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流動測定用石膏硬化体及びそれを用いる流動測定方法

国内特許コード P04A006041
整理番号 測定・分析-36
掲載日 2005年2月16日
出願番号 特願2002-171236
公開番号 特開2004-020204
登録番号 特許第4171799号
出願日 平成14年6月12日(2002.6.12)
公開日 平成16年1月22日(2004.1.22)
登録日 平成20年8月22日(2008.8.22)
発明者
  • 川俣 茂
出願人
  • 国立研究開発法人水産研究・教育機構
発明の名称 流動測定用石膏硬化体及びそれを用いる流動測定方法
発明の概要 【課題】波の影響が支配的である沿岸浅所において海水の流動を長期間、簡単かつ精度よく測定できる流動測定用製品の提供。
【解決手段】焼石膏、水溶性メラミン樹脂粉体及び水を混合して半球状の石膏硬化体を形成する。この石膏硬化体の平面部を板体に接着する。この装置を用いて沿岸浅所の海水の流動を測定する。
石膏硬化体の厚さの平均的減少速度で定義される平均溶解速度によって長時間にわたる海水の流動の時間平均強さを簡単に測定することができ、またこの平均溶解速度と絶対流速の時間平均との間には直線関係があり、その直線関係を現地の流動の中で検定すれば、現地のさまざまな地点と時間における絶対流速の時間平均を精度よく推定することができる。
従来技術、競合技術の概要


沿岸浅所は海水の流動が時間的にも空間的にも激しく変化する領域である。すなわち、流動を引き起こす波や潮汐の時間的変化と岸沖方向の水深の変化に加えて、岬、岩礁、海岸構造物などの障害物が流動の異なる大小様々の場を形成している。このような沿岸浅所に生息する生物は様々な面で海水の流れの影響を受けて生活している。
海水の流れは、一般に水温、塩分に比べて時間的にも空間的にも激しく変化するため定量的な評価が難しい。加えて、定点観測用の流速計が高価であることが調査の実施を困難にしている。



従来、このような海水の流動を簡単かつ定量的に測定する方法として、石膏硬化体をある一定の型枠で球形に成型し、これを一定時間海中に設置してその溶解量から流動の大きさを相対的に評価することが研究者らによって発表されている。例えば、Muus (SARSIA 34, 61~68 (1968))、Doty (Botanica Marina, 14, 32~35 (1971))らは、石膏を用いて海流の流動を測定する方法を発表している。このような石膏を用いる流動測定方法は、簡便で実用的な方法として古くから沿岸生態研究でよく用いられてきた。石膏硬化体CaSO4・2H2Oは水に緩やかに溶解する単斜晶系で、その溶解速度は流速と共に増加する。この特性を利用して、従来、石膏硬化体を多点同時に設置して、その減少量から流動の相対的な強さを調べることが行われてきた。最近では、石膏硬化体の溶解速度に関するより正確な研究がThompsonら(Limnol. Oceanogr., 39, 1768~1779 (1994))によっておこなわれ、流速と溶解速度とはほぼ比例関係にあることが見出され、石膏により絶対流速の時間平均を測定できる可能性が出てきた。



しかし、岩礁域等の沿岸浅所での流動調査にこれらの方法を適用する際には、次の二つの問題があった。
一つは、石膏硬化体の溶解速度が比較的大きく、充分な期間の観測に耐えられないことである。石膏硬化体の持続時間はその大きさに比例、すなわち重量の1/3乗に比例してしか増えないが、製作と設置上の便宜を考慮した実用的な大きさは直径10 cmほどが限界である。このため、適度に流動がある岩礁では、石膏硬化体は1週間ほどの観測にも耐えることができず、道津ら(水産増殖45, 445~450 (1997))の調査事例に見られるように通常1~3日ほどの調査しか行えなかった。



もう一つの問題は、石膏硬化体の溶解速度は流れの状態によって異なることである。従来の研究では、石膏硬化体の流速検定は定常流中で行われてきたが、最近の研究により石膏硬化体の溶解速度は振動流と定常流で、また乱れの有無によっても異なり、現地での流速検定が不可欠であることがPorter等によって指摘されている(Limnol. Oceanogr., 45, 145~158 (2000))。



なお、石膏硬化体の溶解速度を遅くし、より長期間の流動測定を可能にするために焼石膏にラテックスペイントを混ぜたり(J. Phycol. 15, 33-41 (1979))、あるいは粉末プラスチック樹脂接着剤(Powdered plastic resin glue)と市販のウォールパッチング コンパウンド(Commercial wall patching compound)を混合したり(Mar. Ecol. Prg. Ser. 93, 175-181 (1993))して石膏硬化体を形成することが行われていた。また、古島らは、焼石膏にセメントを混合することによって溶け難い石膏硬化体を形成した(平成12年度日本水産工学会学術講演会「講演論文集」217~220頁)。しかし、これらの方法では、石膏硬化体を非常に大きくしない限り、波の影響の強い沿岸浅所で充分に長い期間にわたる流動を測定することが困難である、あるいは材料の不均一性によって精度よく測定できないという欠点があり、また流速と石膏硬化体の減少率との相関関係について検討がほとんどなされていない。

産業上の利用分野


すなわち、本発明は、焼石膏に水溶性メラミン樹脂粉末を混合して石膏半球に成型してなる流動測定用石膏硬化体に関する。
本発明における水溶性メラミン樹脂はこれをそのまま用いることもできるが、水溶性メラミン樹脂を混合した焼石膏を用いてもよい。本発明の流動測定用石膏硬化体は、流動体、例えば河川の流速や海流の流速の測定にも用いられるが、沿岸浅所、特に波動が波の作用によって支配的に生ずる自然岩礁における海水の流動の測定にも用いることができる。



本発明の流動測定用石膏硬化体は、焼石膏、水溶性メラミン樹脂粉末あるいは水溶性メラミン樹脂を含有させた焼石膏粉末及び水を混合し、半球状に成型し、乾燥させて製造することができる。この焼石膏は、水と混合する前に約40℃の温度で乾燥させて用いると流動測定の際に石膏の減少を低下せしめ、流動のより長時間にわたる測定を可能にすることができる。



また、本発明は、このような石膏半球の平面部を板体に接着させてなる流動測定用装置に関する。
この板体としては、波によって変形しない剛性を有し、かつ流れをあまり乱さない大きさと厚さの平板を用いて石膏半球の平面部を接着剤としてシリコンシーラントを用いてその平板に接着して用いることが望ましい。この流動測定用装置は、海底あるいは海中の適当な水深の箇所で板体を固定して用いられる。このようにすると、流速を精度よく測定することができ、また回収後に石膏硬化体を接着剤から比較的容易に分離して石膏硬化体の残質量を測定することができる。また、石膏半球の平面部の中心に浅い円柱状の穴を設けて、その穴に接着剤を充填して石膏半球を板体に接着することが望ましい。このようにすると、石膏硬化体の脱落を防止することができる。



さらに、本発明は、この流動測定用装置を用いて、海水の流動が波によって支配的に生ずる場における絶対流速を測定する方法に関する。本発明では、石膏の減少率と絶対流速とが線形関係にあることが現場の試験で確認された。従って、石膏の減少率を測定することによって絶対流速を簡単に測定することができる。

特許請求の範囲 【請求項1】
焼石膏、水溶性メラミン樹脂粉体及び水を混合して半球状に成型してなる流動測定用石膏硬化体。

【請求項2】
水溶性メラミン樹脂として、水溶性メラミン樹脂を含有せしめた焼石膏を用いる請求項1に記載の流動測定用石膏硬化体。

【請求項3】
流動測定が、沿岸浅所の海水の流動の測定である請求項1または2に記載の流動測定用石膏硬化体。

【請求項4】
焼石膏、水溶性メラミン樹脂を含有させた焼石膏粉体及び水を混合し、半球状に成型し、乾燥させることを特徴とする流動測定用石膏硬化体の製造法。

【請求項5】
焼石膏として、約40℃の温度で乾燥させた焼石膏を用いる請求項4に記載の流動測定用石膏硬化体の製造法。

【請求項6】
請求項1~3のいずれかに記載の石膏硬化体をその平面部を板体に接着してなる流動測定用装置。

【請求項7】
請求項6記載の流動測定用装置を沿岸浅所に設置し、海水の流動を測定する方法。

【請求項8】
流動測定用石膏硬化体の平均溶解速度を次式で算出し、これを一次関数で表わされる検定式で変換して測定期間の絶対流速の時間平均を推定することを特徴とする請求項7に記載の流動測定方法。


式中、dは石膏硬化体の初期直径、τは測定(浸漬)時間、mは石膏硬化体の初期質量、mτはτ時間後における石膏硬化体の残質量を示す。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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23049_05SUM.gif
出願権利状態 登録


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