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超臨界水中における2-フェニルプロピオン酸エステルの分解反応

研究報告コード R000000464
掲載日 2002年9月30日
研究者
  • 山子 茂
  • 吉田 潤一
  • 岡 博之
  • 梶本 興亜
研究者所属機関
  • 京都大学大学院工学研究科
  • 京都大学大学院工学研究科
  • 京都大学大学院理学研究科
  • 京都大学大学院理学研究科
研究機関
  • 京都大学大学院理学研究科
  • 京都大学大学院工学研究科
報告名称 超臨界水中における2-フェニルプロピオン酸エステルの分解反応
報告概要 超臨界水中におけるエステル加水分解の機構はまだよく理解されておらず,現在までの研究では(a)水分子の直接求核攻撃機構が有力とされている。しかしピナコール転位などの酸触媒反応が超臨界水中で起こることから,(b)酸触媒および(c)塩基触媒機構も無視できない。また超臨界水の高温・高圧(TC=374℃, PC=22.1MPa)といった条件から(d)ラジカル機構も考えられる。そこで本研究では,2-フェニルプロピオン酸メチルエステル(MPP)を用いて,エステル加水分解の機構を調べた。MPPは機構(d)の可能性を調べるのに有用な基質で,結合のホモリティックな開裂が起こった場合,速い脱CO反応が起こると考えられる。反応は温度390℃,密度0.26~0.57gcm-3で行い,生成物はガスクロマトグラフィー(GC),GC-MASSおよびNMRで分析した。その結果,MPPは2-フェニルプロピオン酸(PPA)を主生成物として与えた。気体成分にCOが見られなかったことから機構(d)による加水分解は起こっていないことが分かった。MPPの消失とPPAの生成からMPPの加水分解の速度定数k1を求めたところ,k1は水の密度とともに大きく増加することが分かった。しかしこの増加は水の密度の一次に比例していないことから,加水分解は機構(a)で進んでいないことが分かった。そこで次にk1を水のイオン積(KW)の0.5乗に対してプロットしたところ,非常にきれいな直線関係が得られた(図1)。KW0.5=[H+]=[OH-]であるので,加水分解は水から解離されるH+あるいはOH-によって触媒されることが分かった。エステル加水分解が酸触媒機構(機構(b))で起こるとき,速度は生成するカルボン酸(PPA)から解離するプロトンの影響を受ける(自己触媒作用)。そこであらかじめPPAを含む溶液でMPPの反応を行ったところ,その速度はPPAが存在しない系とあまり変わらなかった。超臨界水中における2-ナフタレンカルボン酸の酸解離度のデータをもとにPPAから解離されるプロトンの量を計算したところ,その量は水から解離されるプロトンの10倍であった。しかしPPAの存在がk1に影響を与えなかったことから,加水分解は塩基触媒機構(機構(c))で進行すると考えられた。確認のため水酸化ナトリウムを加えて反応を行ったところ,k1の増加が認められた。これらのことから超臨界水中でのエステル加水分解は塩基触媒機構で進行することが分かった。
画像

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研究分野
  • 反応速度論・触媒一般
  • 分解反応
  • 芳香族単環カルボン酸エステル・カルボン酸無水物・酸ハロゲン化物
研究制度
  • 戦略的基礎研究推進事業、研究領域「単一分子・原子レベルの反応制御」研究代表者 梶本 興亜(京大理学研究科)/科学技術振興事業団
研究報告資料
  • 岡 博之,梶本 興亜,山子 茂,吉田 潤一. 超臨界水中における2-フェニルプロピオン酸エステルの分解反応. 戦略的基礎研究推進事業 単一分子・原子レベルの反応制御 第4回シンポジウム —2期・3期チームの研究進捗— 講演要旨集,2000. p.88 - 88.

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