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嗅覚神経回路の形成と再生の分子基盤

研究報告コード R040000057
掲載日 2007年5月18日
研究者
  • 坪井 昭夫
研究者所属機関
  • 東京大学大学院理学系研究科
研究機関
  • 東京大学
報告名称 嗅覚神経回路の形成と再生の分子基盤
報告概要 私は、神経回路がどの様にして形成され維持されるのか、また神経回路が何らかの原因で破壊された時、どの様にして再構築されるのかを明らかにすることを目的とし、嗅覚系をモデルに研究を行っている。高等動物の嗅覚系では、全遺伝子の約3%を占める一千種類に及ぶ嗅覚受容体遺伝子により、数十万種類の匂い分子が識別されている。一般に、匂い分子はその官能基を介して複数種類の嗅覚受容体と異なる親和性で結合し、それに伴い嗅球において、それら受容体に対応する糸球が、結合の度合いに応じて異なる強さで発火する。従って、個々の匂い分子は、嗅球における糸球の空間的な発火パターンの微妙な相違として識別されると考えられている。この様な嗅球におけるトポグラフィックな糸球マップ(匂い地図)の形成は、個々の嗅細胞が嗅覚受容体遺伝子群の中から一種類のみを選択的に発現する、同じ種類の受容体を発現する嗅細胞が嗅球上の特定の糸球に対して位置特異的に軸索投射すると云う二つの基本ルールによって支えられている。また、ヒトやマウスの嗅細胞は神経細胞の中でも、生涯にわたって再生するというユニークな特性を備えている。再生の際新たに生じる嗅細胞は、相互排他的に嗅覚受容体遺伝子を発現し、その軸索を特定の糸球に投射し、元通りに神経回路(匂い地図)が再構築される。本研究では、嗅球における糸球マップ(嗅覚受容体と糸球の対応)を分子生物学的に解析することにより、匂い地図の構築原理の解明を、延いては、嗅覚神経回路の形成と再生に関するメカニズムの解明を目指した。
研究分野
  • 遺伝子の構造と化学
  • 感覚
  • 脳・神経系モデル
関連発表論文 (1) Ishii, T., Serizawa, S., Kohda, A., Nakatani, H., Shiroishi, T., Okumura, K., Iwakura, Y., Nagawa, F., Tsuboi, A. and Sakano, H.: Monoallelic expression of the odourant receptor gene and axonal projection of olfactory sensory neurones. Genes Cells 6: 71-78 (2001)
(2) Sengoku, S., Ishii, T., Serizawa, S., Nakatani, H., Nagawa, F., Tsuboi, A. and Sakano. H.: Axonal projection of olfactory sensory neurons during the developmental and regeneration processes. NeuroReport 12: 1061-1066 (2001)
(3) Nagawa, F., Yoshihara, S., Tsuboi, A., Serizawa, S., Itoh, K. and Sakano. H.: Genomic analysis of the murine odorant receptor MOR28 cluster: a possible role of gene conversion in maintaining the olfactory map. Gene 292: 73-80 (2002)
(4) Kobayakawa, K., Hayashi, R., Morita, K., Miyamichi, K., Oka, Y., Tsuboi, A. and Sakano. H.: Stomatin-related olfactory protein, SRO, specifically expressed in the murine olfactory sensory neurons. J. Neurosci. 22: 5931-5937 (2002)
(5) Oka, Y., Kobayakawa, K., Nishizumi, H., Miyamichi, K., Hirose, S., Tsuboi, A. and Sakano, H.: O-MACS, a novel member of the medium-chain acyl-CoA synthetase family, specifically expressed in the olfactory epithelium in a zone-specific manner. Eur. J. Biochem. 270: 1995-2004 (2003)
(6) 坪井昭夫:嗅覚受容体の発現に依存した嗅神経回路形成のメカニズム日本味と匂学会誌 第9巻 第1号 p43-50 (2002)
研究制度
  • さきがけタイプ 「認識と形成」領域
研究報告資料
  • 坪井 昭夫. 嗅覚神経回路の形成と再生の分子基盤. 「さきがけタイプ」「認識と形成」領域 研究報告会講演要旨集(研究期間2000-2003),2003. p.7 - 8.

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