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畜舎汚水からの燐回収装置

国内特許コード P04A005970
整理番号 機械・加工・装置-167
掲載日 2005年2月16日
出願番号 特願2003-388065
公開番号 特開2004-195453
登録番号 特許第4129953号
出願日 平成15年11月18日(2003.11.18)
公開日 平成16年7月15日(2004.7.15)
登録日 平成20年5月30日(2008.5.30)
優先権データ
  • 特願2002-351381 (2002.12.3) JP
発明者
  • 鈴木 一好
  • 田中 康男
  • 長田 隆
  • 和木 美代子
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 畜舎汚水からの燐回収装置
発明の概要

【課題】 畜舎汚水を曝気処理して汚水中の溶解性燐を固化沈澱させ、沈澱物から燐等を回収する回収設備を開発する。
【解決手段】 汚水導入管(22)から処理水槽(10)へと汚水(26)を導き、この水槽内に曝気筒(30)を配し、その下部に散気手段(34)を設け、曝気処理により汚水を塩基性にして、汚水中の溶解性燐を析出させる。析出した燐含有物を水槽沈澱部(12)の下方に沈降させて沈澱物(18)として回収する。曝気処理汚水と接する部材である曝気筒表面(32)及び水槽沈澱部表面(16)を結晶化物が付着し難いゴム系素材、表面平滑なステンレス鋼板等で被覆すると燐回収率が向上する。更に曝気筒内に析出した結晶化物を捕捉する収集具(40)を吊るして回収すると燐等の回収効率が一層高まる。
【選択図】 【図2】


従来技術、競合技術の概要


昨今、畜産経営の大規模化、専業化が全国的に進行しているが、経営内農地の拡大を伴わないケースが多い。それに起因して家畜排泄物が集中・偏在化する傾向があるが、関係法令が整備されたこともあって、家畜排泄物の適正な処理が強く求められている。



家畜排泄物を含有する畜舎汚水は、これまでに、嫌気性処理技術及び好気性処理技術を利用した種々のタイプの浄化装置が開発されている(畜産環境保全論、62-97頁、養賢堂、1998年)。



しかしながら、嫌気性処理技術では、畜舎汚水中の有機物の除去は充分に行われるが、窒素・燐の除去は不充分であることが知られている。また、好気性処理技術のうち標準活性汚泥法では畜舎汚水中の有機物の除去は充分に行われるが、窒素・燐の除去は不充分であることが知られている。間歇曝気活性汚泥法では畜舎汚水中の有機物及び窒素の除去は充分に行われるが、燐については余剰汚泥を貯留する際に、嫌気化すると汚泥中に蓄積された燐が再放出され、処理が不安定になることなどが知られている。このように、畜舎汚水中の燐に関しては、除去はおろか回収して再資源化することについての確固たる技術がなく、その開発が急務とされる。



ここで、燐回収技術として、下水・屎尿処理分野では、下水・屎尿の嫌気性処理又はそれらの汚泥処理の際に発生する排液を対象にして、可溶性燐を人為的に不溶性にして回収する技術として燐酸マグネシウムアンモニウム(MAP)法が提唱されている(下水道協会誌論文集、28巻、324号、68-77頁、1991年及び特開昭62-262789号公報、特開平1-119392号公報等)。



この技術は、処理対象汚水に苛性ソーダ等のpH調整剤と不足成分であるマグネシウムとを添加した後に混合し、MAP反応を惹起せしめ、可溶性燐を不溶化して回収するものである。MAP反応とは、水中に燐酸イオン、アンモニウムイオン及びマグネシウムイオンが存在すると、アルカリ条件下において夫々が等モルずつ結合し、不溶性のMAPを形成する反応である。このMAPは沈降性に優れ、容易に沈澱分離することができる(造水技術、22巻、1号、1-4頁、1996年)。もっとも、この技術はpH調整剤に加えマグネシウムという薬剤を添加する必要があり、pH制御を含む運転が煩瑣になるうえに、試薬を含めた運転経費が割高となる問題点があって、一般畜産農家には推奨し難いものである。



この問題の一部を解決した燐回収技術として、処理対象汚水を曝気することによりpH調整を行い、添加する薬剤をマグネシウムのみとした改良法がある(用水と廃水、29巻、7号、636-640頁、1987年及び特開昭63-84696号公報)。この方法によると、曝気により対象水中に溶け込んでいた炭酸ガス等が追い出され、その結果、処理汚水のpHが上昇することを利用し、pH調整剤の添加を不要としたものである。また、この技術を実施する装置も提案されている(特開平11-151500号公報)。この装置はMAPの曝気槽であって、この曝気槽に設けられた対象水の供給口と、マグネシウム塩の供給手段と、上段に設けられた処理済水の排水手段と、結晶を流動層として形成するために底部付近に設けられた空気噴出手段と、その空気噴出手段の下方に設けられた成長して大きくなった結晶の取出口を備えたものであって、脱燐装置でもある。



特に、この種の畜舎汚水を対象とした場合、対象汚水は高濃度のマグネシウムを含有しているので、薬剤を一切使用することなく、曝気のみでMAP反応を誘導することができることが知られている。沈殿槽の内部に曝気筒を設けて、その部位において、処理対象汚水を曝気することによって、対象汚水中の可溶性燐を固化・結晶化させて、沈殿除去・回収する装置が提唱されており、実際に処理対象汚水中の燐酸成分の多くを結晶化し、沈殿回収できることが開示されている(日本養豚学会誌、39巻、2号、101-111頁、2002年)。ここで得られたMAPは肥料として耕地に使用できることも知られている。

【特許文献1】特開昭62-262789号公報

【特許文献2】特開平01-119392号公報

【特許文献3】特開昭63-084696号公報

【特許文献4】特開平11-151500号公報

【非特許文献1】畜産環境保全論、62-97頁、養賢堂、1998年

【非特許文献2】下水道協会誌論文集、28巻、324号、68-77頁、1991年

【非特許文献3】造水技術、22巻、1号、1-4頁、1996年

【非特許文献4】用水と廃水、29巻、7号、636-640頁、1987年

【非特許文献5】日本養豚学会誌、39巻、2号、101-111頁、2002年

産業上の利用分野


本発明は畜舎汚水から資源を回収する技術に関し、殊に、畜産農家が容易に実施できるように畜舎汚水中に塩基性試薬や凝固剤を含む添加物を添加するような格別の手段を講ずることなく、畜舎汚水の燐及び燐化合物を平易に回収する方法及び回収装置に係るものであって、併せて畜舎汚水の浄化をもたらす技術に係る。

特許請求の範囲 【請求項1】
畜舎汚水中の燐を回収処理する処理水槽と、
該畜舎汚水を該処理水槽に導入する畜舎汚水導入手段と、
該畜舎汚水中に空気または無毒性気体を散気する散気手段と、
該散気手段に空気または無毒気体を配気する配気手段と、
該散気手段の直上に設置され、該処理水槽内部に該散気手段により形成される気泡を含有する曝気処理中の該畜舎汚水を囲む曝気筒と、
曝気により析出・結晶化し、沈殿した燐含有沈殿物を該処理水槽底部より回収する燐含有沈殿物回収手段と、
該曝気筒の内部および下部の少なくとも一方の該畜舎汚水中に設置される該畜舎汚水中で析出した結晶化燐を捕捉する捕捉手段と、
処理後の該畜舎汚水を該処理水槽から導出する畜舎汚水導出手段と、を含む畜舎汚水からの燐回収装置であって、
該曝気筒および該処理水槽の底部が、結晶化燐の1日当たりの付着率が8ミリグラム/平方センチメートル以下の材質で構成され、
該捕捉手段が、該結晶化燐の1日当たりの付着率が15ミリグラム/平方センチメートル以上の材質で構成される畜舎汚水からの燐回収装置。

【請求項2】
該曝気筒および該処理水槽の底部が、ステンレス鋼、ポリ塩化ビニル、ポリアクリルアミド、またはゴムの滑面板で構成される請求項1に記載の畜舎汚水からの燐回収装置。

【請求項3】
該捕捉手段が、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、ポリ塩化ビニル、またはポリアクリルアミドの粗面板で構成される請求項1または2に記載の畜舎汚水からの燐回収装置。
産業区分
  • 処理操作
  • 無機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2003388065thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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