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プラナリアにおける生殖戦略転換機構

研究報告コード R030000253
掲載日 2005年2月22日
研究者
  • 小林 一也
研究者所属機関
  • 科学技術振興事業団 さきがけ研究21
研究機関
  • 科学技術振興事業団
報告名称 プラナリアにおける生殖戦略転換機構
報告概要 ほとんどの動物群で無性生殖と有性生殖とを転換する種が知られているにもかかわらずこの機構に関する研究がほとんど行われておらず、未だに転換にかかわる化学物質は見つかっていない。扁形動物プラナリアのいくつかの種では、自然界で水温の変化が大きな要因となって生殖様式を転換するが、研究室内でも無性個体は有性個体を餌として摂食すると有性化することが古くから知られている。この実験的有性化は有性個体に有性生殖誘導因子が含まれていることを意味している。私はさきがけ研究採用以前にリュウキュウナミウズムシDugesia ryukyuensis OH株(無性生殖で増殖したクローン集団)に有性生殖のみを行うイズミオオウズムシBdellocephalabrunnea を餌として与えることによる有性化系を確立していた。本研究は第1に生殖戦略転換現象の一般的理解を深めることを目的に有性生殖誘導因子の同定を目指し、生殖戦略転換機構における因子の生物学的意義を検討した(1)。有性化系は無性個体では全く観察されない複雑な生殖器官が全能性幹細胞から分化してくるという発生生物学的に興味深い現象を含んでおり、因子の投与によって発現する遺伝子群は生殖器官分化に関与している可能性が高いといえる。そこで第2の目的として有性化特異的遺伝子の探索を行った(2)。また、全能性幹細胞から生殖器官へ分化の実験的解析を実現させるために全能性幹細胞の培養・ラベル化を試み、移植実験の条件検討を行った(3)。プラナリアでは有性生殖しか行わない種はいわゆる二倍体種がほとんどであるが、生殖戦略を転換するタイプの種では倍数体・異数体がしばしば観察され、生殖戦略転換現象との関連を想像させる。予備的調査からOH株の無性個体は三倍体種であることが示唆されており、有性化に伴う核型解析を行った(4)。
画像

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研究分野
  • 遺伝子発現
  • 動物生理一般
  • 生殖生理一般
  • 発生と分化
関連発表論文 (1) Kobayashi, K., Arioka, S. and Hoshi, M. Seasonal changes in the sexualization of the planarian Dugesia ryukyuensis. Zool. Sci. in press
(2) Kobayashi, K. and Hoshi, M. Switching from asexual to sexual reproduction in the planarian Dugesia ryukyuensis: Change of the fissiparous capacity along with the sexualizing process. Zool. Sci. 19, 661-666, 2002
(3) Kobayashi, K., Arioka, S., Hase, S. and Hoshi, M. Signification of the sexualizing substance produced by the sexualized planarians. Zool. Sci. 19 : 667-672, 2002
(4) Hoshi, M., Kobayashi, K., Arioka, S., Hase, S. and Matsumoto, M. Switch from asexual to sexual reproduction in the planarian Dugesia ryukyuensis. Amer. Zool. in press
(5) 小林一也:「プラナリアにおける無性生殖から有性生殖への転換」 岡山大学生物学教室セミナー (2002年3月) 岡山
(6) Hoshi, M., Kobayashi, K., Arioka, S., Hase, S. and Matsumoto, M.: “Switch from asexual to sexual reproduction” Symposium on “The Promise of grative Biology”, The Annual Meeting of the Society for Integrative and Comparative Biology (Jan. 2002) California
(7) 小林一也,有岡幸子,星元紀:「無性系リュウキュウナミウズムシ(OH株)の核型解析」 日本動物学会第72回大会 (2001年10月) 福岡
(8) 小林一也,有岡幸子,星元紀:「プラナリアにおける有性生殖誘導因子について」 日本動物学会第72回大会 (2001年10月) 福岡
(9) Kobayashi, K. “Transition between asexuals and sexuals in the planarians” IIAS Symposium on “Conflict and Compromise between Parent and Offspring” in Conjunction with The IIAS Project “Friction and Cooperation of Germ with Soma in The Individual” (Sep. 2001) Nara
(10) Hoshi, M., Kobayashi, K., Arioka, S., Hase, S. and Matsumoto, M.: “Switching from asexuals to sexuals in the planarian Dugesia ryukyuensis (Jul. 2001) South Africa
(11) Kobayashi, K., Arioka, S. and Hoshi, M.: “A sexualizing substance in the planarians” 14th International Congress of Developmental Biology (Jul. 2001) Kyoto
(12) 小林一也:「プラナリアにおける無性個体の実験的有性化」 第4回岡崎機構セミナー統合バイオサイエンス (2001年2月) 岡崎
(13) 小林一也,有岡幸子,星元紀:「プラナリアの有性化個体と有性個体の違い」 日本動物学会第71回大会 (2000年9月) 東京
(14) 小林一也,有岡幸子,星元紀:「プラナリア有性化個体に観察される過剰卵巣の意味」 日本動物学会第71回大会 (2000年9月) 東京
(15) 長谷純崇,松本緑,小林一也,星元紀:「プラナリアの性誘導に伴い発現する遺伝子の解析」 第22回日本分子生物学会 (1999年12月) 福岡
(16) Kobayashi, K. and Hoshi, M.: “Switching from asexual to sexual reproduction in the planaria” Symposium on “Alternative Reproductive Strategies” (Nov. 1999) Hayama
(17) Hase, S., Matsumoto, M., Kobayashi, K. and Hoshi, M.: “A gene expressed specifically in sexualized planaria” Symposium on “Alternative Reproductive Strategies” (Nov. 1999) Hayama
研究制度
  • さきがけ研究21 「形とはたらき」領域
研究報告資料
  • 小林 一也. プラナリアにおける生殖戦略転換機構. 「さきがけ研究21」研究報告会 「形とはたらき」領域 講演要旨集(研究期間:1999-2002),2002. p.37 - 47.

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