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ハキリバチによる昆虫の空間認識と巣の形成機構の解析

研究報告コード R040000067
掲載日 2007年5月18日
研究者
  • 金 宗潤
研究者所属機関
  • 農業生物資源研究所生体機能模倣研究室
研究機関
  • 農業生物資源研究所
報告名称 ハキリバチによる昆虫の空間認識と巣の形成機構の解析
報告概要 動物の巣造り行動は、その空間認識と形態形成において、目を見張るものがある。ヒトのような言語認識を持たない彼らは、いったいどのように空間情報を認識し、材料を加工して巣を形造るのか?昆虫類、特にハキリバチは、巣造り行動において絶妙なテクニックで植物の葉を大顎で切り取り、巣の材料として用いるが、この時巣の空間サイズを正確に認識し、材料をこれにふさわしい大きさに加工する。また、環境条件に応じてフレキシブルに巣の空間サイズを調節し、巣の部分的欠損を修復しようとする。これら空間情報の認識や、巣の形成における内部機構とは一体どのようなものか?私は、「蜂は材料や巣をどのように認識しているのか?」という根本的な問いに答えることを目標として、巣造り行動の仕組みを明らかにし、生物による認識についての私達の理解に新しいコンセプトを与えることを目指したいと考えた。本研究の目的は、蜂が行う巣の空間サイズの認識、材料加工における空間情報の置換という、一行動連鎖に着目して、巣造り行動を主に行動学的な手法で解析することである。また、巣造り行動における動作を、超伝導磁気センサーを用いて定量し、目に見えない行動の動機に迫る。本研究で解決すべき問題は、ハキリバチの行動におけるファーブル(Fabre)の問いに答えることでもある。ハキリバチの巣造り行動は、過去約百年余りの間に、4名の行動学者によって詳細に研究されてきた。中でもファーブルは、蜂にガラス管の中で巣を造らせ、巣形成の一部始終を記述した。彼の方法は自然状態の行動を観察することでは良い方法だったが、「ハチが空間をどのように認識しているのか?」というメカニズムに関して、未解明の問題を残した。それは、(1)巣造りの行動の各工程において、どの程度細部に至るまでプログラムされた生得的行動であって、それ以外が認識(cognition)や学習などの高度な行動であるのか?(2)ハチは巣の空間サイズを認識しているように見えるが、その認識方法の実態とは何か?といった問いである。本研究では、まず上述(1)の問いに答える為、巣造りの途中で、巣に様々な人為的操作を加え、蜂がどのようにこれを修復しようとするかを、蜂が切る葉のサイズに着目して解析した。次に(2)の問いに答える為、ガラス管内に蜂に巣造りをさせ、その行動をビデオテープで録画し、細かな挙動も残さず解析するという、動作解析法というアプローチを用いた。また、巣造り行動の中心である葉切り行動においては、蜂は脚の触覚感覚器や大顎によって葉のサイズを認識するという、ハーゼンカンプ(Hasenkamp)の提唱した仮説に対し、蜂はむしろ脚の開き(スタンス)によってこれを認識するという仮説を提案した。この両仮説を検証するため、3D動画解析法を用いて、葉切り行動を細かく解析した。さらに、従来困難とされてきた行動中の電気的計測の代りに、超伝導磁気センサー(SQUID)を用いて、巣や葉の空間認識に関わる脚の動作定量を試みた。
研究分野
  • 個生態学
  • 感覚
関連発表論文 Kim, Jong-yoon. Regulation of nest material size and number in the leaf-cutter bee, Megachile tsurugensis. Behaviour. (投稿中)
研究制度
  • さきがけタイプ 「認識と形成」領域
研究報告資料
  • 金 宗潤. ハキリバチによる昆虫の空間認識と巣の形成機構の解析. 「さきがけタイプ」「認識と形成」領域 研究報告会講演要旨集(研究期間2000-2003),2003. p.27 - 28.

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