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核酸、当該核酸を含むニワトリ由来モノクローナル抗体及びこれを用いたプリオンタンパク質の検出方法

国内特許コード P05P002897
掲載日 2005年4月8日
出願番号 特願2003-080553
公開番号 特開2004-283111
登録番号 特許第4029153号
出願日 平成15年3月24日(2003.3.24)
公開日 平成16年10月14日(2004.10.14)
登録日 平成19年10月26日(2007.10.26)
発明者
  • 松田 治男
  • 古澤 修一
  • 堀内 浩幸
  • 中村 尚登
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 核酸、当該核酸を含むニワトリ由来モノクローナル抗体及びこれを用いたプリオンタンパク質の検出方法
発明の概要

【課題】遺伝子組換え法による多量生産に適したニワトリ由来モノクローナル抗体を提供する。
【解決手段】以下の(a)、又は(b)からなる核酸、すなわち、(a)特定の塩基配列からなる核酸。
(b)前記特定の塩基配列の一部が欠失、置換若しくは付加されていて、かつ、当該塩基配列と80%の相同性を有することを特徴とする。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要
モノクローナル抗体は、抗原の特定部分だけを認識する単一抗体であり、この技術は遺伝子組み換えと並んでバイオテクノロジー分野での基幹技術であり、これを利用した診断薬、治療薬は急速に普及発展している。モノクローナル抗体については、マウス、ラット型など広く活用されているが、ニワトリ型については、発明者がすでに提案した例がある程度である。このニワトリ型の大きな利点は、マウス等の哺乳動物では作成困難な抗体が作成可能であるということである。
【0003】
ニワトリは系統発生学的に哺乳動物より下等であるが、哺乳動物と同様に極めて精緻な免疫能力を持つ動物であることから、これまでに有用なニワトリ抗体が数多く作成されてきた。このような鳥類抗体は、ヒトをはじめとする哺乳動物間で高度保存された生体成分を認識できる抗体が哺乳動物を用いて作成できない場合に、特に有益である。なぜなら、鳥類と哺乳類との間の対応するアミノ酸配列の相同性は、哺乳類相互間と比較してかなり低く、このため哺乳類由来の抗体では、認識できない抗原であっても、鳥類では認識できるという特異性があるからである。
【0004】
こうしたことから、ニワトリ抗体を大量調製するひとつの手段として、産卵鶏を特定の抗原で免疫し、その後、卵に移行した抗体を精製して卵黄抗体(ポリクローナル抗体)として利用する方法が開発されているが、この方法によりモノクローナル抗体を製造することはできない。
【0005】
一方、マウスモノクローナル抗体は、極めて広範な基礎・応用領域に活用されているが、マウス型、ラット型以外のモノクローナル抗体については、応用にまで至っている成功例は少ない。マウス型、ラット型以外のモノクローナル抗体での応用の一例としては、本発明者らが開発した細胞融合法によるニワトリ型モノクローナル抗体がすでに報告されている。上述したとおり、ニワトリの大きな利点は、マウスあるいはラットを用いて作成困難な抗体がニワトリ抗体として得られやすいことであり、モノクローナル抗体としても作成可能なことである。本発明者らによる細胞融合技術を用いたニワトリ型モノクローナル抗体の成功例としては、N-グリコリルノイラミン酸(NeuGc)を認識するニワトリ型モノクローナル抗体や哺乳動物に高度保存されたプリオンタンパク(PrP)を認識するニワトリ型モノクローナル抗体などである。NeuGcは、ヒトのがんマーカーとなる抗原で、ヒトを除くほとんどの哺乳動物に存在しているため、マウス、ラットやウサギなど一般に広く免疫動物として用いる動物では抗体を作ることができない。また、PrPは、その異常型が狂牛病やヒトCJDの病原体となることで知られているが、PrPは哺乳動物間でアミノ酸配列の相同性は80%以上であり、哺乳動物由来の抗体では、認識困難なタンパク質である。
したがって、哺乳動物以外、例えば、ニワトリなどの鳥類由来の抗体が考えられるが、哺乳動物とニワトリの間ではその相同性がわずか30%台であるため、これまでに作成された哺乳動物PrPを認識するニワトリモノクローナル抗体作成の成功例はわずかである。本発明者らは、すでにNeuGcや哺乳動物PrPを認識できるニワトリ型mAbの作成に成功し、それらをヒトがんの診断や狂牛病・ヒトCJDの研究に活用することができていた。
【0006】
近年になり、遺伝子工学技術を活用して組み換え抗体(リコンビナント抗体)をファージ表面に発現させる技術が開発された。このファージディスプレイ抗体技術は1991年に英国MRC研究所のWinterらによって開発されたシステムで(Winter, G., et al., Nature, 349, 293-299 (1991))、非免疫ヒト末梢血リンパ球から抗体遺伝子を単離し、人工的にVH、VL遺伝子をシャッフリングさせ多様化したscFv(single chain Fragment of variable region)抗体をファージ融合タンパクとして発現させ、特異抗体を得た(Marks, J.D., et al., J. Mol. Biol., 222, 581-597 (1991))。この技術は、免疫を回避でき、さらに細胞融合法に変わるヒト化抗体作製技術として高く評価された。現在では高度免疫したマウス脾細胞を利用して実用的抗体が数多く作製され、抗PrP抗体も同様に作製されている(Williamson, R. A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 99, 7279-7282 (1996))。
【0007】
また、ニワトリを利用した例としては、以下に示す国内外の2つのグループからの報告が挙げられる。Daviesらは、非免疫状態のファブリキウス嚢由来抗体遺伝子と、発現ベクターfd-tet-DOG 1から3種の特異抗体を樹立し、哺乳動物以外でも同様にこの技術の適応が可能であり、しかも免疫を回避して作出できることを証明した(Davis, E. D., et al., J. Immunol. Methods, 186,125-135 (1995))。
一方、山中らは、マウスアルブミン免疫脾細胞由来の抗体V領域遺伝子と、独自に開発した発現ベクターpPDSを利用して十分な反応性を示す特異的ファージディスプレイ抗体の構築を報告し、実用化抗体の作製には、免疫脾細胞由来抗体遺伝子ライブラリーの利用を強調した(Yamanaka, H. I., et al., J. Immunol., 157, 1156-1162 (1996))。ここで使用したpPDSは、マウス抗体発現用ベクターとして開発されたもの(Yamanaka, H. I., et al., J. Biochem.,117, 1218-1227 81995))で、STRATA GENE社から市販されているクローニング用ファージミドベクターのpBluescriptIIをベースとしている。
【0008】
に発現ベクターpPDSの構成を示す。pPDSは、そのラクトースオペロン(Lac)プロモーターを利用し組み込んだscFv抗体cDNAの発現を誘導するようになっている。プロモーターの下流には、リボゾーム結合部位(RBS)およびM13 geneIIIのリーダー配列(g3l)を人工的に繋ぎ込み、EagIとBssHIIとからなるクローニングサイトで組み込まれた抗体遺伝子が大腸菌のペリプラズムを経て再構成ファージ体として発現できるよう設計されている。更にその下流にはFab抗体の発現に備えてマウスCλ鎖遺伝子を繋ぎ、cp3の構造部位へとつながり終止コドンとなっている。このCλ鎖は、融合タンパクの発現がうまく行われているかどうかを検証する上でも非常に有効なタグとなる。また、このpPDSベクターは、可溶型scFvもしくはFab抗体の発現にも対応できるように、Cλ鎖とgeneIIIの間にはTAG(アンバー配列)ストップコドンを挿入しており、通常はsupEの大腸菌株を用いることによりファージディスプレイ抗体として発現されるが、ノンサプレッサー株で培養すれば、培地中に可溶型抗体が分泌されるようになる。
産業上の利用分野
本発明は、抗体及び当該抗体を用いたプリオンタンパク質の検出方法に関し、特に、ニワトリ由来モノクローナル抗体及び当該抗体を用いたプリオンタンパク質の検出方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 配列表の配列番号1に示す、塩基配列番号1-398で示される塩基配列、又は前記塩基配列番号1-398の塩基配列の1個又は数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ哺乳動物プリオンタンパク質のX1HX2QWNK(但し、X1は、T又はSを示し、X2は、S又はN又はGを示す)からなる配列を抗原決定基とするニワトリ由来モノクローナル抗体の重鎖をコードする核酸。
【請求項2】 配列表の配列番号2に示す、塩基配列番号1-398で示される塩基配列、又は前記塩基配列番号1-398の塩基配列の1個又は数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ哺乳動物プリオンタンパク質のX1HX2QWNK(但し、X1は、T又はSを示し、X2は、S又はN又はGを示す)からなる配列を抗原決定基とするニワトリ由来モノクローナル抗体の重鎖をコードする核酸。
【請求項3】 配列表の配列番号3に示す、塩基配列番号1-350で示される塩基配列、又は前記塩基配列番号1-350の塩基配列の1個又は数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ哺乳動物プリオンタンパク質のX1HX2QWNK(但し、X1は、T又はSを示し、X2は、S又はN又はGを示す)からなる配列を抗原決定基とするニワトリ由来モノクローナル抗体の軽鎖をコードする核酸。
【請求項4】 配列表の配列番号4に示す、塩基配列番号1-350で示される塩基配列、又は前記塩基配列番号1-350の塩基配列の1個又は数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ哺乳動物プリオンタンパク質のX1HX2QWNK(但し、X1は、T又はSを示し、X2は、S又はN又はGを示す)からなる配列を抗原決定基とするニワトリ由来モノクローナル抗体の軽鎖をコードする核酸。
【請求項5】 請求項1記載の核酸がコードする重鎖と、請求項3記載の核酸がコードする軽鎖とを含むニワトリ由来モノクローナル抗体。
【請求項6】 請求項2記載の核酸がコードする重鎖と、請求項4記載の配列からなる軽鎖とを含むニワトリ由来モノクローナル抗体。
【請求項7】 配列表の配列番号5に示す、アミノ酸配列番号1-132で示されるアミノ酸配列、又は当該配列番号5に示す、アミノ酸配列の1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ哺乳動物プリオンタンパク質のX1HX2QWNK(但し、X1は、T又はSを示し、X2は、S又はN又はGを示す)からなる配列を抗原決定基とするニワトリ由来モノクローナル抗体の重鎖であるポリペプチド。
【請求項8】 配列表の配列番号6に示す、アミノ酸配列番号1-132で示されるアミノ酸配列、又は当該配列番号6に示す、アミノ酸配列の1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ哺乳動物プリオンタンパク質のX1HX2QWNK(但し、X1は、T又はSを示し、X2は、S又はN又はGを示す)からなる配列を抗原決定基とするニワトリ由来モノクローナル抗体の重鎖であるポリペプチド。
【請求項9】 配列表の配列番号7に示す、アミノ酸配列番号1-116で示されるアミノ酸配列、又は当該配列番号7に示す、アミノ酸配列の1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ哺乳動物プリオンタンパク質のX1HX2QWNK(但し、X1は、T又はSを示し、X2は、S又はN又はGを示す)からなる配列を抗原決定基とするニワトリ由来モノクローナル抗体の軽鎖であるポリペプチド。
【請求項10】 配列表の配列番号8に示す、アミノ酸配列番号1-116で示されるアミノ酸配列、又は当該配列番号8に示す、アミノ酸配列の1個又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ哺乳動物プリオンタンパク質のX1HX2QWNK(但し、X1は、T又はSを示し、X2は、S又はN又はGを示す)からなる配列を抗原決定基とするニワトリ由来モノクローナル抗体の軽鎖であるポリペプチド。
【請求項11】 請求項7記載のポリペプチドからなる重鎖と、請求項9記載のポリペプチドからなる軽鎖とを含むニワトリ由来モノクローナル抗体。
【請求項12】 請求項8記載のポリペプチドからなる重鎖と、請求項10記載のポリペプチドからなる軽鎖とを含むニワトリ由来モノクローナル抗体。
【請求項13】 前記抗体が、ニワトリCλ鎖(L鎖定常領域)、ニワトリscFv領域を有する請求項5、6、11、又は12のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項14】 前記抗体が、さらに精製用タグを有する請求項13記載の抗体。
【請求項15】 請求項5、6、11、12、13、又は14項のいずれか1項に記載の抗体を用いて検出するプリオンタンパク質の検出方法。
【請求項16】 プリオンタンパク質が異常型であり、さらにタンパク質分解酵素を用い
て当該異常型プリオンタンパク質を検出する請求項15記載の方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 有機化合物
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中


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