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浮魚資源現存量の区間推定方法、そのためのプログラム及び記録媒体

国内特許コード P04A006056
整理番号 測定・分析-51
掲載日 2005年2月16日
出願番号 特願2002-363166
公開番号 特開2004-187649
登録番号 特許第3831786号
出願日 平成14年12月13日(2002.12.13)
公開日 平成16年7月8日(2004.7.8)
登録日 平成18年7月28日(2006.7.28)
発明者
  • 丹羽 洋智
出願人
  • 国立研究開発法人水産研究・教育機構
発明の名称 浮魚資源現存量の区間推定方法、そのためのプログラム及び記録媒体
発明の概要 【課題】ランダムサンプリングを必要とせず、また、経験的あるいは試行錯誤的な仮定を設けることなく、魚群が従うサイズ分布に関する自然法則に基づいてバイアスを修正した浮魚資源現存量の区間推定を行なう方法、通常のコンピュータを用い極めて短時間の内にその計算処理を行なうためのプログラム及び記録媒体を提供することにある。
【解決手段】浮魚の群れなど集群性魚群に関する実測データ、サイズNの魚群の計測度数Wが従う群れサイズ分布関数



を用いて調査海域における平均群れサイズ〈N〉pの回帰分析を行なうことによってサイズ分布データの歪みを修正し、この分析結果と、浮魚の単位面積当り個体数、つまり個体数密度ρ、魚群の分裂確率p、及び、前記平均群れサイズ〈N〉pとの間に成り立つ関係式



すなわち、平均群れサイズが浮魚資源密度に比例するという関係式を用い、対象海域の浮魚資源密度、現存総量、あるいは資源量指標のバイアスを修正した推定値を信頼区間とともに求める、浮魚資源現存量の区間推定方法に基本的な特徴を有する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


従来から、魚群の観測データに基づいて漁業資源現存量あるいは資源密度の推定は行なわれているが、一般には点推定に留まり、その推定値の信頼区間を同時に評価する区間推定は通常行なわれていない。



これは海洋調査手法からの制約で、ランダムサンプリングが行なわれないためである。



調査船による通常の海洋観測では等間隔で平行に観測線を設定し、その定線に従って航走しながら魚群観測を行なっている(例えば、非特許文献1参照)。このため、ランダムサンプリング法による漁業資源現存量の区間推定を行なうことはできない。



また、漁業統計(この場合は集群性浮魚類を対象とするまき網漁業による漁獲データ)を用いて資源現存量の推定が行なわれている(例えば、非特許文献2参照)。漁業統計による資源量推定ではそのオーダーに意味があり、これを資源現存量の指標とし、年毎の相対資源量水準を比較しているが、推定値の信頼性については評価できない。



ところで、前記の観測あるいは漁業による魚群データ、ただ1組の標本に基づいて、ブートストラップ法に代表されるリサンプリング法を導入し、未知の母集団分布を経験分布で推定することにより、資源現存量の区間推定も可能である(例えば、非特許文献3参照)。欠点は、コンピュータによる計算処理時間が膨大なこと、リサンプリングの回数あるいはコンピュータが生成する乱数によって信頼区間が違ってくるということである。また、もし、母集団が従う分布関数形など特性を知っていれば、「母集団分布を経験分布で置き換える」という処方は全く必要ない。
一方、空間統計学、特にクリギングの手法を導入し、魚群の定線観測データから資源現存量の区間推定が行なわれている(例えば、非特許文献1参照)。この手法ではデータの空間的相関にある特定の関数形を仮定するが、これは経験的あるいは試行錯誤的になされている。したがって、相関関数の選び方は恣意性が入り込み易く、場合によっては、資源現存量推定値の信頼区間が異なってくるという重大な欠点を持つ。
さらに、調査船における計測においては魚群の調査船からの逃避・散逸など、漁業統計においては魚群サイズの人為的選択漁獲などに起因し、魚群サイズデータは母集団分布を正確に反映していないことが予想される。このようなデータの分布には歪みがあり、平均値にはその真値からのバイアスが存在する。データ計測時の不測の事態あるいは人為的操作によって生じたこのような系統的でないバイアスは、ブートストラップ法を含め、母集団が従う自然法則を利用しない、従来の漁業資源現存量推定のための統計学的処理では修正することができない。このため、ノンパラメトリックな統計学的処理によって行なった区間推定においては、その点推定値に取り除くことができないバイアスが繰り込まれてしまうという致命的な弱点を持つ。



【非特許文献1】
本田聡, 資源研究の現場から(13): 新しい現存量の区間推定方法「Geostaistics」とは何か 水産の研究 16(2),50-53(1997)。



【非特許文献2】
T.Wada & Y.Matsumiya,Abundance indexin purse seine fishery with searching time.日本水産学会誌56,725-728(1990).



【非特許文献3】
平松一彦, Bootstrap法による信頼区間とバイアスの推定. 遠洋水研ニュース No.94,2-6(1994).

産業上の利用分野


本発明は、任意の海域における上層の集群性魚類の量を推定するための浮魚資源現存量の区間推定方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
集群性を有する浮魚に関して、測定海域における予め設定した航路に沿って実測した魚群サイズの頻度分布を含む、魚群の数密度が算出できるデータに加え、群れを漁獲の単位とする漁法による漁獲量より求めた群れサイズを含む、魚群の数密度を算出できないデータを含め、群れの構成個体数である実測した魚群サイズの階級別に度数集計した頻度分布データであって、任意サイズNiと任意サイズ範囲の実測魚群数Wi’で表した頻度分布データ{(Ni,Wi’)|階級幅をΔNとする階級(i-1)ΔN~iΔNの範囲の計測魚群数をWi’ΔNとし、その階級値はNi=(i-0.5)ΔN、但しi=1,2,...,nで階級数はn}から、任意のある1つの魚が属する群れサイズの期待値となる平均群れサイズ〈N〉pを与える手順A、
実測した群れサイズの頻度分布データについて、平均群れサイズ〈N〉pにより規格化し、群れサイズ分布データとして取り込む手順B、
前記、所定の海域で実測した群れサイズ分布を平均群れサイズ〈N〉pで規格化したデータであって、任意サイズNiと平均群れサイズ〈N〉pで規格化した任意サイズ範囲の魚群数Wiで表したデータ{(Ni,Wi)|Σj=1n jjΔN=〈N〉p;i=1,2,...,n}〔但し、Wはサイズ階級Nの魚群数(規格化された相対度数)で、nは頻度分布の階級数〕を用い、魚群サイズが従う母集団分布の規格化因子Pnormを求め、浮魚資源特性を
【式1】


〔但し、積分式∫0 NW(N)dNは平均群れサイズに一致する。〕という魚群サイズが従う分布関数で与える手順C、
前記実測した群れサイズ分布の規格化データ{(Ni,Wi)|i=1,2,...,n}について、群れサイズ分布関数
【式2】


〔但し、θ1は規格化因子を与えるパラメータ、θ2は平均魚群サイズを与えるパラメータ、εiは残差、nはデータ数となる階級別度数集計した群れサイズ頻度分布の階級数〕をパラメータθ2において非線形な回帰モデルとして、前記式1を推定すべき母集団の初期分布に設定して回帰分析を行い、パラメータθ1として与えられる規格化因子の最小二乗推定値Θ1、及び、パラメータθ2として与えられる魚群の平均サイズの最小二乗推定値Θ2を標準誤差se(Θ2)とともに求め、この最小二乗推定値Θ2に対する前記標準誤差se(Θ2)の割合を推定結果の精度評価となる変動係数CV(%)として求める手順D、
前記最小二乗推定値Θ1、Θ2を前記式2に代入し歪みを修正した群れサイズ分布関数Wre(N)を用いて、浮魚の個体数密度に比例する、資源現存量指標のバイアスを修正した点推定値Sを
【式3】


により求め、バイアスの推定値を、S-Σi=1n iiΔNによって求める手順E、
ステューデントのt分布について、前記実測した魚群サイズ分布のデータ数となる階級数nと前記回帰モデルのパラメータ数2の差νを式ν=n-2によって求めて自由度νとして与え、t分布の片側100×αパーセント点であって両側200×αパーセント点のtα(ν)を計算し、前記浮魚の資源現存量指標の点推定値S、前記平均サイズの最小二乗推定値Θ2と標準誤差se(Θ2)を用いて、浮魚の資源現存量指標の真値の任意パーセント信頼区間
【式4】


〔但し、バイアスを修正した真値の100×(1-2α)パーセント信頼区間〕を求める手順F、
とからなることを特徴とする浮魚資源現存量の区間推定方法。

【請求項2】
集群性を有する浮魚に関して、測定海域における予め設定した航路に沿って実測した群れの構成個体数である群れサイズNの階級別に度数集計した頻度分布データWについて、魚群の数密度により規格化し、実測した群れサイズ分布データを取り込む手順A、
前記群れサイズ分布データを単位面積当り魚群数で規格化したデータであって、任意サイズNiと単位面積当たり魚群数で規格化した任意サイズ範囲の魚群数Wiで表したデータ{(Ni,Wi)|階級幅をΔNとする階級(i-1)ΔN~iΔNの範囲の単位面積当り計測魚群数をWiΔNとし、その階級値はNi=(i-0.5)ΔN、但しi=1,2,...,nで階級数はn}を用い、魚群サイズが従う母集団分布の規格化因子Pnorm、及び、任意のある1つの魚が属する群れサイズの期待値となる平均群れサイズ〈N〉pを求め、浮魚資源特性を
【式5】


〔但し、積分式∫0 NW(N)dNは魚の個体数密度に一致する。〕という魚群サイズが従う分布関数で与える手順B、
前記実測した群れサイズ分布の規格化データ{(Ni,Wi)|i=1,2,...,n}について、群れサイズ分布関数
【式6】


をパラメータθ2において非線形な回帰モデルとして、前記式5を推定すべき母集団の初期分布に設定して回帰分析を行い、パラメータθ1として与えられる規格化因子の最小二乗推定値Θ1、及び、パラメータθ2として与えられる魚群の平均サイズの最小二乗推定値Θ2を標準誤差se(Θ2)とともに求め、この最小二乗推定値Θ2に対する前記標準誤差se(Θ2)の割合を推定結果の精度評価となる変動係数CV(%)として求める手順C、
前記最小二乗推定値Θ1、Θ2を前記式6に代入し歪みを修正した群れサイズ分布関数Wre(N)を用いて、単位領域の魚総数となる、資源密度のバイアスを修正した点推定値Sを
【式7】


により求め、バイアスの推定値を、S-Σi=1n iiΔNによって求める手順D、
ステューデントのt分布について、前記実測した魚群サイズ分布のデータ数となる階級数nと前記回帰モデルのパラメータ数2の差νをν=n-2の式によって求め、このνを自由度νとして与え、t分布の片側100×αパーセント点であって両側200×αパーセント点、tα(ν)を計算し、前記浮魚の資源密度の点推定値S、前記平均サイズの最小二乗推定値Θ2と標準誤差se(Θ2)を用いて、浮魚の資源密度の真値の任意パーセント信頼区間
【式8】


〔但し、バイアスを修正した真値の100×(1-2α)パーセント信頼区間〕を求める手順E、
とからなることを特徴とする浮魚資源現存量の区間推定方法。

【請求項3】
請求項2記載の手順A、手順B、手順C、手順D、及び、手順Eを実行して求めた浮魚の資源密度のバイアスを修正した点推定値に、漁場の面積あるいは浮魚の調査海域の面積を掛けて所定の漁場あるいは海域の浮魚資源現存総量のバイアスを修正した点推定値Stotを求める手順F、
請求項2記載の手順A、手順B、手順C、手順D、及び、手順Eを実行して求めた標準誤差に基づいて、所定の漁場あるいは海域の浮魚資源現存総量のバイアスを修正した真値の任意パーセント信頼区間を求める手順G、
とからなることを特徴とする請求項2記載の浮魚資源現存量の区間推定方法。

【請求項4】
集群性魚群に関する実測データが従う群れサイズ分布関数を用いて回帰分析を行い、この分析結果と魚の個体数密度との関係式を用い、対象海域のバイアスを修正した浮魚資源現存量指標を信頼区間とともに求める浮魚資源現存量の区間推定処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、コンピュータに請求項1記載の手順A、手順B、手順C、手順D、手順E、及び、手順Fを実行させるためのプログラム。

【請求項5】
集群性魚群に関する実測データが従う群れサイズ分布関数を用いて回帰分析を行い、この分析結果と魚の個体数密度との関係式を用い、対象海域のバイアスを修正した浮魚資源密度を信頼区間とともに求める浮魚資源現存量の区間推定処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、コンピュータに請求項2記載の手順A、手順B、手順C、手順D、及び、手順Eを実行させるためのプログラム。

【請求項6】
集群性魚群に関する実測データが従う群れサイズ分布関数を用いて回帰分析を行い、この分析結果と魚の個体数密度との関係式を用い、対象海域のバイアスを修正した浮魚資源総量を信頼区間とともに求める浮魚資源現存量の区間推定処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、コンピュータに請求項3記載の手順A、手順B、手順C、手順D、手順E、手順F、及び、手順Gを実行させるためのプログラム。

【請求項7】
集群性魚群に関する実測データが従う群れサイズ分布関数を用いて回帰分析を行い、この分析結果と魚の個体数密度との関係式を用い、対象海域のバイアスを修正した浮魚資源現存量指標を信頼区間とともに求める浮魚資源現存量の区間推定処理プログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータに請求項1記載の手順A、手順B、手順C、手順D、手順E、及び、手順Fを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【請求項8】
集群性魚群に関する実測データが従う群れサイズ分布関数を用いて回帰分析を行い、この分析結果と魚の個体数密度との関係式を用い、対象海域のバイアスを修正した浮魚資源密度を信頼区間とともに求める浮魚資源現存量の区間推定処理プログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータに請求項2記載の手順A、手順B、手順C、手順D、及び、手順Eを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【請求項9】
集群性魚群に関する実測データが従う群れサイズ分布関数を用いて回帰分析を行い、この分析結果と魚の個体数密度との関係式を用い、対象海域のバイアスを修正した浮魚資源総量を信頼区間とともに求める浮魚資源現存量の区間推定処理プログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータに請求項3記載の手順A、手順B、手順C、手順D、手順E、手順F、及び、手順Gを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録


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