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木星の海を地球に創る

研究報告コード R030000194
掲載日 2005年2月22日
研究者
  • 奥地 拓生
研究者所属機関
  • 名古屋大学大学院環境学研究科
研究機関
  • 名古屋大学
報告名称 木星の海を地球に創る
報告概要 10~50Mbar の圧力下にある木星型惑星の中心部にはH2O の巨大な海がある。H2O の構造は水素結合形成のため多様であり、20kbar までの圧力下に十以上の分子性結晶相が存在する。Mbarの圧力下では分子間距離の短縮の結果、水素結合は対称化して分子内結合を置き換え、H2O はイオン性物質に変わる。この相転移は熱励起による陽子拡散を可能にする、つまり木星型惑星内部のH2O は、電子ではなく陽子が電荷を運ぶ新しい物質、速陽子伝導体の最有力候補である。1Mbar を超える静水圧発生はダイヤモンドアンビルセル(DAC)により可能である。だがDAC 試料の主観察手段であるX線回折法は、わずか1 個の電子でH2O の構造を支配する水素原子には無効である。本研究では水素に特に敏感であり、かつ流体の構造解析が可能な核磁気共鳴測定をDAC 試料に対して行う方法を新しく開発し、超高圧力下でのH2O の構造と動的性質をその場観察する。本研究の目的は,このような惑星内部での液体H2O の状態と変革を捉えることにある。この目的の達成のために、高圧容器に閉じ込められた試料について、水素結合、つまり陽子の化学結合状態を、圧力の関数として観測する手法が必要になる。超高圧力下での核磁気共鳴分光測定は,13GPa までの圧力下、液体窒素温度から室温までの温度範囲で試みられている。しかしこれはH2O のイオン性物質への相転移には未だ及ばない圧力である。さらに高圧力、そして高温でもある惑星内部の条件下で核磁気共鳴分光測定を行うために、(1)圧力発生と、(2)高周波送受信の二つの実験技術について、それぞれ過去の例よりも優れた装置を製作し、これを組み合わせることによって研究の目的を達成したい。
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研究分野
  • 分子の電気的・磁気的性質
  • NMR一般
  • 惑星
関連発表論文 (1) Y. Abe, E. Ohtani. T. Okuchi, K. Righter and M. Drake, Water in the early Earth, in Origin of the Earth and Moon, Robin M. Canup and Kevin Righter, eds, Univ. of Arizona Press, 2000
(2) 奥地拓生,水が大地を動かす:核,サイアス,朝日新聞社,1999年12月号
(3) 奥地拓生,水の行方 -地球初期進化への新たな問題提起一,地球化学,33,247-254 (1999)
(4) T. Okuchi, Melting temperature of iron hydride at high pressures and its implications for temperature of the Earth's core, Journal of Physics: Condensed Matter, 10, 11595-11598, 1998
(5) T. Okuchi, Melting temperature of iron hydride and its implications to the temperature of the Earth's core, EOS Transactions, 79, F70, 1998
研究制度
  • さきがけ研究21 「状態と変革」領域
研究報告資料
  • 奥地 拓生. 木星の海を地球に創る. 「さきがけ研究21」研究報告会 「状態と変革」領域 第2期研究者 講演要旨集(研究期間:1998-2001),2001. p.12 - 12.

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