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散乱角不確定性補正コンプトンカメラ

国内特許コード P05A006965
整理番号 NIRS-172
掲載日 2005年4月8日
出願番号 特願2003-124173
公開番号 特開2004-325405
登録番号 特許第4352122号
出願日 平成15年4月28日(2003.4.28)
公開日 平成16年11月18日(2004.11.18)
登録日 平成21年8月7日(2009.8.7)
発明者
  • 平澤 雅彦
  • 富谷 武浩
出願人
  • 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
発明の名称 散乱角不確定性補正コンプトンカメラ
発明の概要 【課題】コンプトンテレスコープを含むコンプトンカメラにおいて、測定コンプトン散乱角に対する不確定性を補正し、得られるガンマ線源放射能密度分布の解像度を改善すること。
【解決手段】ガンマ線源の放射能密度分布を測定するコンプトンカメラで、前面検出器及び後面検出器と、該検出器からの出力に基づき計算しガンマ線源の放射能密度分布を再構成する演算手段を有しており、該演算手段は、ガンマ線の測定コンプトン散乱角不確定性を積分核に組み込んだ積分方程式の解を用いて、補正された方向線上ガンマ線源積算放射能分布を得ることにより、解像度の良いガンマ線源放射能密度分布を再構成する。前記演算手段は、次に示す関数kBrを組み込んだ積分方程式の解を用いることが望ましい。
【数1】



ここで、ベクトルsは前面検出器へのガンマ線の入射方向単位ベクトル、ベクトルtは前面検出器からのガンマ線のコンプトン散乱方向単位ベクトル、ωは測定コンプトン散乱角、Δωは測定コンプトン散乱角不確定度の半値幅である。
従来技術、競合技術の概要


コンプトンカメラは、典型的には、図1に示すようにガンマ線のコンプトン散乱・光電吸収位置とそこでのガンマ線のエネルギー損失量が測定できる2枚の検出器110、120よりなる。ガンマ線が前面の検出器110でコンプトン散乱された後、後面の検出器120で光電吸収される過程を利用し、その前面検出器での損失エネルギーE1からコンプトン公式(式(1)参照)によりコンプトン散乱角ωを求め、ガンマ線源150の位置を散乱点aと吸収点bを結ぶ直線を軸とする頂角2ωの円錐面内に限定する。これが、電子的コリメーションとよばれるコンプトンカメラの基本原理である(必要であれば、本出願発明者の特許文献1や非特許文献1,2参照のこと)。
【数8】


ここで、mとCは、それぞれ、電子の静止質量と光の速さであり、Eはガンマ線源からの入射ガンマ線のエネルギーである。図1に示す円錐面が3つ測定されれば、3つの円錐面がいずれもガンマ線源位置を含み、3つの円錐面の交点が、ガンマ線源150の3次元位置を与えてくれる。



さて、L.C.Parraは、複素球面調和関数による級数展開を用い、2種のコンプトンカメラでの積分方程式の解としてのガンマ線源放射能密度分布再構成手法を提示した(非特許文献1参照)。そこでは、級数展開により方向線逆投影値(ガンマ線源の方向線上積算放射能密度)分布が導出される。さらには、複素球面調和関数は、その加法定理を用いて、ルジャンドル関数に全て落とされている。しかし、この手法は、前面検出器から全方向への散乱投影値(コンプトン散乱ガンマ線計数値)の分布を測定値として必要とするため、後面検出器としては、前面検出器をそっくり覆う物が必要となってしまう。
L.C.Parraの第1手法は、コンプトン散乱角の測定値を必要としない形式になっている。その積分方程式の一般形は以下の通りである。
【数9】


ここで、ベクトルsは前面検出器へのガンマ線の入射方向単位ベクトル、ベクトルtは前面検出器からのガンマ線のコンプトン散乱方向単位ベクトルであり、Vは後面検出器面領域である。h、g1(t)、f(s)は、それぞれ、クライン・仁科の公式、方向tへの散乱投影値、方向sでの方向線逆投影値を示す。また、∫dsはVの前面検出器中心単位球面上への投影面の上での面積分を示し、<s,t>は、ベクトルsとベクトルtの内積を示す。



この積分方程式の解は、本願発明者たちにより、任意の完全正規複素直交関数系による級数展開の形式に、複素関数空間論(無限次元複素ヒルベルト空間論)の枠組みの中で、以下のように一般化されている。
【数10】


ここで、φ(iは正の整数)はVの前面検出器中心単位球面上への投影面を定義域とする任意の完全正規複素直交関数系である。また、∫ds又は∫dtはVの前面検出器中心単位球面上への投影面の上での面積分を示す。
適当な完全正規複素直交関数系が与えられれば、方向線逆投影値分布fを前面検出器からVへの限定された方向範囲内への散乱投影値分布gから導出することが可能となり、後面検出器は前面検出器を覆う必要が無くなる。これらに関しては、本願発明者たちによる出願(前述の特許文献1)を参照されたい。



また、本願発明者たちは、L.C.Parraの第2手法を改良した新手法をも提示した(非特許文献2参照)。そこでは、δ関数の級数展開が利用され、ωからωの限定されたコンプトン散乱角ωでの散乱投影値分布gのみから方向線逆投影値分布fを導出することが可能であ、後面検出器は前面検出器を覆う必要が無くなる。解くべき積分方程式の一般形は以下の通りである。
【数11】


ここで、関数k(s,t,ω)は、
【数12】


である。



本願発明者たちによる、積分方程式(6)の解は、以下のようになる(非特許文献2参照)。
【数13】


ここで、ω1とω2は0からπの実数(ω1<ω2)、Pとg(t,ω)は、それぞれ、n次のルジャンドル関数とコンプトン散乱角ωでの方向tへの散乱投影値を表す。さらに、<t,s>と∫dtは、それぞれ、ベクトルtとベクトルsの内積、および、前面検出器を中心とする単位球面S上での面積分を示す。



しかし、これらの方向線逆投影値分布再構成手法におけるコンプトン散乱角ωでの損失エネルギーEは、実測定段階で前面検出器の有限のエネルギー分解能によるΔE1e(半値幅)の不確定度を持っている。さらには、このエネルギー分解能によるものとは独立に、コンプトン散乱角ωでの損失エネルギーEは、コンプトン散乱が原子内の有限の運動量を持つ束縛電子によるものであるために、束縛運動電子によるドップラー効果での不確定度ΔE1d(半値幅)をも持つ。
総エネルギー不確定度ΔE(半値幅)は、以下の式で表すことができる。
【数14】


これらのガンマ線損失エネルギー不確定度は、それぞれ近似公式(式(12)参照)を用いることにより、前面検出器での測定損失エネルギーEに対応する測定コンプトン散乱角ωの不確定度Δω(半値幅)に変換することができる。
【数15】


ここで、α= E/mである。



本願発明者たちは、マルチトレーサー用のGe両面クロスストリップ検出器を用いたコンプトンカメラの共同開発を進めている。そのGe両面クロスストリップ検出器の推定エネルギー分解能を元に計算した測定コンプトン散乱角総不確定度(半値幅)を、図2に3つの入射エネルギー(141keV,364keV,511keV)のガンマ線に対して示す。図2から分かるように、低エネルギーガンマ線ほど不確定度は大きく、また、特に小測定コンプトン散乱角で不確定度が顕著になり、141keVのガンマ線では、測定コンプトン散乱角10度から30度で、約9.0度から4.6度もの不確定度(半値幅)となってくる。
【特許文献1】
特開2002-357661号公報
【非特許文献1】
Parra L.C.; Reconstruction of cone-beam projections from Compton scattered data, IEEE Trans. Nucl. Sci., 47 : 1543-1550, 2000.
【非特許文献2】
Tomitani T and Hirasawa M : Image reconstruction from limited angle Compton camera data, Phys. Med. Biol., 47 : 2129-2145, 2002.

産業上の利用分野


本発明は、コンプトンカメラやコンプトンテレスコープ(以下まとめて、コンプトンカメラという)に関し、特にコンプトンカメラにおける測定コンプトン散乱角の不確定性の補正に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ガンマ線源の放射能密度分布を測定するコンプトンカメラであって、
前面検出器及び後面検出器と、該検出器からの出力に基づき計算しガンマ線源の放射能密度分布を再構成する演算手段を有し、
該演算手段は、ガンマ線の測定コンプトン散乱角の不確定性を積分核に組み込んだ積分方程式の解を用い、補正された方向線上ガンマ線源積算放射能密度分布を得ることにより、解像度の良いガンマ線源放射能密度分布を再構成することを特徴とするコンプトンカメラ。

【請求項2】
請求項1に記載のコンプトンカメラにおいて、
前記演算手段は、次に示す関数kBrを組み込んだ積分方程式の解を用いることを特徴とするコンプトンカメラ。
【数1】


ここで、ベクトルsは前面検出器へのガンマ線の入射方向単位ベクトル、ベクトルtは前面検出器からのガンマ線のコンプトン散乱方向単位ベクトル、ωは測定コンプトン散乱角、Δωは測定コンプトン散乱角の不確定度半値幅である。

【請求項3】
請求項2に記載のコンプトンカメラにおいて、
前記演算手段の前記関数kBr中の関数Brの近似関数として、次に示す関数を用いることを特徴とするコンプトンカメラ。
【数2】



【請求項4】
請求項2又は3に記載のコンプトンカメラにおいて、
前記演算手段の前記測定コンプトン散乱角不確定性を積分核に組み込んだ積分方程式は、次に示すものであることを特徴とするコンプトンカメラ。
【数3】


ここで、g(t)は方向tでの後面検出器へのガンマ線コンプトン散乱計数値、Vは後面検出器面領域、Sは前面検出器を中心とする単位球面、hはクライン・仁科の公式,ベクトルuはクライン・仁科の公式に前記測定コンプトン散乱角不確定性を畳み込むための助変数としての方向単位ベクトル、f(s)は方向sでのガンマ線源の方向線上積算放射能密度である。また、関数kBrd中のΔωは、束縛運動電子によるドップラー効果に起因する測定コンプトン散乱角不確定度半値幅である。

【請求項5】
請求項2又は3に記載のコンプトンカメラにおいて、
前記演算手段の前記測定コンプトン散乱角不確定性を積分核に組み込んだ積分方程式は、次に示すものであることを特徴とするコンプトンカメラ。
【数4】


又は
【数5】


ここで、g(t,ω)は方向tと測定コンプトン散乱角ωでの後面検出器へのガンマ線コンプトン散乱計数値、Vは後面検出器面領域、Sは前面検出器を中心とする単位球面、hはクライン・仁科の公式、ベクトルuはクライン・仁科の公式に前記測定コンプトン散乱角不確定性を畳み込むための助変数としての方向単位ベクトル、f(s)は方向sでのガンマ線源の方向線上積算放射能密度である。また、関数kBrd中のΔωは、束縛運動電子によるドップラー効果に起因する測定コンプトン散乱角不確定度半値幅であり、関数kBre中のΔωは、前面検出器の有限であるエネルギー分解能に起因する測定コンプトン散乱角不確定度半値幅であり、関数kBrt中のΔωは、両半値幅の2乗和の平方根である。

【請求項6】
請求項4に記載のコンプトンカメラにおいて、
前記演算手段の前記測定コンプトン散乱角不確定性を積分核に組み込んだ積分方程式の解は、次に示す式であることを特徴とするコンプトンカメラ。
【数6】


ここで、φiは、Vの前面検出器中心単位球面上への投影面を定義域とする任意の完全正規複素直交関数系である。

【請求項7】
請求項5に記載のコンプトンカメラにおいて、
前記演算手段の前記測定コンプトン散乱角不確定性を積分核に組み込んだ積分方程式の解は、次に示す式であることを特徴とするコンプトンカメラ。
【数7】


ここで、Pnはn次のルジャンドル関数、ω1とω2は0からπの実数(ω1<ω2)である。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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