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共生藻を利用した原生動物の生存戦略の多様化

研究報告コード R030000257
掲載日 2005年2月22日
研究者
  • 細谷 浩史
研究者所属機関
  • 科学技術振興事業団 さきがけ研究21
研究機関
  • 科学技術振興事業団
報告名称 共生藻を利用した原生動物の生存戦略の多様化
報告概要 本研究のねらいは、ミドリゾウリムシへの共生を可能にする共生藻由来の因子を、蛋白質レベル・遺伝子レベルで解析することを通じて、共生藻を利用した原生動物の生存戦略の多様化を議論できる科学的素地を確立することにある。本研究の3年間の期間に、体内から共生藻を取り除いた「共生藻除去ミドリゾウリムシ」に共生可能な共生藻(以下、A とする)および共生不可能な共生藻(以下、Bとする)両者の比較を行って、蛋白質レベル・遺伝子レベルの双方で、例えばA にのみ存在する因子、Bにのみ存在する因子を網羅的にピックアップし、その後、これらの候補因子の中から、共生に不可欠な因子、あるいは共生を不可能にする因子の同定を行っていく作業を行う。実験に使用する共生藻は、ミドリゾウリムシ体内から取り出され、既に複数クローン化されたものを準備済みであるので、これらの複数のクローン化共生藻を用いて、2次元電気泳動による構成蛋白質の比較を行う。また、mRNA をもとにしたdifferential Display の方法による構成遺伝子の比較を行い、Northern 解析によってA,B両者で発現量に差のある遺伝子の選別・絞り込みを行っていく。この絞り込みを行うために必要な作業として、クローン化共生藻(以下、C とする)と、それを共生藻除去ミドリゾウリムシに再共生させたあと、その再共生ミドリゾウリムシから再び単離・精製した共生藻(以下、D とする)それぞれを、蛋白質レベル・遺伝子レベル双方で比較し、C にあってDにない因子またはD にあってC にない因子を複数同定するという実験を、同時に進行させる。これらの実験から得られた因子と、上記A・B の比較により得られた因子を比較することにより、共生に関与する因子の絞り込みを行っていく。以上の方法で実験を進行させていく段階で、本研究期間中に大きな問題が生じた。これは、「1996年ころにクローン化され、寒天培地上または液体培地上で保存されてきた複数の共生藻の、共生藻除去ミドリゾウリムシへの再共生能が、保存期間中に徐々に変化してきた」という点である。具体的には、これらの複数のクローン化共生藻は、以前は共生藻除去ミドリゾウリムシへ再共生可能であったが、本研究期間中に徐々にその共生能力を失い、大半が再共生不可能になった。従って、本研究申請時に、複数のクローン化共生藻のrRNA small subunit 配列を用いて分類系統樹を作成し、それぞれの共生藻の再共生能を比較したところ、再共生可能な共生藻(自由生活生のクロレラを含む)および不可能な共生藻がそれぞれ近縁のグループにまとまるという結果を提出したが、これらの大半の共生藻は、現在共生藻除去ミドリゾウリムシへの共生能を失ってしまっている、という状況にある。このため、新たにクローン化共生藻を作成し、共生藻除去ミドリゾウリムシへの再共生能を測定し、再共生可能なもの・不可能なもの(上記のA・B)を分類するという、という新たな作業を行う必要が生じた。
画像

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研究分野
  • 蛋白質・ペプチド一般
  • 遺伝子発現
  • 異種生物間相互作用
  • 動物生態学一般
  • 微生物の生態
関連発表論文 (1) B.I. Gerashchenko, N. Nishihara, T. Ohara, H. Tosuji, T. Kosaka and H. Hosoya (2000) Flow cytometry as a strategy for study of host-symbiont cellular interactions: Symbiotic algae in light of flow cytometry. Cytometry, 41, 209-215
(2) 細谷浩史 (2000) 太陽エネルギーで生きる動物 岩波「科学」 70, 636-641
(3) B.I. Gerashchenko, T. Kosaka and H. Hosoya (2001) Growth kinetics of algal populations exsymbiotic from Paramecium bursaria by flow cytometry measurements. Cytometry, 44, 257-263
(4) B.I. Gerashchenko, T. Kosaka and H. Hosoya (2001) New horizons for endosymbiosis of algae in Paramecium bursaria in light of flow cytometry. In : Recent Research Developments in Biophysics and Biochemistry. Managing editor S.G. Pandalai. Research Signpost. T. C. 36/248(1) , Trivandrum 695 008, India, 1, 145-160
(5) B.I. Gerashchenko, T. Kosaka and H. Hosoya (2002) Optical compartmentation of vegetating algae species as a basis for their growth-specific characterization. Cytometry, 48, 153-158
(6) M. Tanaka, M. Murata-Hori, T. Kadono, T. Kawano, T. Kosaka and H. Hosoya (2002) Complete elimination of endosymbiotic algae from Paramecium bursaria and its confirmation by diagnostic PCR. Acta Protozool., 41, 255-261
(7) B.I. Gerashchenko, T. Ohara, Y. Ishizaka, H. Tosuji, N. Nishihara and H. Hosoya. Flow cytometry as a strategy for study of relationship between endosymbiotic algae and Paramecium bursaria. XX International Congress of the International Society for Analytical Cytology (Montpellier, France, 2000. 5)
(8) B.I. Gerashchenko, M. Hino and H. Hosoya. Enrichment for late telophase cell populations using flow cytometry. 13th Heidelberg Cytometry Symposium (Heidelberg, Germany, 2000. 10)
(9) M. Tanaka, M. Murata-Hori, T. Kadono, T. Kosaka and H. Hosoya. Elimination of endosymbiotic algae in Paramecium bursaria confirmed by diagnostic PCR Endocytobiology YIII (Nagoya, Japan, 2001. 10)
(10) T. Kawano,T. Kosaka and H. Hosoya. Impact of a sulfonylurea herbicide on growth of photosymthetic protozoa. 2nd European meeting on environmental chemistry (France, 2001. 12)
(11) M. Tanaka, H. Hosoya, Y. Ishizaka, H. Tosuji, M. Kunimoto, N. Nishihara, T. Kosaka and N. Hosoya. A new bioassay system of chemical substances in environment using green paramecia, Paramecium bursaria. 2nd European meeting on environmental chemistry (France, 2001. 12)
(12) 細谷浩史 日本動物学会中国四国支部シンポジウム 「共生藻を利用したミドリゾウリムシの生存戦略の多様化」 (広島 2000.5,20)
(13) 細谷浩史 日本原生動物学会シンポジウム 「不思議な動物-原生動物」 (東京,2001.8.3)
研究制度
  • さきがけ研究21 「形とはたらき」領域
研究報告資料
  • 細谷 浩史. 共生藻を利用した原生動物の生存戦略の多様化. 「さきがけ研究21」研究報告会 「形とはたらき」領域 講演要旨集(研究期間:1999-2002),2002. p.83 - 93.

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