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環状DNAを用いた人工光合成系の構築

研究報告コード R040000071
掲載日 2007年5月18日
研究者
  • 居城 邦治
研究者所属機関
  • 北海道大学電子科学研究所
研究機関
  • 北海道大学
報告名称 環状DNAを用いた人工光合成系の構築
報告概要 植物や微生物の光合成は、太陽エネルギーを使って高エネルギー化学物質を効率良く作り出すシステムである。これを人工的に模倣することができれば、環境に優しい省エネルギー型化学プラントを構築することが可能となる。最近、光捕集複合体LH2を構成するタンパク質・色素複合体の立体構造が解明された。太陽エネルギーを捕獲するための色素分子が環状に配列していることから、色素の配列とエネルギー移動のための励起子伝達の関係が重要視されているが、なぜ自然は色素分子の環状構造を選んでいるのか?という疑問に対してまだ解答は得られていない。光捕集複合体LH2自身の分光学的研究も進んでいるが、色素分子の環状配列を人工的に再現できればより詳細な情報を得ることができ、この疑問に答えることができると期待される。しかし、従来の化学(共有結合で色素分子を結合する方法)ではこのような色素分子の環状構造を作り出すことは困難であった。そこで本研究では、DNAの分子認識を利用することで、色素分子を環状に配置した分子集合体の構築を目指した。DNAはゲノムとして遺伝情報を保持しているが、高分子化学の観点から見れば、核酸塩基、糖、リン酸からなるイオン性高分子であるり、さらに核酸塩基のアデニン-チミン、シトシン-グアニン間の相補的水素結合により二重らせん構造を形作っている点から、分子認識で組みあがった超分子である。DNAの二重らせん構造を形作っている核酸塩基間の特異的な水素結合に着目することで、色素分子の環状固定化が達成できると考え、以下の3項目を目標とした。(1)核酸塩基に色素分子が結合したヌクレオチドを新たに合成し、それを組み込んだ環状二本鎖DNAを酵素反応により作製する。(2)気液界面において環状一本鎖DNAを鋳型とすることで、両親媒性色素分子の環状構造体を作製する。(3)作製した色素環状配列集積構造の励起子伝達を単一分子レベルで計測することで光捕集アンテナ分子としての働きを明らかにして、さらに光電変換薄膜と組み合わせて人工光合成系を構築する。
研究分野
  • 界面化学一般
  • 光合成
  • 遺伝学研究法
  • 遺伝子の構造と化学
関連発表論文 (1) 松本 仁,居城邦治,下村政嗣:「二次元DNA-mimeticsの鋳型光重合」,光化学,132(2):1-6 (2001)
(2) 居城邦治,松本 仁,下村政嗣:「DNAミメティクスを利用した分子ナノ組織体の構築」,高分子錯体アニュマルレビュー:9-10 (2002)
(3) Ijiro. K., Matsumoto. M., Shimomura. M.: “Immobilization of Single DNA Molecules Complexed with Cationic Lipid Monolayers”, Towards Novel Molecular Devices Nanotechnology toward the Organic Photonics, Ed. Hiroyuki Sasabe, Goo Tech, Chitose: 351-358 (2002)
(4) 居城邦治,松本 仁,西田 仁,森末光彦,下村政嗣:「環状DNAを用いた人工光合成アンテナ系構築に向けて」,化学工業,53 (7) :351-358 (2002)
(5) 居城邦治:「DNAl分子の塩基配列を解析する」,化学と教育,50-7:507-509 (2002)
(6) 橋本裕一,澤田石哲郎,居城邦治,下村政嗣:「導電性原子間力顕微鏡を用いたポリチオフェン細線の微少領域光導電性測定」,高分子論文集,59 (10) :651-655 (2002)
(7) Ijiro. K., Matsumoto. J., Morisue. M., Shimomura. M.: “Controlled Aggregation of Azobenzene based on DNA-Mimetics at the Air-Water Interface”, International Journal of Nanoscience, 1(5-6):597-601 (2002)
(8) Sunami. H., Ijiro. K., Shimomura. M.: “Molecular Recognition of Nucleobeses Attached to Self-Assembled Monolayers detected by Chemical Force Microscopy and Quartz Crystal Microbalance”, International Journal of Nanoscience, 1(5-6):667-671 (2002)
(9) Matsuo. Y., Ijiro. K., Shimomura. M.: “Stretching of Single DNA Molecules by Langmuir-Blodgett Method”, International Journal of Nanoscience, 1(5-6):695-699 (2002)
(10) Nishida. J., Matsumoto. J., Morisue. M., Ijiro. K., Shimomura. M.: “Circular Arrangement of Azobenzene Chromophores in the Nucleoamphiphile Monolayer by Base-Pairing with Cyclic DNA”, International Journal of Nanoscience, 1(5-6):677-681 (2002)
(11) Hashimoto. Y., Ijiro. K., Sawadaishi. T., Shimomura. M.: “Electric Conductivity of Nucleic Acid Polymer Monolayer”, International Journal of Nanoscience, 1(5-6):707-711(2002)
(12) Shimomura. M., Mitamura. R., Matsumoto. J., Ijiro. K.: “DNA-mimetics: towards novel molecular devices having molecular information”, Synthetic Metals, 133-134:473-475(2003)
(13) Yabu. H., Tanaka. M., Ijiro. K., Shimomura. M.: “Preparation of Honeycomb-Patterned Polyimide Films by Self-Organization”, Langmuir, 19(15):6297-6300 (2003)
(14) Ijiro. K., Matsuo. Y., Shimomura. M.: “Stretching of single DNA molecules by LB technique for restriction site mapping”, Nucleic Acids Research Supplement, 3:47-48 (2003)
研究制度
  • さきがけタイプ 「変換と制御」領域
研究報告資料
  • 居城 邦治. 環状DNAを用いた人工光合成系の構築. 「さきがけタイプ」「変換と制御」領域 研究報告会講演要旨集(研究期間2000-2003),2003. p.31 - 43.

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