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廃熱から電気を作る環境にやさしいセラミックス

研究報告コード R040000075
掲載日 2007年5月18日
研究者
  • 寺崎 一郎
研究者所属機関
  • 早稲田大学理工学部応用物理学科
研究機関
  • 早稲田大学
報告名称 廃熱から電気を作る環境にやさしいセラミックス
報告概要 本研究の目的は、豊富で無害な元素のみからなる酸化物セラミックスを用いて、熱を電力に変換する素子である熱電変換素子を試作することである。酸化物セラミックスは熱電変換素子には適さないということが、熱電変換研究者のこれまでの常識であった。しかし、本報告者は層状コバルト酸化物が従来の熱電変換材料に匹敵する性能を持つことを発見した。本研究は、この発見をさらに発展させるべく、(1)層状コバルト酸化物の熱電特性の発現機構の解明、(2)熱電酸化物を評価するための測定装置の試作、(3)酸化物だけを用いた熱電素子の試作、の3点を追究したものである。熱から電気を作ると聞いて、まず思いつくのが火力発電や原子力発電であろう。これは、石油の燃焼や核変換から得られる熱で水蒸気を作り、その圧力でタービンを回して交流を発生させるものである。この場合、熱を動力(力学的仕事)に変換し、さらに動力を電力に変換している。同様に、自動車のエンジンも、気体の圧縮・膨張を利用して熱を動力に変換している。これらの場合、ガスの温度が高いほど動力への変換効率が良く、逆に低温ガスの熱量は有効に動力に変換できない。この排熱を回収する方法はないであろうか。実は、金属や半導体は、熱を直接電気に変換するしくみを持っている。金属や半導体の両端に温度差を与えると、温度差ΔTに比例した電圧V=SΔTが発生する。この現象をゼーベック効果といい、比例係数Sを熱起電力(ゼーベック係数)という。熱起電力が大きくかつ抵抗率が小さければ、熱(温度差)から実用的な電力を作りだすことができる。図1に模式的に示すように、温度差がある環境で固体は一種の電池のようにふるまう。この場合、熱起電力は電池の起電力、抵抗率は電池の内部抵抗に相当する。このような物質を熱電変換材料といい、熱電変換材料を用いて熱を電気に変換することを熱電発電という。
研究分野
  • 熱電デバイス
  • セラミック・陶磁器の製造
  • セラミック・磁器の性質
関連発表論文 (1) 国内の酸化物熱電研究を集めたものに,河本・寺崎・村山編著:“Oxide Thermoelectrics”(Research Signpost, 2002) がある.酸化物以外も含めた熱電研究の現状は,マテリアル・インテグレーション第13巻第7号 (2000)
(2) I. Terasaki et al: Phys. Rev B56, R12685 (1997); 寺崎一郎:固体物理 33,217 (1998).
(3) 寺崎一郎:応用磁気学会誌27 (2003) 172;パリティ 2003年10月号 p.64.
(4) I. Terasaki, I. Tsukada and Y. Iguchi: Phys. Rev. B65 (2002) 195106.
(5) R. Kitawaki and I. Terasaki: J. Phys. Condens. Mat 14 (2002) 12495.
(6) T. Fujii, I. Terasaki, T. Watanabe and A. Matsuda: Jpn. J. Appl. Phys. 41(2002) L783.
(7) T. Fujii and I. Terasaki: Proceedings of New Thermoelectric Materials Workshop: Beyond Bismuth Telluride, Traverse City, 17-21 August 2002 (招待講演).
(8) W. Kobayashi, A. Satake and I. Terasaki: Jpn J. Appl. Phys. 41(2002) 3025.
(9) W. Kobayashi, I. Terasaki, M. Mikami, and R. Funahashi: submitted to Nature Materials; 小林 航,寺崎一郎:熱電変換シンポジウム2002論文集 p.96; 小林 航,寺崎一郎,三上祐史,舟橋良次:熱電変換シンポジウム2003 論文集 p.78.
(10) S. Ichikawa and I. Terasaki: submitted to Phys. Rev.B; 市川 茂,寺崎一郎:熱電変換シンポジウム2002論文集 p.98; 熱電変換シンポジウム2003 論文集 p.76.
(11) 寺崎一郎:熱電変換シンポジウム2002 論文集 p.141(招待講演);Proc. 2lst International Conference on Thermoelectrics (ICT2002),pp. 185-191 (IEEE, Piscataway, 2002)(招待講演).
(12) W. Shin, N. Murayama, K. Ikeda, S. Sago and I. Terasaki: j. Cer. Soc. Jpn. 110 (2002) 727
研究制度
  • さきがけタイプ 「変換と制御」領域
研究報告資料
  • 寺崎 一郎. 廃熱から電気を作る環境にやさしいセラミックス. 「さきがけタイプ」「変換と制御」領域 研究報告会講演要旨集(研究期間2000-2003),2003. p.81 - 92.

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