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寄生虫の無機ピロホスファターゼ、それをコードする核酸分子及びそれらの利用

国内特許コード P04A006078
整理番号 動物バイオ-79
掲載日 2005年2月16日
出願番号 特願2002-243551
公開番号 特開2004-081032
登録番号 特許第4048271号
出願日 平成14年8月23日(2002.8.23)
公開日 平成16年3月18日(2004.3.18)
登録日 平成19年12月7日(2007.12.7)
発明者
  • 辻 尚利
  • 磯部 尚
  • 春日 春江
  • カイルル イスラム
  • 新川 武
  • 松本 安喜
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 寄生虫の無機ピロホスファターゼ、それをコードする核酸分子及びそれらの利用
発明の概要

【課題】寄生虫の感染防御及び治療に関わる蛋白質、それをコードするDNA及びそれらの使用の提供。
【解決手段】寄生虫の無機ピロホスファターゼ蛋白質をコードするDNAからなる遺伝子、該DNAを含むベクター及び組換え体細胞、寄生虫無機ピロホスファターゼ蛋白質、該抗原を認識する抗体並びに該抗原を含む寄生虫感染防御のための全身性及び粘膜誘導型ワクチン、さらに寄生虫駆除のための無機ピロホスファターゼ活性を阻害するインヒビター等の化合物の作出。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要
人類や家畜生産に甚大な被害をもたらしてき感染症は、ワクチンの普及によってその多くは制圧されてきた。しかし、ワクチンが開発途上にある寄生虫感染症は、依然として世界各地に分布している。とりわけ、熱帯・亜熱帯地域では寄生虫の蔓延に加え衛生状態の不備から寄生虫による人への健康被害、家畜生産への被害は莫大な額にのぼる。また、先進諸国でも最近は寄生虫による新興、再興の人畜共通感染の脅威が大きな社会問題になりつつある。寄生虫病防除の中心は化学療法剤などの薬剤利用に深く依存している。しかしながら、薬剤の連続使用によるいわゆる薬剤耐性がいずれの薬剤に対しても確立され、殺虫効果の消失するものも少なくない。さらに、薬剤の使用には常に人あるいは動物への副作用を考えなくてはならず、同時に、食と環境の安全性を脅かす薬物残留問題があり、消費者から敬遠される傾向にある。そのうえ、薬剤の使用には有効性や適用範囲に加えて、膨大な開発コストの面からも限界が生じつつあり、21世紀における寄生虫による人および家畜生産の被害を薬剤使用によって防ぐことは非常に難しい状況にある。
【0003】
人や家畜、愛玩動物の小腸に寄生する回虫(AscarisやToxocara属)は、熱帯・亜熱帯地域に限らず先進諸国を含め世界的に分布する寄生虫である。一般に、寄生線虫は固有宿主が限定されているが、回虫に関しては本来の固有宿主ではない非固有宿主への感染が顕著に見られる寄生虫である。そのため、豚を固有宿主とする寄生虫(Ascaris suum) や犬回虫(Toxocara canis)の人への感染例が多数報告され、人畜共通感染症としても重要視されている(松山ら, 日本呼吸器学会誌 36:208-212(1998),Maruyama et al., Lancet 347:1766-1767 (1996))。また、マウス等の実験動物でも感染が成立し、豚の代替宿主として寄生虫-マウス感染系は広く免疫学的試験等に利用されている(Kennedy et al., Clin Exp Immunol 80: 219-224. (1990))。
【0004】
寄生虫感染でもウイルスや細菌感染症に見られるような宿主の再感染防御能の獲得が知られており、古くから実験室段階で実証されている (Maizels et al., Immunol Rev 171:125-147. (1999)) 。こうした背景から寄生虫ワクチンとして実用化に至った寄生虫はPoynterによって開発された牛肺虫である(Poynter, D., Adv. Parasitol., 1:179-212.(1963))。しかし、感染幼虫を放射線照射によって製造された寄生虫ワクチンには常に人為感染の副作用があり、また、生ワクチンであるため投与の煩雑さで敬遠されるに至った。寄生虫感染においても、虫体抽出物あるいは放射線照射した感染ステージである第3期幼虫(L3)で防御免疫が誘導されることは、豚、ウサギ、マウスで明らかにされている(Stewart et al., Vet Parasitol 17: 319-326. (1985), Stankiewicz et al., J Parasitol 36:245-257(1990))。なかでも、寄生虫幼虫ステージの抽出抗原や表層抗原を免疫した動物では、顕著な感染阻止が認められことから、幼虫抗原には防御免疫を誘導する分子が含まれていることが示唆されてきている(Hill et al., Vet Immunol Immunopathol 42:161-169 (1994))。
【0005】
遺伝子組換え技術は、他の感染症と同様に寄生虫ワクチン開発に向け有効な手段となっている。現在、各国で感染防御抗原あるいは寄生虫に特有な変態関連酵素等をコードする遺伝子クローニングが精力的に進められ、安全なワクチン蛋白質の製造が試みられてきている(Blaxter et al., Parasitol Today 16:5-6. (2000)) 。しかし、遺伝子クローニング技術を基にした作製された組換え抗原あるいはインヒビター等の化合物による寄生虫感染防除技術の確立には至っていない。
【0006】
こうした中で近年では新しい寄生虫病化学療法剤として寄生虫の持つ変態関連酵素が注目されている。寄生虫は成虫から生み出された虫卵から成虫に至るまでのに合計4回の変態を他の生物とは異なった特異な発育過程をとる。たとえば、システインプロテナーゼは寄生虫の変態期に重要な役割を果たしていることが分かり、同時にシステインプロテナーゼの阻害剤によって寄生虫の変態が阻止されることが確認され、変態に関連した酵素のインヒビターが寄生虫化学療法剤の新規ターゲット分子として期待されている(Lustigman, Parasitol Today. 8:294-297.(2000); Chandrashekar and Mehta. Parasitol Today. 16:11-7. (2000))。
産業上の利用分野
本発明は、寄生虫の感染防御に関わる蛋白質、それをコードするDNA及びそれらの使用に関する。具体的には、寄生虫とは蠕虫を指し、これには寄生線虫、包虫、吸虫が含まれ、これらの寄生虫の感染防御抗原蛋白質、該感染防御蛋白質をコードするDNA、該DNAを含むベクター、該ベクターを保持する組換え体細胞、寄生虫の感染防御抗原に対する抗体及び寄生虫の感染を防御するワクチンに関する。本発明により、寄生虫の感染防御を目的とした化合物の合成、あるいは人および動物における寄生虫感染から守るためのワクチン開発や治療薬の開発に応用できる。
特許請求の範囲 【請求項1】 動物回虫の無機ピロホスファターゼ活性をフッ化ナトリウムにより阻害することにより、非ヒト動物の動物回虫を駆除する方法。
【請求項2】 動物回虫の無機ピロホスファターゼの活性を阻害するフッ化ナトリウムを非ヒト動物に投与することを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】 動物回虫が豚回虫(Ascaris suum)である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】 動物回虫の無機ピロホスファターゼの活性を阻害するフッ化ナトリウムを含む回虫駆除剤。
【請求項5】 動物回虫が豚回虫(Ascaris suum)である請求項記載の回虫駆除剤。
産業区分
  • 微生物工業
  • 有機化合物
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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20529_01SUM.gif
出願権利状態 権利存続中


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