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哺乳動物細胞内にトランスフェクションした遺伝子の増幅を向上させるためのベクターおよび方法 新技術説明会

国内特許コード P05P002899
掲載日 2005年4月8日
出願番号 特願2003-137338
公開番号 特開2004-337066
登録番号 特許第3882042号
出願日 平成15年5月15日(2003.5.15)
公開日 平成16年12月2日(2004.12.2)
登録日 平成18年11月24日(2006.11.24)
発明者
  • 清水 典明
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 哺乳動物細胞内にトランスフェクションした遺伝子の増幅を向上させるためのベクターおよび方法 新技術説明会
発明の概要

【課題】哺乳動物宿主細胞における導入遺伝子の安定化方法の提供。
【解決手段】本発明は、哺乳動物細胞内にトランスフェクションした遺伝子を安定化させるためのベクターであって、該ベクターの複製開始領域からの複製フォークと該ベクターに組み込まれた任意の遺伝子からの転写とが同じ配向の構造であることを特徴とするベクター、該ベクターの複製開始領域からの複製フォークと該ベクターに組み込まれた任意の遺伝子からの転写が正面衝突する領域に、複製開始領域からの複製フォークを阻害する配列またはpoly(A)付加配列を含む構造であることを特徴とするベクター、または該ベクターの複製開始領域からの複製フォークと該ベクターに組み込まれた任意の遺伝子からの転写が正面衝突する領域に、核マトリックス結合領域を含まない構造であることを特徴とするベクターを提供する。
【選択図】 図5

従来技術、競合技術の概要
哺乳動物細胞で導入遺伝子の細胞内コピー数を増加させる方法として唯一知られている方法は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO; Chinese Hamster Ovary)細胞を宿主とし、これに目的遺伝子をジヒドロ葉酸リダクターゼ(DHFR; Dihydrofolate reductase)遺伝子と同時にトランスフェクションしてジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子産物の阻害剤であるメトトレキセート(MTx; Methotrexate)を培養液中に加えて選択する方法である(非特許文献1)。この方法は、現在、広く医薬品等有用物質の大量生産に利用され、重要な技術となっている。
【0003】
しかし、この方法は、適用できる宿主細胞がCHO細胞等に限定され、汎用性に欠けるという問題がある。また、選択薬剤であるメトトレキセートを使用して長期間にわたって遺伝子導入細胞を選択する必要がある。しかも、メトトレキセートの細胞毒性作用を考慮しつつ、濃度を少しずつ増加させて選択しなければならない。したがって、遺伝子導入細胞に対して相当の配慮を必要とし、経験および熟練をも必要とする。さらに、この方法は導入遺伝子が比較的短い場合にのみ適用することができ、導入遺伝子のサイズの範囲が狭いという問題がある。
【0004】
一般に、タンパク質はその種類によってリン酸化、アセチル化等の種々の修飾をうけることが多い。同じタンパク質でも、発現する細胞、発現時期、細胞への刺激等の条件により、修飾の種類および修飾をうける部位が異なることが知られている。したがって、本来は目的タンパク質を発現していない宿主細胞に目的タンパク質をコードする遺伝子をトランスフェクションして発現させた場合、そのタンパク質の本来の性状を正確に反映する保証はない。また、タンパク質が機能するためには、一般的に特異的な修飾が必要とされることが多い。したがって、トランスフェクションする遺伝子に応じた修飾がなされるように、宿主細胞を適宜選択できることが好ましい。上述の細胞内コピー数を増加させる方法では、適用できる細胞がCHO細胞に限られてしまう。したがって、適切な修飾がなされないことも多い。また、哺乳動物細胞内で医薬品等の有用タンパク質を生産する上で大きな障害となっている。
【0005】
このような問題を解決するために応用できる知見として、哺乳動物複製起点および核マトリクス結合領域を有するプラスミドを使用してDM(ダブルマイニュート染色体)を有する細胞にトランスフェクションすると、該プラスミドがDMおよびHSR(均一染色領域)に組み込まれること、およびDMを持たない細胞に該プラスミドをトランスフェクションすると、HSRに組み込まれると共にDM様の構造を形成することを以前に見出した(非特許文献2)。すなわち、該プラスミドを使用することにより、トランスフェクションした細胞内において自立複製させることが可能で、且つ娘細胞に安定して分配させることが可能となった。また、上記プラスミドを使用した場合、細胞内でプラスミドを高度に増幅させることができる。
【0006】
しかし、トランスフェクションしたプラスミドは、コピー数が増加されるだけでなく、細胞内で安定して存在することが必要である。したがって、配列を不安定化せずにプラスミドの増幅を向上させる技術が望まれている。また、宿主細胞にトランスフェクションした遺伝子を増幅させないための技術も必要とされている。
【0007】
一方、トランスフェクションしたプラスミドが不安定であるときに、プラスミドがHSRに組み込まれることを見いだした。すなわち、HSRに組み込まれにくいプラスミドは、安定性が高いことになる。したがって、プラスミドをより安定化させるために、DMにのみプラスミドを組み込む技術が望まれる。
【0008】
【非特許文献1】
Omasa, T.、Gene Amplification and Its Application in Cell and Tissue Engineering、“J. BIOSCIENCE AND BIOENGINEERING”、2002年、94巻、p.600-605
【0009】
【非特許文献2】
Noriaki Shimizu, Yuri Miura, Yu Sakamoto, and Ken Tsutsui、Plasmids with a Mammalian Replication Origin and a Matrix Attachment Region Initiate the Event Similar to Gene Amplification1.、“Cancer Research”、2001年、61巻、p.6987-6990
【0010】
【非特許文献3】
産業上の利用分野
本発明は、哺乳動物細胞内でトランスフェクションした目的遺伝子を安定化させるため、または増幅させるためのベクターおよび方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 哺乳動物細胞内にトランスフェクションした遺伝子の増幅を向上させるためのベクターであって、哺乳動物細胞内で機能する複製開始領域および核マトリックス結合領域を含み、
前記複製開始領域からの複製フォークが、該ベクターに組み込まれた任意の遺伝子からの転写と正面衝突する構造であることと、
前記複製と転写が正面衝突する領域にpoly(A)付加配列または複製フォーク阻害配列が存在しないことと、
前記複製と転写が正面衝突する領域に前記核マトリックス結合領域を含むことと、
を特徴とするベクター。
【請求項2】 請求項1に記載のベクターであって、さらに薬剤耐性遺伝子を含むことを特徴とするベクター。
【請求項3】 請求項1または2に記載のベクターであって、さらに目的遺伝子を含むことを特徴とするベクター。
【請求項4】 請求項2または3に記載のベクターであって、
前記任意の遺伝子は、目的遺伝子または薬剤耐性遺伝子であることと、
前記転写は、前記目的遺伝子または前記薬剤耐性遺伝子の転写であることを特徴とするベクター。
【請求項5】 請求項1~4に記載のベクターであって、
前記核マトリックス結合領域が、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域からなる群から選択されるベクター。
【請求項6】 請求項1~5に記載のベクターであって、
前記哺乳動物内で機能する複製起点は、EBウイルス潜在複製起点(EBV latent origin)、c-myc遺伝子座の複製起点、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の複製起点およびβ-グロビン遺伝子座の複製起点からなる群から選択されるベクター。
【請求項7】 哺乳動物細胞内にトランスフェクションした遺伝子を増幅させる方法であって、請求項4に記載のベクターを前記哺乳動物細胞にトランスフェクションすることを含む方法。
【請求項8】 哺乳動物細胞内に目的遺伝子を増幅させる方法であって、
請求項1または2に記載のベクターを前記哺乳動物細胞にトランスフェクションすることと、および
目的遺伝子を含むベクターを前記哺乳動物細胞にトランスフェクションすることと、
を含む方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2003137338thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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