株HpL2-1(FERM P-17080)、HpL3-2(FERM P-17081)、HpL3-4(FERM P-17082)およびHpL4-2(FERM P-17083)からなる群から選択される請求項5に記載の方法。
【請求項8】 請求項5~7のいずれかに記載の方法によって得られるウイルスを、必要により弱毒化もしくは不活化し、医薬的に許容される担体と混合することを含む抗ウイルスワクチンの製造方法。
【請求項9】 さらにアジュバントを含有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】 哺乳動物のプリオン遺伝子を請求項1~4のいずれかに記載の哺乳動物細胞株に導入し、得られた形質転換体を無血清培地にて培養し、アポトーシスが観察された場合には該プリオン遺伝子に異常があり、一方増殖が観察された場合には該プリオン遺伝子が正常であると判定することを含む、哺乳動物の異常プリオン遺伝子を検出する方法。
【請求項11】 形質転換がリポフェクションによって行われる、請求項10に記載の方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中


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