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新規なcDNAサブトラクション法

国内特許コード P04A005986
整理番号 植物バイオ-129
掲載日 2005年2月16日
出願番号 特願2000-084213
公開番号 特開2001-269172
登録番号 特許第3459977号
出願日 平成12年3月24日(2000.3.24)
公開日 平成13年10月2日(2001.10.2)
登録日 平成15年8月15日(2003.8.15)
発明者
  • 中原 健二
  • 吉田 幸二
  • 北川 良親
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 新規なcDNAサブトラクション法
従来技術、競合技術の概要 組織特異的に発現する遺伝子を濃縮してクローニングする方法として、cDNAサブトラクション法が知られる。多細胞生物は、同一の遺伝情報を持ちながら、その発現様式の違いにより、別の機能・形質を示す細胞へと分化していると考えられている。組織特異的に発現する遺伝子を単離することは、その機能若しくは形質発現の機構解明のために重要な第一歩となるばかりでなく、それらの遺伝子は、その機能・形質を司る重要な作用を持つ有用な機能タンパク質である可能性があり、さまざまな産業上の利用が期待できる。cDNAサブトラクション法は、機能・形質の異なる細胞組織間で発現量の違う遺伝子の部分的なcDNAを濃縮してクローニングする方法であり、該方法では、まず、ある機能・形質を示す組織(以下「テスタ(tester)」という。)と、それらを示さない若しくはそれらとは違う組織(以下「ドライバ(driver)」という。)からmRNAを抽出して、2本鎖cDNAの合成を行う。次いで、テスタ及びドライバ由来のcDNAをそれぞれ別々の(異なった切断面を生じる)制限酵素で切断し、両cDNAを熱変性等で1本鎖に解離させた後に、テスタ由来のcDNAに過剰量のドライバ由来のcDNAを加えて2本鎖を再形成させる(サブトラクティブハイブリダイゼーション)。このとき、テスタ由来のcDNA群において、ドライバのそれと共通の配列を有する、すなわち、テスタとドライバの両組織で発現している遺伝子由来のcDNAは、過剰量加えたドライバ由来のcDNAとハイブリッドを形成するが、テスタでのみ発現している遺伝子由来のcDNAは、もとの2本鎖を形成する。その後、テスタ由来のcDNAと同じ制限酵素で切断したプラスミドベクターにライゲーションすることにより、テスタ由来のcDNAにおいて、元と同じ2本鎖を形成したcDNAだけがクローニングされる。しかし、上記の方法では、テスタとドライバの双方において発現する遺伝子由来のcDNAであっても、その一部はもとの2本鎖を形成し、その結果、両組織で発現している遺伝子、すなわち、その機能・形質の発現にはあまり関わりのない遺伝子(以下、「非特異遺伝子」という。)のcDNAもクローニングされることになる。従って、上記の方法では、テスタで特異的に発現する遺伝子(以下「特異遺伝子」という。)のcDNAを濃縮することはできるが、単離してクローニングすることはできない。このような非特異遺伝子のcDNAのクローニングを回避するために、ドライバ由来のcDNAをより過剰に加えることが考えられるが、その場合、特異遺伝子がもとの2本鎖を形成する可能性を低くすることとなり、特に、少量しか発現していない特異遺伝子の単離が困難となる。ところで、特定のDNA断片を指数関数的に増幅する方法としてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法がある。このPCRを工程に加えたリプレゼンテーショナル・ディフェレンス・アナリシス(RDA)法(Lisitsyn, N., Lisitsyn, N. andWigler, M., Science 259 (1993) p.946)が報告され、さらに、その改良法(Gurskaya, N.G., Diatchenko, L., Chenchik, A., Siebert, P.D., Khaspekov, G.L., Lukyanov, K.A., Vagner, L.L., Ermolaeva, O.D., Lukyanov, S.A. and Sverdlov, E.D., Analytical Biochemistry 240 (1996) p.90)が報告された。これは、上記のサブトラクティブハイブリダイゼーションを行い、テスタ由来で元の2本鎖を形成した分子だけがPCRにより指数関数的に増幅されることを特徴とする方法で、その利点としては、最初の過程でcDNAの合成に用いるmRNAの量が少なくてすむこと、特異遺伝子を増幅して単離することから、少量しか発現していない特異遺伝子をクローニングできる可能性が従来法に比べて高まったことが挙げられる。しかし、サブトラクティブハイブリダイゼーションを2本鎖DNAで行うために非特異遺伝子の増幅を回避できず、従って、特異遺伝子と非特異遺伝子を完全に分離できないという欠点は、従来法と変わらない。一方、特定のRNA断片を指数関数的に増幅する方法として、Nucleic Acid Sequence-Based Amplification(NASBA)法が考案された(Davey and Malek, 1989, 欧州特許第0329822号公報)。NASBA法は、PCR法と比較して、いくつかの点で違う特徴がある。その特徴の1つに、PCRがDNAを鋳型にして2本鎖DNAを増幅するのに対し、NASBAは、基本的に1本鎖RNAを鋳型にそれに相補的な1本鎖RNAを増幅できるという点がある。
産業上の利用分野 本発明は任意の組織に特異に存在するRNAの部分配列の単離及び増幅に関する。詳しくは、任意の生物機能・形質の異なる細胞及び組織間において、その機能若しくは形質を示す細胞若しくは組織に特異に存在するRNA断片の単離及び増幅に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 ある生物組織(テスタ)と別の生物組織(ドライバ)由来のmRNAを含むRNAにおいて、テスタに特異的に存在する遺伝子の部分塩基配列を含む核酸を単離及び増幅する方法であって、以下の工程:(A)テスタ及びドライバから抽出したRNAを鋳型として、テスタの抽出RNAに相補若しくは相同な任意の部分塩基配列を含む1本鎖RNA、及びドライバの抽出RNAに相同若しくは相補な任意の部分塩基配列を含む1本鎖RNAを、任意の複数の塩基配列からなる混合プライマーのペアを用いたNASBA法によって増幅する工程;(B)テスタ由来の1本鎖RNAと過剰量のドライバ由来の1本鎖RNAとの間でハイブリダイゼーションを行って、2本鎖を形成した核酸を除去する工程;及び(C)前記(B)の工程においてハイブリダイゼーションされなかった1本鎖RNAに相同又は相補な1本鎖RNAを、任意の複数の塩基配列からなる混合プライマーのペアを用いたNASBA法によって増幅する工程;を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】 混合プライマーが3’末端の3塩基が共通する128~256種類の複数の塩基配列からなる混合プライマーである、請求項1記載の方法。
【請求項3】 以下の工程:(D)前記(C)の工程で増幅される1本鎖RNAを鋳型として、2本鎖DNAを増幅する工程;をさらに含む請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】 ある生物組織(テスタ)と別の生物組織(ドライバ)由来のmRNAを含むRNAにおいて、テスタに特異的に存在する遺伝子の部分塩基配列を含むDNAをクローニングする方法であって、以下の工程:(A)テスタ及びドライバから抽出したRNAを鋳型として、テスタの抽出RNAに相補若しくは相同な任意の部分塩基配列を含む1本鎖RNA、及びドライバの抽出RNAに相同若しくは相補な任意の部分塩基配列を含む1本鎖RNAを、任意の複数の塩基配列からなる混合プライマーのペアを用いたNASBA法によって増幅する工程;(B)テスタ由来の1本鎖RNAと過剰量のドライバ由来の1本鎖RNAとの間でハイブリダイゼーションを行って、2本鎖を形成した核酸を除去する工程;(C)前記(B)の工程においてハイブリダイゼーションされなかった1本鎖RNAに相同又は相補な1本鎖RNAを、任意の複数の塩基配列からなる混合プライマーのペアを用いたNASBA法によって増幅する工程;(D)前記(C)の工程で増幅される1本鎖RNAを鋳型として、2本鎖DNAを増幅する工程;及び(E)前記(D)の工程で増幅される2本鎖DNAをベクター中に組み込み、得られる組換えベクターを用いて宿主を形質転換する工程;を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項5】 混合プライマーが3’末端の3塩基が共通する128~256種類の複数の塩基配列からなる混合プライマーである、請求項4記載の方法。
【請求項6】 以下のプライマーペア:(A)(i)任意の複数の塩基配列からなる第1の混合オリゴヌクレオチド及びその5'末端に付加されたT7プロモータからなるプライマー:並びに(ii)任意の複数の塩基配列からなる第2の混合オリゴヌクレオチドからなるプライマー:からなる、テスタ及びドライバから抽出したRNAを鋳型としてそれぞれの任意の部分に相補な1本鎖RNAを増幅するためのNASBA用プライマーペア;(B)(i)前記第1の混合オリゴヌクレオチド及びその5'末端に付加されたT7プロモータからなるプライマー:並びに(ii)前記第2の混合オリゴヌクレオチド及びその5'末端に付加された任意の1種の塩基配列からなる第3のオリゴヌクレオチドからなるプライマー:からなる、テスタ由来の相補的1本鎖RNAを鋳型として該RNAに相同的な1本鎖RNAを増幅するためのNASBA用プライマーペア;(C)(i)前記第1の混合オリゴヌクレオチド及びその5'末端に付加されたオリゴdTからなるプライマー:並びに(ii)前記第2の混合オリゴヌクレオチド及びその5'末端に付加されたT7プロモータからなるプライマー:からなる、ドライバ由来の相補的1本鎖RNAを鋳型として該RNAに相補的な1本鎖RNAを増幅するためのNASBA用プライマーペア;(D)(i)前記第3のオリゴヌクレオチド及びその5'末端に付加されたT7プロモータからなるプライマー:及び(ii)前記第1の混合オリゴヌクレオチドからなるプライマー:からなる、1本鎖RNAを鋳型として該RNAに相補的な1本鎖RNAを増幅するためのNASBA用プライマーペア、又は(i)前記第3のオリゴヌクレオチドからなるプライマー:及び(ii)前記第1の混合オリゴヌクレオチド及びその5'末端に付加されたT7プロモータからなるプライマー:からなる、1本鎖RNAを鋳型として該RNAに相同的な1本鎖RNAを増幅するためのNASBA用プライマーペア;を含む、テスタとドライバ由来のmRNAを含むRNAにおいて、テスタに特異的に存在する遺伝子の部分塩基配列を含む核酸を単離及び増幅するためのプライマーセット。
【請求項7】 前記第1の混合オリゴヌクレオチドが配列番号1で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチドであり、前記第2の混合オリゴヌクレオチドが配列番号4で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチドであり、前記第3のオリゴヌクレオチドが配列番号7で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチドである、請求項6記載のプライマーセット。
【請求項8】 以下のプライマーペア:(A)(i)任意の複数の塩基配列からなる第1の混合オリゴヌクレオチド及びその5'末端に付加されたT7プロモータからなるプライマー:並びに(ii)任意の複数の塩基配列からなる第2の混合オリゴヌクレオチドからなるプライマー:からなる、テスタ及びドライバから抽出したRNAを鋳型としてそれぞれの任意の部分に相補な1本鎖RNAを増幅するためのNASBA用プライマーペア;(B)(i)前記第1の混合オリゴヌクレオチド及びその5'末端に付加された任意の1種の塩基配列からなる第4のオリゴヌクレオチドからなるプライマー:並びに(ii)前記第2の混合オリゴヌクレオチド及びその5'末端に付加されたT7プロモータからなるプライマー:からなる、テスタ由来の相補的1本鎖RNAを鋳型として該RNAに相補的な1本鎖RNAを増幅するためのNASBA用プライマーペア;(C)(i)前記第1の混合オリゴヌクレオチド及びその5'末端に付加されたT7プロモータからなるプライマー:並びに(ii)前記第2の混合オリゴヌクレオチド及びその5'末端に付加されたオリゴdTからなるプライマー:からなる、ドライバ由来の相補的1本鎖RNAを鋳型として該RNAに相同的な1本鎖RNAを増幅するためのNASBA用プライマーペア;(D)(i)前記第4のオリゴヌクレオチド及びその5'末端に付加されたT7プロモータからなるプライマー:及び(ii)前記第2の混合オリゴヌクレオチドからなるプライマー:からなる、1本鎖RNAを鋳型として該RNAに相補的な1本鎖RNAを増幅するためのNASBA用プライマーペア、又は(i)前記第4のオリゴヌクレオチドからなるプライマー:及び(ii)前記第2の混合オリゴヌクレオチド及びその5'末端に付加されたT7プロモータからなるプライマー:からなる、1本鎖RNAを鋳型として該RNAに相同的な1本鎖RNAを増幅するためのNASBA用プライマーペア;を含む、テスタとドライバ由来のmRNAを含むRNAにおいて、テスタに特異的に存在する遺伝子の部分塩基配列を含む核酸を単離及び増幅するためのプライマーセット。
【請求項9】 前記第1の混合オリゴヌクレオチドが配列番号1で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチドであり、前記第2の混合オリゴヌクレオチドが配列番号4で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチドであり、前記第4のオリゴヌクレオチドが配列番号7で表わされる塩基配列に相補的な塩基配列を含むオリゴヌクレオチドである請求項8記載のプライマーセット。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中


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