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細胞系譜マッピングによる哺乳類の胚軸形成機構の解析

研究報告コード R040000064
掲載日 2007年5月18日
研究者
  • 藤森 俊彦
研究者所属機関
  • 京都大学大学院医学研究科
研究機関
  • 京都大学
報告名称 細胞系譜マッピングによる哺乳類の胚軸形成機構の解析
報告概要 脊椎動物の体には少なくとも前後、背腹、左右の3つの軸を設定することができる。これらの体軸は、発生の非常に初期に決定される。特にほ乳類において軸形成がどのようにして始まるかを明らかにしたいと考えた。他の脊椎動物では発生中の胚を直接観察する事が容易であることから、受精直後からどのように胚軸が決まるかが明らかにされてきた。ほ乳類では胚発生は卵管および子宮の中で進み、胚を生きたままで観察する事は容易ではないが、最近のマウスを用いた研究から、軸形成機構については多くの事が明らかになりつつある。3つの軸のうち、最初に能動的に決められるのは前後軸であると考えられ、形態的に胚軸の前後が明瞭になるステージから発生時期をさかのぼる方法での研究がいくつかのグループにより行われてきている。その結果、形態的にはまだ胚軸が明確でない受精後5.5日目に着床部分からもっとも遠位にある内胚葉(visceralendoderm)でCer-lなどのマーカーとなる遺伝子の発現が見られ、この細胞が移動して将来の前側になることが示されている。さらに発生時期をさかのぼった着床の直後は、技術的にもアプローチが難しい時期であり、形態的指標や有用な分子マーカーも存在せず、多くの問題が未解決である。本研究においては、胚の細胞を標識し、2細胞期から前後軸の明瞭な7日目胚までの連続する細胞系譜の詳細なマッピングを行い、いつどこで胚の中に非対称性が現れ、それが胚軸にどう反映されるかを探ることを目標とした。これにより、現在理解されている所までのギャップを埋め、軸が最初に方向づけされる段階で機能している分子を同定する為の基礎的情報を獲得し、軸形成のメカニズム解明へ一歩進むことを本研究の目的とした。ほ乳類胚の持つ調節性は明らかである。キメラマウスを作製する実験などで見られる様に、着床前の内部細胞塊の細胞は様々な状況に応じて運命を変更する事が可能で、前後軸が決定されているとは言えない。しかし、これはあくまでも緊急時に発動される調節メカニズムを含んでおり、本来の発生はどのようなプログラムで進められているか、胚がどの程度までモザイク的な発生を見せるか、胚の細胞間での違いがどう現れてくるのかを別の問題として問う点にも意義がある。そこで、できるだけ正常な発生に近い状態のもとで、胚の軸がどのように決められて行くかを検討することを目指した。
研究分野
  • 分子遺伝学一般
  • 発生・成長の生理一般
  • 発生と分化
関連発表論文 (1) Toshihiko Fujimori, Yoko Kurotaki, Jun-ichi Miyazaki and Yo-ichi Nabeshima. Analysis of cell lineage in two- and four-cell mouse embryos. Development 130, 5113-5122 (2003).
(2) 藤森俊彦 動物発生工学 発生のプログラム,p50-69,朝倉書店 (2002)
研究制度
  • さきがけタイプ 「認識と形成」領域
研究報告資料
  • 藤森 俊彦. 細胞系譜マッピングによる哺乳類の胚軸形成機構の解析. 「さきがけタイプ」「認識と形成」領域 研究報告会講演要旨集(研究期間2000-2003),2003. p.21 - 22.

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