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不均一磁場を用いたクラスター質量分析装置の開発

研究報告コード R030000196
掲載日 2005年2月22日
研究者
  • 河合 明雄
研究者所属機関
  • 東京工業大学理工学研究科化学専攻
研究機関
  • 東京工業大学
報告名称 不均一磁場を用いたクラスター質量分析装置の開発
報告概要 ラジカル分子は、人間が生活する環境である大気中から生命体内部に至るまでの非常に広い範囲に分布する不安定で反応性に富んだ化学物質である。例えば、大気中ではオゾン層生成と破壊に関与する酸素ラジカルやハロゲンラジカル、浮遊有機物の反応などに携わるOHラジカル、生命体内では老化を引き起こす有害なラジカルや病原菌の撃退に寄与する活性酸素ラジカルなどが挙げられる。また、人類の生産活動においてもラジカルは重要な物質で、半導体エッチング、ポリマ-生成など、ラジカル反応を利用した例は大変多い。このようにラジカルの研究は広範な分野に渡り、その数も多いが、詳細な基礎研究という観点では未だ多くの課題があると思われる。ラジカルはその高い反応性から単離が難しく、一部の安定なタイプのラジカルを除けば実験が難しいことがその原因と考えられる。私の行ったさきがけ研究課題では、ラジカル分子を研究するための新しい原理に基づく装置を試作し、身近な存在ながら謎の多いラジカルの諸性質を解明することを目的とした。製作した装置ではラジカルに特異的に働く六極磁場を用いており、ラジカル化した常磁性分子やそのクラスターの質量選別および真空中での単離が可能である。さきがけ研究課題における装置開発は、特にラジカルクラスタ-研究装置としての性能に重点をおいて行った。分子が複数個集合してできた分子クラスターは、気液固体と比べて物理的性質や内部での化学反応性が異なる場合があり、大変興味深い系である。クラスターの研究は、スモーレーとクロトーらがカーボンクラスターの研究からフラーレンを発見したように、新物質の創生という観点からも大変興味深い。クラスターの物質としての諸性質はクラスターサイズに依存することが多く、サイズという気液固体にはない新たな因子が重要になる。したがって、クラスターの質量を選別できる開発装置は、クラスター研究に不可欠なものといえる。さきがけ研究課題で製作を目指した装置は、ラジカルクラスターの質量選別が可能であるという特徴があるため、ラジカルのクラスタ-サイズに依存した反応性、物性等、新たな研究分野の門戸を開くことが将来可能になると期待する。
画像

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研究分野
  • 質量分析計
  • 原子・分子のクラスタ
関連発表論文 (1) “常磁性分子の質量選別を目的とした六極磁場フィルターの試作”,河合明雄,日本分光学会誌「分光研究」 2000年 第49巻4号 p.193
(2) “電子スピン分極プローブ法による凝縮相での励起消光過程の研究”,河合明雄,日本分光学会誌「分光研究」 2001年 第50巻4号 p.1-10.
(3) “Time resolved ESR study on energy difference of quartet and doublet states in radical-triplet encounter pairs”, Akio Kawai, Yasuyuki Watanabe and Kazuhiko Shibuya, Mol. Phys. submitted.
研究制度
  • さきがけ研究21 「状態と変革」領域
研究報告資料
  • 河合 明雄. 不均一磁場を用いたクラスター質量分析装置の開発. 「さきがけ研究21」研究報告会 「状態と変革」領域 第2期研究者 講演要旨集(研究期間:1998-2001),2001. p.15 - 17.

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