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過去の体験に基づく好き嫌いの決定機構

研究報告コード R993100882
掲載日 2002年9月30日
研究者
  • 森 郁恵
研究者所属機関
  • 名古屋大学大学院理学研究科
研究機関
  • 名古屋大学大学院理学研究科
報告名称 過去の体験に基づく好き嫌いの決定機構
報告概要 動物は多様な環境に応じて行動を変化させる。この動物行動の可塑性は、神経系機能の営みを反映しているはずである。線虫C.elegansの温度走行性行動は、神経系の可塑性が最も直接的に観察できる行動の1つである。線虫は、温度勾配上で、餌を十分に与えて飼育された温度へ移動するが、飢餓状態で飼育されていた温度から逃れように行動する。この現象は、線虫が、飼育温度を餌の摂取状態と関連づけて記憶している可能性を示唆する。本研究では、過去の体験によって変化する線虫の温度走行性行動を一種の学習モデルとみなし、この過去の餌の摂取状況による温度指向性の逆転に関して遺伝学的手法による解析を試みた。具体的には、過去の餌の摂取状態に関わらず、温度勾配上で常に飼育温度に移動する変異体を単離し、その遺伝・行動解析を行った。好熱性ttx-4変異体と、aho-1変異体および幾つかの変異体候補を単離することができた。aho変異体の遺伝・行動解析を進め、aho遺伝子のクローニングと発現細胞の同定を行う予定である。本研究は、神経ネットワークに基づいた高等動物の学習や記憶の分子的基盤の解明に手がかりを与えるものと考えられる。
画像

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研究分野
  • 心理学一般
  • 動物に対する影響
  • 中枢神経系
  • 精神科の基礎医学
関連発表論文 (1)Mori, I. Genetics of chemotaxis and thermotaxis in the nematode Caenorhabditis elegans. Ann. Rev. Genet. 33, 399-422(1999)
(2)小松秀俊、森 郁恵、C.elegansの温度走性と記憶・学習、生物物理 222,97-100(1999)
(3)Okochi, Y., Okumura, M. and Mori, I., Thermotaxis-defective mutations that interact with daf mutations of TGF-beta-like signaling pathway, The Worm Breeder's Gazette, Vol.15, No.4, 27(1998)
(4)Sasakura, H., Kuhara, A., Komatsu, H. and Mori, I., GFP markers illuminating functional abnormalities in neurons required for thermotaxis, The Worm Breeder's Gazette, Vol.15, No.4, 28(1998)
(5)Mohri, A., Koike, M. and Mori, I., Cultivation temperature avoidance induced by starvation, The Worm Breeder's Gazette, Vol.15, No.4, 29(1998)
(6)Mori, I. and Ohshima, Y. Molecular neurogenetics of chemotaxis and thermotaxis in the nematode Caenorhabditis elegans. BioEssays 19, 1055-1064(1997)
(7)小松秀俊、森 郁恵、大島靖美、C.elegansの環状ヌクレオチド依存性チャネルと温度感覚、嗅覚および味覚、細胞工学16,1166-1174(1997)
研究制度
  • さきがけ研究21、「遺伝と変化」領域/科学技術振興事業団
研究報告資料
  • 森 郁恵. 過去の体験に基づく好き嫌いの決定機構. 「さきがけ研究21」研究報告会「遺伝と変化」領域 講演要旨集(研究期間1996-1999),2000. p.97 - 106.

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