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マダニのピロプラズマ原虫殺虫ペプチド蛋白質、それをコードする核酸分子及びそれらの利用

国内特許コード P04A006088
整理番号 動物バイオ-89
掲載日 2005年2月16日
出願番号 特願2003-054495
公開番号 特開2004-261070
登録番号 特許第3803733号
出願日 平成15年2月28日(2003.2.28)
公開日 平成16年9月24日(2004.9.24)
登録日 平成18年5月19日(2006.5.19)
発明者
  • 辻 尚利
  • 神尾 次彦
  • 三好 猛晴
  • 藤崎 幸蔵
  • バトツェツェグ バダガル
  • 新川 武
  • 松本 安喜
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 マダニのピロプラズマ原虫殺虫ペプチド蛋白質、それをコードする核酸分子及びそれらの利用
発明の概要 【課題】ピロプラズマ原虫などのアピコンプレックス門に属する赤血球寄生原虫症の治療及び病原虫である感染阻止に関わる蛋白質、それをコードするDNA及びそれらの使用の提供。
【解決手段】マダニのピロプラズマ原虫殺虫ペプチド蛋白質をコードするDNAからなる遺伝子、該DNAを含むベクター及び組換え体細胞、ピロプラズマ原虫殺虫ペプチド蛋白質及びその合成ペプチド、該抗原を認識する抗体並びに該抗原。さらにピロプラズマ原虫駆除のためのピロプラズマ原虫殺虫ペプチド蛋白質をもとに作製した化合物の作出。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


人類や家畜生産に甚大な被害をもたらしてき感染症は、ワクチンの普及によってその多くは制圧されてきた。しかし、ワクチンが開発途上にある寄生虫感染症は、依然として世界各地に分布している。とりわけ、蚊やマダニなどの吸血性節足動物が媒介するマラリア原虫やピロプラズマ原虫による寄生虫感染症は人類が抱える最も難題であり、その防除対策には非常に苦慮している。赤血球に寄生する両原虫はいずれも貧血を主徴とする重篤な症状をもたらす致死的な感染症で、蚊によって伝播されるマラリアは人の寄生虫感染症であるのに対し、馬や牛などの愛玩・産業動物で多大な被害をもたらしているピロプラズマ症はマダニが媒介する。最近では動物のピロプラズマ原虫による新興、再興の人畜共通感染の脅威が米国や日本などの先進諸国で大きな社会問題になりつつある(Schuster FL, Clin. Microbiol. Rev15:365-375(2002))。



ピロプラズマ症の防除は、媒介者であるマダニと病原虫であるピロプラズマ原虫対策の2つに大別される。マダニ防除の中心は化学療法剤などの薬剤利用に深く依存している。DTTが開発された1950年以降有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系などの化合物が殺ダニ剤としてマダニ防除に使用されてきた。しかしながら、薬剤の連続使用によるいわゆる薬剤耐性がいずれの薬剤に対しても確立され、殺虫効果の消失するものも少なくない。さらに、薬剤の使用には常に人あるいは動物への副作用を考えなくてはならず、同時に、食と環境の安全性を脅かす薬物残留問題があり、消費者から敬遠される傾向にある。そのうえ、薬剤の使用には有効性や適用範囲に加えて、膨大な開発コストの面からも限界が生じつつある。



一方、マダニの頻回寄生に対して宿主が抵抗性を獲得する現象を応用した獲得免疫によるマダニ防除法が以前から試みられている(Fujisaki, Natl.Insit.Anim.Hlth Quart.(Tokyo)18:27-38(1978))。また、宿主への接触が全くないマダニ蛋白質がマダニ感染に対する防御抗原となることも明らかにされ、実際にワクチン抗原(Tick GARD)((Willadesen and Jogejan, Prasitology Today 15:258-262(1999))として一部のピロプラズマ原虫に対して野外応用されているものの、その有効性は1宿主性のマダニBoophilus microplusに対してのみで、多くのピロプラズマ原虫媒介者に対してのワクチンは依然として開発途上にあり、病原体側のピロプラズマ原虫の防除対策もマダニと同様に薬剤に深く依存しているのが実情である。このように21世紀におけるピロプラズマ原虫による人および家畜生産の被害を既存の薬剤使用によって防ぐことは非常に難しい状況にある。



ピロプラズマ原虫は宿主とマダニで複雑な生活環を形成している。動物のピロプラズマ症はバベシア症とタイレリア症の2つに大別される。牛バベシア症の中で最も重篤な症状をもたらすBabesi bigeminaの生活環は、宿主赤血球に寄生したバベシア原虫(メロゾイト)は宿主体内で分裂増殖し、他の赤血球への侵入を繰り返す。牛におけるピロプラズマ症の発症はメロゾイトによるものである。マダニが媒介する動物間のバベシア原虫感染は、吸血によってバベシア感染赤血球がマダニ中腸内に取り込まれ、ガメトゴニー及びシゾゴニーによって増殖をする。唾液腺に移行したバベシア原虫はスポロゴニーによって増殖し、生じたスポロゾイト期の原虫はマダニの吸血によって宿主体内に侵入する。



本発明者らは、マダニが有する微生物に対する先天的防御機構に着目し、これまでに各種の自然免疫関連分子を単離してきた。ピロプラズマ原虫やマラリア原虫を媒介するマダニや蚊は、進化の過程でそれらの原虫に対する抵抗性を確立してきたと想定され、それらの関連分子はピロプラズマ症防除のための新しい薬剤の開発に応用できるものと考えられ本発明者らを含め各国で関連の研究が精力的に実施されている(Hoffmann JA, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:11152-1153(1997))。



【非特許文献1】
Fujisaki, Natl.Insit.Anim.Hlth Quart.(Tokyo)18:27-38(1978)
【非特許文献2】
Willadesen and Jogejan, Prasitology Today15:258-262(1999)
【非特許文献3】
Hoffmann JA, Proc. Natl. Acad. Sci. USA
94:11152-1153(1997)

産業上の利用分野


本発明は、ピロプラズマ原虫の殺虫作用に関わる蛋白質、それをコードするDNA及びそれらの使用に関する。具体的には、ピロプラズマ原虫とはタイレリア原虫及びバベシア原虫を指し、これらのピロプラズマ原虫の殺虫作用を有するペプチド蛋白質をコードするDNA、該DNAを含むベクター、該ベクターを保持する組換え体細胞、組換えペプチド蛋白質及び合成ペプチドに関する。本発明により、ピロプラズマ原虫が属するマラリア原虫等をアピコンプレックス門の赤血球内寄生原虫による人および動物の寄生虫病予防及び治療を目的とした化合物の合成、あるいはそれら原虫による寄生虫感染の治療薬の開発に応用できる。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(a)若しくは(b)に示すペプチド蛋白質を有効成分とするマダニのピロプラズマ原虫駆除剤。
(a) 配列表の配列番号2で示すマダニのピロプラズマ原虫殺虫ペプチド蛋白質のアミノ酸配列からなる蛋白質
(b) 配列表の配列番号2で示すマダニのピロプラズマ原虫殺虫ペプチド蛋白質のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつマダニのピロプラズマ原虫殺虫ペプチド蛋白質の生物学的活性を有する蛋白質

【請求項2】
以下の(e)から(i)のいずれかのアミノ酸配列を含みマダニのピロプラズマ原虫殺虫ペプチド蛋白質の生物学的活性を有する、マダニのピロプラズマ原虫殺虫ペプチド蛋白質の断片を有効成分とするマダニのピロプラズマ原虫駆除剤。
(e) 配列番号2のアミノ酸配列の第23位のアミノ酸から第74位のアミノ酸からなるアミノ酸配列
(f) 配列番号2のアミノ酸配列の第22位から第37位のアミノ酸からなるアミノ酸配列
(g) 配列番号2のアミノ酸配列の第33位から第47位のアミノ酸からなるアミノ酸配列
(h) 配列番号2のアミノ酸配列の第43位から第57位のアミノ酸からなるアミノ酸配列
(i) 配列番号2のアミノ酸配列の第53位から第74位のアミノ酸からなるアミノ酸配列
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録


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