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磁性薄膜及びそれを用いた磁気抵抗効果素子並びに磁気デバイス コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P04P001714
整理番号 A241P19
掲載日 2005年2月1日
出願番号 特願2003-271628
公開番号 特開2004-221526
登録番号 特許第4061590号
出願日 平成15年7月7日(2003.7.7)
公開日 平成16年8月5日(2004.8.5)
登録日 平成20年1月11日(2008.1.11)
優先権データ
  • 特願2002-378502 (2002.12.26) JP
発明者
  • 猪俣 浩一郎
  • 手束 展規
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 磁性薄膜及びそれを用いた磁気抵抗効果素子並びに磁気デバイス コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】 スピン分極率の大きい磁性薄膜及びそれを用いた磁気抵抗効果素子並びに磁気デバイスを提供する。
【解決手段】 基板2と基板上に形成されるCo2 Fex Cr1-x Al薄膜3とを備え、Co2 Fex Cr1-x Al薄膜3はL21 ,B2,A2構造の何れか一つの構造を有し、かつ0≦x≦1である。室温において、強磁性を示し大きなスピン分極率が得られる。基板2とCo2 Fex Cr1-x Al薄膜3の間にはバッファー層4が挿入されてもよい。この磁性薄膜を用いたトンネル磁気抵抗効果素子及び巨大磁気抵抗効果素子は、室温において、低磁界で大きなTMRとGMRが得られる。さらに、これらの磁気抵抗効果素子を用いた磁気デバイス、磁気ヘッド、磁気記録装置を提供する。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要


近年、強磁性層/非磁性金属層の多層膜からなる巨大磁気抵抗(GMR)効果素子、及び強磁性層/絶縁体層/強磁性層からなるトンネル磁気抵抗効果素子や強磁性スピントンネル接合(MTJ)素子が、新しい磁界センサーや不揮発性ランダムアクセス磁気メモリ(MRAM)素子として注目されている。
巨大磁気抵抗効果素子には、膜面内に電流を流すタイプのCIP(Current In Plane)構造の巨大磁気抵抗効果素子と、膜面垂直方向に電流を流すタイプのCPP(Current Perpendicular to the Plane)構造の巨大磁気抵抗効果素子が知られている。巨大磁気抵抗効果素子の原理は磁性層と非磁性層の界面におけるスピン依存散乱にあり、一般に、CPP構造の巨大磁気抵抗効果素子の方がCIP構造の巨大磁気抵抗効果素子よりもGMRが大きい。



このような巨大磁気抵抗効果素子素子は、強磁性層の一方に反強磁性層を近接させて強磁性層のスピンを固定させるスピンバルブ型が用いられている。CPP構造のスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の場合、反強磁性層の電気抵抗率が200μΩ・cm程度とGMR膜に比べて2 桁程度大きいため、GMR効果が薄められ、スピンバルブ型のCPP構造の巨大磁気抵抗効果素子の磁気抵抗の値は1%以下と小さい。そのため、CIP構造の巨大磁気抵抗効果素子はすでにハードデイスクの再生ヘッドに実用化されているものの、CPP構造の巨大磁気抵抗効果素子はまだ実用にいたっていない。



一方、トンネル磁気抵抗効果素子やMTJでは、外部磁界によって2つの強磁性層の磁化を互いに平行あるいは反平行に制御することにより,膜面垂直方向のトンネル電流の大きさが互いに異なる、いわゆるトンネル磁気抵抗(TMR)効果が室温で得られる(非特許文献1参照)。このTMRは、用いる強磁性体と絶縁体との界面におけるスピン分極率Pに依存し、二つの強磁性体のスピン分極率をそれぞれP1 ,P2 とすると、一般に下記(1)式で与えられることが知られている。



TMR=2P1 2 /(1-P1 2 ) (1)
ここで、強磁性体のスピン分極率Pは0<P≦1の値をとる。



現在、得られている室温における最大のTMRはP~0.5のCoFe合金を用いた場合の約50パーセントである。



TMR素子は現在、ハードデイスク用磁気ヘッド及び不揮発性ランダムアクセス磁気メモリ(MRAM)への応用が期待されている。MRAMでは、MTJ素子をマトリックス状に配置し、別に設けた配線に電流を流して磁界を印加することで、各MTJ素子を構成する二つの磁性層を互いに平行、反平行に制御することにより、“1”,“0”を記録させる。読み出しは、TMR効果を利用して行う。しかし、MRAMでは高密度化のために素子サイズを小さくすると、素子のバラツキに伴うノイズが増大し、TMRの値が現状では不足するという問題がある。したがって、より大きなTMRを示す素子の開発が必要である。



上記(1)式からわかるように、P=1の磁性体を用いると無限に大きなTMRが期待される。P=1の磁性体はハーフメタルと呼ばれる。
これまで、バンド構造計算によって、Fe3 4 ,CrO2 ,(La-Sr)MnO3 ,Th2 MnO7 ,Sr2 FeMoO6 などの酸化物、NiMnSbなどのハーフホイスラー合金、及びCo2 MnGe,Co2 MnSi,Co2 CrAlなどのL21 構造をもつフルホイスラー合金などがハーフメタルとして知られている。例えば、Co2 MnGeなどの従来のL21 構造を有するフルホイスラー合金は基板を200℃程度に加熱し、さらに、その膜厚を通常25nm以上にして作製できることが報告されている(非特許文献2参照)。



最近、ハーメタルのCo2 CrAlの構成元素であるCrの一部をFeで置換したCo2 Fe0.4 Cr0.6 Alも、バンド構造の理論計算によれば、L21 型のハーフメタルであることが報告された(非特許文献3参照)。しかし、その薄膜及びトンネル接合は作製されていない。したがって、従来のL21 型化合物と同様に、この薄膜がハーフメタル特性や大きなTMR特性を示すか否かは、実験的には全くわかっていない。



【非特許文献1】
T. Miyazaki and N. Tezuka, "Spin polarized tunneling in ferromagnet/insulator/ferromagnet junctions", 1995, J. Magn. Magn. Mater, L39, p.1231
【非特許文献2】
T. Ambrose, J. J. Crebs and G. A. Prinz, "Magnetic properties of single crystal C2MnGe Heusler alloy films" , 2000, Appl. Phys. Lett.,Vol.87, p.5463
【非特許文献3】
T. Block, C. Felser, and J. Windeln, "Spin Polarized Tunneling at Room Temperature in a Heusler Compound-a non-oxide Materials with a Large Negative Magnetoresistance Effect in Low Magnetic Fields", April 28, 2002, Intermag Digest, EE01

産業上の利用分野


本発明は、スピン分極率の大きい磁性薄膜及びそれを用いた磁気抵抗効果素子並びに磁気デバイスに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
基板と該基板上に形成されるCoFe Cr1-x Al薄膜と、を備え、
上記CoFe Cr1-x Al薄膜はB2またはA2構造の結晶構造を有し、かつ、0≦x≦1であることを特徴とする磁性薄膜。

【請求項2】
前記基板を加熱することなく前記CoFe Cr1-x Al薄膜が成膜されたことを特徴とする、請求項1に記載の磁性薄膜。

【請求項3】
前記基板が、熱酸化Si,ガラス,MgO単結晶,GaAs単結晶,Al 単結晶の何れか一つであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の磁性薄膜。

【請求項4】
前記基板と前記CoFe Cr1-x Al薄膜の間にAl,Cu,Cr,Fe,Nb,Ni,Ta,NiFeのうちの少なくとも一つから成るバッファー層が配設されていることを特徴とする、請求項1~3の何れかに記載の磁性薄膜。

【請求項5】
基板上に複数の強磁性層を有するトンネル磁気抵抗効果素子において、少なくとも一方の強磁性層が、B2またはA2構造の結晶構造を有するCoFe Cr1-x Al(ここで、0≦x≦1)磁性薄膜でなることを特徴とする、トンネル磁気抵抗効果素子。

【請求項6】
前記強磁性層が、固定層とフリー層とで成り、該フリー層がB2またはA2構造の結晶構造の何れか一つの構造を有するCoFe Cr1-x Al(ここで、0≦x≦1)磁性薄膜でなることを特徴とする、請求項に記載のトンネル磁気抵抗効果素子。

【請求項7】
前記基板を加熱することなく前記CoFe Cr1-x Al薄膜が成膜されたことを特徴とする、請求項5又は6に記載のトンネル磁気抵抗効果素子。

【請求項8】
前記基板と前記CoFe Cr1-x Al薄膜(ここで、0≦x≦1)との間にAl,Cu,Cr,Fe,Nb,Ni,Ta,NiFeのうちの少なくとも一つから成るバッファー層が配設されていることを特徴とする、請求項5~7の何れかに記載のトンネル磁気抵抗効果素子。

【請求項9】
前記基板が、熱酸化Si,ガラス,MgO単結晶,GaAs単結晶,Al 単結晶の何れか一つであることを特徴とする、請求項5~8の何れかに記載のトンネル磁気抵抗効果素子。

【請求項10】
基板上に複数の強磁性層を有する巨大磁気抵抗効果素子において、少なくとも一方の強磁性層が、B2,またはA2構造の結晶構造を有するCoFe Cr1-x Al(ここで、0≦x≦1)磁性薄膜で成り、膜面垂直方向に電流が流れる構造としたことを特徴とする、巨大磁気抵抗効果素子。

【請求項11】
前記強磁性層が、固定層とフリー層とで成り、該フリー層がB2またはA2構造の結晶構造を有するCoFe Cr1-x Al(ここで、0≦x≦1)磁性薄膜でなることを特徴とする、請求項10に記載の巨大磁気抵抗効果素子。

【請求項12】
前記基板を加熱することなく前記CoFe Cr1-x Al薄膜が成膜されたことを特徴とする、請求項10または11に記載の巨大磁気抵抗効果素子。

【請求項13】
前記基板と前記Co Fe Cr1-xAl(ここで、0≦x≦1)薄膜との間にAl,Cu,Cr,Fe,Nb,Ni,Ta,NiFeのうちの少なくとも一つから成るバッファー層が配設されていることを特徴とする、請求項10~12の何れかに記載の巨大磁気抵抗効果素子。

【請求項14】
前記基板が、熱酸化Si,ガラス,MgO単結晶,GaAs単結晶,Al 単結晶の何れか一つであることを特徴とする、請求項10~13の何れかに記載の巨大磁気抵抗効果素子。

【請求項15】
B2またはA2構造の結晶の何れか一つの構造を有するCoFe Cr1-x Al(ここで、0≦x≦1)磁性薄膜が基板上に形成されてなることを特徴とする、磁気デバイス。

【請求項16】
フリー層が前記CoFe Cr1-x Al(ここで、0≦x≦1)磁性薄膜で成るトンネル磁気抵抗効果素子または巨大磁気抵抗効果素子を用いたことを特徴とする、請求項15に記載の磁気デバイス。

【請求項17】
前記基板を加熱することなく作製されたトンネル磁気抵抗効果素子または巨大磁気抵抗効果素子を用いたことを特徴とする、請求項15または16に記載の磁気デバイス。

【請求項18】
前記基板と前記CoFe Cr1-x Al(ここで、0≦x≦1)薄膜との間にAl,Cu,Cr,Fe,Nb,Ni,Ta,NiFeのうちの少なくとも一つから成るバッファー層が配設されたトンネル磁気抵抗効果素子または巨大磁気抵抗効果素子を用いたことを特徴とする、請求項15~17の何れかに記載の磁気デバイス。

【請求項19】
前記基板が、熱酸化Si,ガラス,MgO単結晶,GaAs単結晶,Al 単結晶の何れか一つであるトンネル磁気抵抗効果素子または巨大磁気抵抗効果素子を用いたことを特徴とする、請求項15~18の何れかに記載の磁気デバイス。

【請求項20】
B2またはA2構造の結晶構造を有するCoFe Cr1-x Al(ここで、0≦x≦1)磁性薄膜が基板上に形成されてなることを特徴とする、磁気ヘッド及び磁気記録装置。

【請求項21】
フリー層が前記CoFe Cr1-x Al(ここで、0≦x≦1)磁性薄膜で成るトンネル磁気抵抗効果素子または巨大磁気抵抗効果素子を用いたことを特徴とする、請求項20に記載の磁気ヘッド及び磁気記録装置。

【請求項22】
前記基板を加熱することなく作製されたトンネル磁気抵抗効果素子または巨大磁気抵抗効果素子を用いたことを特徴とする、請求項20または21に記載の磁気ヘッド及び磁気記録装置。

【請求項23】
前記基板と前記CoFe Cr1-x Al(ここで、0≦x≦1)薄膜との間にAl,Cu,Cr,Fe,Nb,Ni,Ta,NiFeのうちの少なくとも一つから成るバッファー層が配設されたトンネル磁気抵抗効果素子または巨大磁気抵抗効果素子を用いたことを特徴とする、請求項20~22の何れかに記載の磁気ヘッド及び磁気記録装置。

【請求項24】
前記基板が、熱酸化Si,ガラス,MgO単結晶,GaAs単結晶,Al 単結晶の何れか一つであるトンネル磁気抵抗効果素子または巨大磁気抵抗効果素子を用いたことを特徴とする、請求項20~23の何れかに記載の磁気ヘッド及び磁気記録装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2003271628thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 新しい物理現象や動作原理に基づくナノデバイス・システムの創製 領域
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