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モルフォゲンシグナル分子の濃度調節による病的組織の修復

研究報告コード R040000062
掲載日 2007年5月18日
研究者
  • 安達(山田) 卓
研究者所属機関
  • 神戸大学大学院自然科学研究科地球惑星システム科学専攻自然環境基礎大講座
研究機関
  • 神戸大学
報告名称 モルフォゲンシグナル分子の濃度調節による病的組織の修復
報告概要 がんの自然治癒という立場からみた生体のもつ一つの戦略として、アポトーシスの誘導を挙げることができる。アポトーシスとは、がん遺伝子やがん抑制遺伝子に傷害をもった細胞は、がん化する前にアポトーシスを起こして取り除かれる、という仕組みである。この現象に代表されるように、生体は異常組織を未然に取り除く積極的な性質をもっていることが知られるが、いかなる種類の異常細胞も、同様な方法で取り除くことができるのかどうか?という問題に答えるための知識は、数年前までほとんど得られていなかったと言って良い。しかしこの問題の重要さは、発生生物学上の1テーマとしての意義に限定されず、体細胞突然変異に起因する様々な疾患の予防・治療への発展や、自然免疫メカニズムの延長線上という観点からも注目されるべきである。本研究では、このような観点における研究の端緒として、位置情報を与えるモルフォゲンのシグナル強度が異常となった細胞が、如何にして取り除かれるか?についての解明を目指した。未分化な組織が特殊化した形態や機能をもつ組織へと発展するための初期段階には、モルフォゲンと呼ばれる細胞外物質からの刺激を受けることが必要である。モルフォゲンは未分化な組織のごく限られた部域で産生されて、それが組織全体へと拡散することによって作られる濃度勾配が、各細胞の分化方向を運命付ける位置情報をもたらすと考えられている。もしもモルフォゲンの濃度勾配が崩れると、あるいはモルフォゲンが惹き起こすシグナル伝達強度が強まったり弱まったりして正常値から外れると、組織は異常形態を形成してしまうが、一方で組織には異常発生を認識し、アポトーシスによってそれを破壊しながら正常形態へと修復していく機構が備わっている。本研究課題では、このような状況のモデルとしてショウジョウバエの翅におけるモルフォゲンDpp(Decapentaplegic)を扱い、異常形態の修復過程が包含する細胞応答と分子機構の探求を試みた。
研究分野
  • 分子遺伝学一般
  • 遺伝子の構造と化学
  • 細胞分裂・増殖
  • 発癌機序・因子
関連発表論文 (1) Adachi-Yamada, T.; puckered-GAL4 driving in JNK active cells. Genesis, 34, 19-22 (2002).
(2) Adachi-Yamada, T. and O'Connor M. B.; Morphogenic apoptosis: a mechanism for correcting discontinuities in morphogen gradients. Dev. Biol., 251, 74-90 (2002).
研究制度
  • さきがけタイプ 「認識と形成」領域
研究報告資料
  • 安達(山田) 卓. モルフォゲンシグナル分子の濃度調節による病的組織の修復. 「さきがけタイプ」「認識と形成」領域 研究報告会講演要旨集(研究期間2000-2003),2003. p.17 - 18.

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