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スピン-電荷-軌道結合系における電子物性の磁場制御

研究報告コード R030000200
掲載日 2005年2月22日
研究者
  • 桑原 英樹
研究者所属機関
  • 上智大学理工学部
研究機関
  • 上智大学
報告名称 スピン-電荷-軌道結合系における電子物性の磁場制御
報告概要 通常の金属や半導体を記述するバンド理論は、電子同士に働くクーロン斥力相互作用は平均化し、独立した1個の電子の感じるポテンシャルとして扱うことにより、多数の電子の運動をバンドの充填率により金属・絶縁体などの物質に諸物質性の説明に成功してきた。ところが、電子間のクーロン斥力が強すぎてバンド理論が適用出来ない物質—強相関電子系物質—の存在が、1986 年の高温超伝導体の発見を契機として再認識されるようになってきた。つまり高温超伝導といった特異な興味深い物性を生み出す可能性を秘めた物質群として「強相関電子系物質」が再評価されてきている。「強相関電子系物質」では、多数の電子がお互いに影響を及ぼし合いながら存在しており、このとき、電子の集団はちょうど分子の集団が固体や液体や液晶の形態をとるように、量子固体-液体-液晶の間を、磁気的・電気的・光学的な性質を大きく変えながら状態の変革(相転移)を行う。本研究では「強相関電子系物質」である3d 遷移金属複合酸化物に注目し、これに系統的な物質設計を施し、その電子物性を精密に測定することによって、新規電子物性の開拓、およびその物性の解明を目指した。ここでいう物質設計とは、物質から電子を抜いたり加えたり(キャリアードーピング、占有電子数制御)することや、電子の運動エネルギーを変化(バンド幅制御)させること、あるいは物質の結晶構造(次元性)そのものを変化させたりすることを指す。電子は、電荷とスピンの自由度を持ち、半導体エレクトロニクスでは電荷のみを、磁気工学ではスピンのみを情報担体として活用している。この研究の「強相関電子系物質」では、スピンと電荷の自由度に加えて、原子に束縛された電子が描く異方的な複数の軌道(電子雲)が第三の自由度として働き、結晶格子を歪めて電気抵抗を高くしたり、磁性や電気伝導に異方性を与えたりすることが期待される。「スピン-電荷-軌道」の3 つの自由度は互いに結合し、その結合の強さは上記の精密な物質設計によって比較的自由に制御することが出来る。以下の成果に見られるように、この「スピン-電荷-軌道」の3 つが織り成す多彩で多様な複合現象が、電荷の自由度のみを用いている半導体材料には持ち得ない「強相関電子系物質」の潜在的能力・魅力と言える。更に、研究では、電子状態(固体-液体-液晶)を、磁場や電場、圧力などの外場の印加によって変革する—電子物性の外場制御—を試みた。通常の金属状態とは違い、種々の相互作用が競合する「強相関電子系物質」では、外部からのほんのわずかな刺激(外場)によって、その電気的・磁気的・光学的物性を劇的に変化させられる可能があり、外場制御によって未知の新しい現象が期待される。尚、本研究で得た成果の中で重要なものにいては、次項で下線を引いて示し、それの発表論文などに関しては、7項の論文番号に対応した上付き数字で示してある。
画像

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研究分野
  • 塩基,金属酸化物
  • 磁性材料
関連発表論文 (1) “Field induced orbital order-disorder transition in an A type antiferromagnetic manganite: high eld study of Nd0.45Sr0.55MnO3” T. Hayashi et al.: submitted.
(2) “Resistive Anomaly Relevant to Nd Moments in the Antiferromagnetic Phase of the Bandwidth-Controlled Manganites” H. Kuwahara et al.: Mater. Res. Soc. Symp. Proc., Vol.,658 (in press).
(3) “X-ray di use scattering from (Nd1-ySmy)1-xSrxMnO3 and Pr1-xCaxMnO3” S. Shimomura et al.: AIP Conf. Proc. 554, 437 (2001).
(4) “Nonlinear magneto-optical properties of colossal magnetoresistive manganites” M. Fiebig et al.: Phys. Rev. Lett. 86, 6002 (2001).
(5) “Orbital-ordering induced anomalous softening of the ferromagnetic spin waves in perovskite manganites” R. Kajimoto et al.: J. Magn. Magn. Mater. 226-230, 907 (2001).
(6) “Local magnetic states in La1-xSrxMnO3 and Nd1-xSrxMnO3 with x=0.5” S. Imada et al.: Physica B 281-282, 498 (2000).
(7) “Critical Spin Dynamics in Nd1-xSrxMnO3 with x~00.5” V.V. Krishnamurthy et al.: Phys. Rev. B61, 4060 (2000).
(8) “Two-dimensional charge-transport and spin-valve e ect in the layered antiferromagnet Nd0.45Sr0.55MnO3” H. Kuwahara et al.: Phys. Rev. Lett. 82, 4316 (1999).
(9) “Orbital-State-Mediated Phase-Control of Manganites” Y. Konishi et al.: J. Phys. Soc. Jpn. 68, 3790 (1999).
(10) “X-ray Di use Scattering due to Polarons in a Colossal magnetoresistive manganite” S. Shimomura et al.: Phys. Rev. Lett. 83, 4389 (1999).
(11) “Hole-Concentration-Induced Transformation of the Magnetic and Orbital Structure in Nd1-xSrxMnO3” R. Kajimoto et al.: Phys. ev. B60, 9506 (1999).
研究制度
  • さきがけ研究21 「状態と変革」領域
研究報告資料
  • 桑原 英樹. スピン-電荷-軌道結合系における電子物性の磁場制御. 「さきがけ研究21」研究報告会 「状態と変革」領域 第2期研究者 講演要旨集(研究期間:1998-2001),2001. p.24 - 25.

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