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ハイブリッド型分子動力学シミュレーションの開発

研究報告コード R070000008
整理番号 R070000008
掲載日 2008年4月11日
研究者
  • 山本 量一
研究者所属機関
  • 京都大学大学院工学研究科化学工学専攻
研究機関
  • 京都大学大学院工学研究科化学工学専攻
報告名称 ハイブリッド型分子動力学シミュレーションの開発
報告概要 機能性材料として期待されている複雑流体やソフトマターと呼ばれる物質について、コンピューターシミュレーションを用いた解析を行うことを目的としている。これらの物質は空間的・時間的に全くスケールの異なる階層構造を持つ場合がほとんどであり、最先端のシミュレーション手法を用いてもすべての階層を同じレベル(計算手法)で取り扱うことは不可能である。例えば代表的なソフトマターの1つであるコロイド分散系の場合、溶媒を構成する分子の大きさや運動の時間スケールはコロイド粒子のそれらより何桁も小さく、シミュレーションのスケールを前者にあわせると意味のある結果を得るまでに世界最速のスーパーコンピュータでも天文学的な計算時間を必要とする。逆にコロイド粒子の方にスケールをあわせると、今度は現実と乖離した仮想的なモデルを用いざるを得ず、実際の物質との対応が希薄になる。このようなマルチスケールの階層性こそが複雑流体やソフトマターのシミュレーションを困難にしている最大の要因であり、この原理的問題を克服した新しいシミュレーション法の開発が望まれている。そこで我々はハイブリッド型分子動力学(MD)シミュレーションの方法を提唱し、開発を行っている。最近注目を集めているマイクロ流体デバイスやマイクロラボでは流体力学効果が本質的に重要であり、諸問題の解決にハイブリッド型MD法の活用が期待できる。このようなメソスケールの移動現象では流体のレイノルズ数が小さいためにいわゆる乱流的効果は無視することが可能であるが、逆に熱や物質の拡散の効果が大きく、イオンの分布や分子の配向など溶媒の内部自由度の影響が重要となる。したがってメソスケールの移動現象では化学プラントのような大きなスケールで発生する移動現象とは質的に異なる知識と技術が必要であるが、ハイブリッド型MDシミュレーションの方法はまさにそのような問題に対して有効となる。我々が開発を行っているハイブリッド型MDシミュレーションの方法は適応の範囲が大変広く、水中の生体分子や界面が関与する問題、ナノテクノロジーによる機能性材料開発、マイクロ流体デバイスやマイクロラボ等の諸問題への応用が可能である。各種溶媒に分散するコロイド粒子への応用についてはすでに成果が得られており、これまでは超並列スーパーコンピュータを用いて試験的に行っていたのと同等のシミュレーションが、ハイブリッド型MDの方法ではパソコンでたった数日程度の時間で実施できるという点を強調したい。研究を開始して約3年が経過しているが、平成17年度末の研究終了時までに3次元での現実的なシミュレーションを含む当初の研究目的を、ほぼ100%達成できる見込みである。
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研究分野
  • 分子衝突・相互作用一般
関連発表論文 (1) K. Kim and R. Yamamoto, Efficient simulations of charged colloidal suspensions: A density functional approach, Macromol. Theory Simul. 14, 278 (2005).
(2) Y. Nakayama and R. Yamamoto, Simulation Method to Resolve Hydrodynamic Interactions in Colloidal Dispersions, Phys. Rev. E. 71, 036707 (2005).
(3) R. Yamamoto, Y. Nakayama, and K. Kim, A Method to Resolve Hydrodynamic Interactions in Colloidal Dispersions, Computer Physics Communications 169, 301-304 (2005).
(4) K. Kim, Y. Nakayama, and R. Yamamoto, A Smoothed Profile Method for Simulating Charged Colloidal Dispersions, Computer Physics Communications 169, 104-106 (2005).
(5) K. Miyazaki, D.R. Reichman, and R. Yamamoto, Supercooled Liquids under Shear: Theory and Simulation, Phys. Rev. E 70, 011501 (2004).
(6) R. Yamamoto, Y. Nakayama, and K. Kim, A Smooth Interface Method for Simulating Liquid Crystal Colloidal Dispersions, J. Phys.: Condens. Matter 16, S1945-S1955 (2004).
(7) R. Yamamoto (Kyoto Univ), Strict Simulation of Motion of Colloidal Particles and Medium, Material Research Society 2006 Spring National Meeting (April 17-21, 2005, San Francisco, USA) 予定
(8) R. Yamamoto (Kyoto Univ), Smoothed profile method to simulate colloidal particles in complex fluids, Pacifichem 2005, (December 15-20, 2005, Honolulu, USA) 予定
(9) R. Yamamoto (Kyoto Univ), Supercooled Liquids under Shear: Computational Approach, 17th Annual Workshop on "Recent Developments in Computer Simulation Studies in Condensed Matter Physics" (February 16-20, 2004, Athens, USA)
(10) R. Yamamoto (Kyoto Univ), Y. Nakayama (JST), and K. Kim (JST), A Smooth Interface Method for Simulating Particle Dispersions Interacting via Liquid-Crystal Solvents, ESF Exploratory Workshop on Liquid Crystal Colloid Dispersions (August 28-30, 2003, Bled, Slovenia)
(11) R. Yamamoto (Kyoto Univ), Slow Dynamics and Unusual Flow Behavior of Glassy Materials, The 5th Annual Japanese-American Frontiers of Science (JAFoS), Co-organized by Japan Society for the Promotion of Science and U.S. National Academy of Sciences (December 6-8, 2002, Irvine, USA)
研究報告資料
  • 山本 量一. ハイブリッド型分子動力学シミュレーションの開発. シミュレーション技術の革新と実用化基盤の構築 第1回 シンポジウム 講演要旨集, 2005. p.83 - 87.

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