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流体流れに置かれる鈍頭物体

国内特許コード P04A006930
整理番号 KN000523
掲載日 2005年3月18日
出願番号 特願2001-230517
公開番号 特開2003-042108
登録番号 特許第3632075号
出願日 平成13年7月30日(2001.7.30)
公開日 平成15年2月13日(2003.2.13)
登録日 平成17年1月7日(2005.1.7)
発明者
  • 徳川 直子
  • 高木 正平
出願人
  • 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
発明の名称 流体流れに置かれる鈍頭物体
発明の概要 【課題】 流体流れに置かれて、境界層に剥離に伴って物体の後流側表面に沿って生じる流体流れを阻止することにより、大規模なカルマン渦の発生と成長を防止して、抵抗係数を低減することを可能にする鈍頭物体を提供する。
【解決手段】 流体の流れFに対して上流側表面2aが鈍頭曲面となった鈍頭物体1の後流側には、後流側表面2bに沿った流体の流れを阻害するために、流れ阻害部としての板部材3が設けられている。板部材3は、鈍頭物体1の表面に形成される境界層の剥離に起因して後流側表面2bに沿いつつ剥離領域へ向かって流れ込もうとする流体の流れfを阻害するので、大規模渦列としてのカルマン渦の発生・成長を妨げ、鈍頭本体1の圧力抵抗を低減することができる。
従来技術、競合技術の概要


従来、大気のような気体又は川水や海水のような液体、あるいは各種配管内を流れる流体中には、断面が円形又はそれに近い形状を持ち表面が滑らかな曲面となっている鈍頭物体が用いられている。特に、円柱体の形状のものは、製造が比較的簡単であるので製造コストが低く、あらゆる分野に用いられている。そのような鈍頭物体は、流体流れの中に置かれるとき、強い圧力勾配により鈍頭物体の表面に形成される境界層が剥離し、流体流れの下流側に大きな圧力損失が生じ、流体又は物体には圧力抵抗として作用することが知られている。



鈍頭物体については、本来、流線形に設計されれば圧力損失に起因した流体抵抗を小さくすることができるが、そうした流線形に製造するにはコストが高くなり、現実的な対処の仕方とは言えない。しかしながら、用途によっては、鈍頭物体の圧力抵抗が無視できない程度となることがある。即ち、圧力抵抗が大きく成ると、鈍頭物体が固定側にあり流体が流れる場合には、流体を流すのに必要な動力費用が無視できなくなり、固定側の鈍頭物体に対しては圧力抵抗に伴う機械的な負荷が問題になることがある。また、鈍頭物体が流体中を移動するときには、圧力抵抗に打ち勝って鈍頭物体を移動させ続けるのに必要なエネルギーが増加することになる。



鈍頭物体の一つとして、円柱表面を有する物体に対して、軸線に直角に流体が流れる場合、物体に働く流体抵抗が実験により求められている。図3には、円柱表面を有する柱状物体がそのまま単独で配置されたときの流体抵抗係数のグラフが示されている。図3の横軸は流体の流速Uであり、縦軸は流体抵抗係数Cである。ここで、単位長さ当たりの流体抵抗係数は、良く知られているように、次の式で定義される。
=D/[ρU2・d/2]
ここで、Dは、単位長さ当たりの流体抵抗[単位、N/m]
ρは、流体の密度[単位、kg/m
dは、柱状物体直径[単位、mm]、実験例では50mm
Uは、流体の流速[単位、m/s]である。
図3に示すグラフから分かるように、流速20m/s弱から60m/s弱までの範囲にわたって、多少の変動があるが約1.3の値を示している。



図3には、また、流れ方向への投影面積と流れに平行な断面のアスペクト比が同じであるD形柱体の抵抗係数のグラフが示されている。D形柱体は、流体流れに対する前縁側の半分は円柱と同様の表面を持つ半円柱であり、後縁側は四角柱となった柱体であり、その流体抵抗係数は、円柱状物体の場合と同様の流れの範囲にわたって約0.9の値を示しており、円柱体と比較して30~35%小さくなっていることが知られている。



円柱体を流れの中に置いたときの計測結果から、円柱の後流にはカルマン渦列が交互に且つ周期的に発生しており、圧力損失が大きく圧力抵抗が高いことを示している。円柱体の表面にマルチ熱膜センサを貼り付けて行った壁面剪断応力の計測結果から、カルマン渦列の周波数に同期して円柱体表面の境界層全体が振動していることが観測されており、円柱体の最大厚さ位置の前後において、境界層の剥離を示す逆流現象も観測されている。こうした計測結果、あるいは数値計算から、流れの中に置かれた円柱体については、境界層が剥離すると、円柱体の後流側表面に沿って剥離をおこした境界層の部分へ向かう流体流れが生じて、ブリッジ状の渦膜や二次渦が形成され、後流を巻き込んでの大規模な渦を形成し、それを放出するという、カルマン渦の生成過程が周期的に起きていることが判明した。

産業上の利用分野


この発明は、流体流れの中に配置されたときの流体抵抗を低減させた新規な構造を有する鈍頭物体に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
流体の流れ方向に対して上流側表面が鈍頭曲面となった鈍頭本体と、前記鈍頭本体の後流側表面に沿った前記流体の流れを阻害するため前記鈍頭本体の後流側に設けられた流れ阻害部とからなり、
前記鈍頭本体は、流体の流れ方向に対して軸線が交差した状態に配置された円柱表面を持つ円柱状物体であり、
前記流れ阻害部は、前記円柱状物体の最後流端部に前記円柱状物体の軸線と前記流体の主流とで定まる平面内に対して直交状態に、且つ前記流体の主流方向で見た前記円柱状物体の投影幅内の範囲で取り付けられた直交板からなる板部材であることを特徴とする流体流れに置かれる鈍頭物体。

【請求項2】
前記板部材の幅は、前記円柱状物体の直径に実質的に等しいことからなる請求項に記載の流体流れに置かれる鈍頭物体。
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2001230517thum.jpg
出願権利状態 登録
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