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視覚世界を能動的に学習し予測する脳の計算様式

研究報告コード R030000281
掲載日 2005年2月22日
研究者
  • 安藤 広志
研究者所属機関
  • 東京工業大学総合理工学研究科
研究機関
  • 東京工業大学
報告名称 視覚世界を能動的に学習し予測する脳の計算様式
報告概要 人間の脳は、高度に発達した視覚認知システムを有しており、外界の多様な変化を瞬時に把握できるその柔軟性において、現存する人工の視覚システムを遥かに凌いでいる。このような生体の優れた情報処理システムの計算機構を解明するために、視覚認知の研究はこれまで様々な発展を遂げてきた。しかし、まだ十分に解明されていない脳の仕組みに「能動的な視覚認知」の機構がある。すなわち、生体の視覚処理には、低次から高次へと段階的に入力情報の解釈を進める受動的な処理機構だけなく、高次の環境認識や行動制御のシステムと協調して処理を進める能動的な視覚認知の機構が存在すると考えられる。特に、能動的な視覚認知では、入力情報を固定的に解釈するだけでなく、課題に応じた「学習」により視覚表現を獲得し、獲得した表現から視覚イメージを「生成」して情報の補完や選択を行なうとともに、迅速に行動制御を行なうために視覚環境が将来どのように変化するかを「予測」する機能を持つと考えられる。本研究のねらいは、このような学習・生成・予測に基づく能動的な視覚認知機構に焦点を当て、その神経計算の仕組みを探ることにある。具体的には、視覚イメージ生成に基づく3次元情景認識や3次元動体予測の神経機構を研究テーマとして取り上げ、神経計算モデルの構築・シミュレーション、および視覚心理実験・脳活動計測といった複数の研究手法を用いて、これらの神経計算機構を探る。特に、本研究では、VR 技術を用いた広視野立体ディスプレイによる視覚心理実験やfMRI(機能的磁気共鳴撮像)装置を用いた非侵襲脳計測実験などの新しい研究手法の開発も目標とする。このように、本研究では、モデル構成と視覚実験の両手法を用いることにより、従来の受動的な視覚処理の枠組みを打ち破って、高次の認知機能や行動制御と密接に連関した、よりダイナミックな視覚認知の枠組みの基盤を創り出すことを目指す。
画像

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研究分野
  • 中枢神経系
  • 神経科学一般
関連発表論文 (1) Ando, H. (2002). Human Brain Regions Involved in Visual Motion Prediction. NeuroImage Human Brain Mapping 2002 Meeting, 599.
(2) Mukaida, S., Ando, H., Kinoshita, K., Kamachi, M. and Chihara, K. (2002). Facial Image Synthesis Using Age Manipulation based on Statistical Feature Extraction. Visualization, Imaging, and Image Processing. 12-17.
(3) 向田茂,安藤広志,木下敬介,蒲池みゆき,千原國宏 (2002)。顔画像生成のための統計的な年齢特徴抽出。日本顔学会誌2(1). 15-24.
(4) 桑山妙子,金子寛彦,安藤広志 (2002)。両眼視差とテクスチャの3次元情報統合における視覚学習の効果。Forum on Information Technology 2002. K-21.
(5) Ando, H. (2001). Visual Learning in the Spatial Prediction of an Approaching 3D Object. Journal of Vision, 1 (3), 313.
(6) 安藤広志 (2001)。3次元動体の運動予測と視覚学習。生理学研究会:視知覚のメカニズム(生理,心理物理,計算論的アプローチ)。
(7) Ando, H. (2000). Visual Imagery Influences Perception of 3D Structure from Motion. Investigative Ophthalmology and Visual Science, 41(4), S717
(8) 安藤広志 (2000)。3次元環境の視覚認知:階層間ダイナミクスと神経計算様式。東京工業大学理工学研究科 特別講演会。
研究制度
  • さきがけ研究21 「情報と知」領域
研究報告資料
  • 安藤 広志. 視覚世界を能動的に学習し予測する脳の計算様式. 「さきがけ研究21」研究報告会 「情報と知」領域 講演要旨集 第III期研究者(研究期間:1999-2002),2002. p.65 - 74.

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