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環境調和型ハイブリッド光エネルギー変換材料

研究報告コード R070000093
整理番号 R070000093
掲載日 2008年4月11日
研究者
  • 伊原 学
研究者所属機関
報告名称 環境調和型ハイブリッド光エネルギー変換材料
報告概要 光エネルギー変換材料を用いたデバイスである太陽電池は、排ガスの生成が全くなくクリーンな発電システムとして知られている。また、太陽電池作成時のエネルギー使用を考慮しても単位発電量あたりに放出する全二酸化炭素放出量は充分に少なく、地球温暖化抑制技術として大きな役割を果たすことが期待できる。しかし、現在までに太陽電池が住宅などの分散型発電システムとしてあまり普及していない最大の原因の一つに高い製造コストが挙げられる。低コストプロセスの導入や高効率化による発電量あたりの低コスト化などが必要である。現在までに様々な種類の材料における研究が行われてきたが、従来からの作製手法を用いた単一の材料では目的とする物性を有する材料開発は困難な状況となっている。そこで、新たな作製手法の提案および新たな発想に基づく材料設計が求められている。また、光エネルギー変換材料の本格的な普及を考慮すると充分な資源量があり、毒性がなく、たとえ流出しても環境への影響が少ない環境調和型の材料で構成されている必要がある。太陽電池の効率は主に光吸収過程の効率とその過程により生成した電子とホールの移動効率によって決定される。光エネルギー変換材料に求められる物性としては、①適切な領域に光吸収領域を持つ、②光吸収係数が十分に高い、③電子やホールの移動度が高い、④欠陥が少なく電子とホールの再結合速度が低い、ことが挙げられる。①,②が光吸収過程の効率に関連し、③,④が生成した電子とホールの移動効率に関係する。本研究では、環境調和型の材料を用いて上記4つの条件を満たす材料を開発するために新しい作製手法と新しい材料設計との観点から大きく2つのアプローチを行った。 1.これまでに我々が低コストな太陽電池用Si薄膜の欠陥低減手法として新しく開発したZMC法(図1に概念図を示す。)を用いて、さらにSiの低欠陥化を実現する。また,①,②に特徴的な材料を薄膜にし、結晶欠陥を劇的に減少させることで④を向上させ、③の欠点を補う。具体的には以下の様な課題に取組んだ。I.Si薄膜のZMC法による結晶配列メカニズムの解明とSi単結晶薄膜の作製。II.β-FeSi2半導体薄膜のZMC法による作製。 2.光吸収課程に必要とされる物性である①、②と電子、ホールの移動課程に必要とされる物質である③とを異種の材料で分担することができるハイブリッド材料を検討した。ハイブリッド材料における光吸収物質の光吸収過程を局所電場増強効果という物理効果を使って向上させ、光電流の向上による高効率化を目的とした。色素増感太陽電池は光吸収層に可視光を吸収する物質として色素を、電荷を移動する物質としてTiO2を使ったハイブリッド材料である。そこで、下記のような課題に取組んだ。III.金属ナノ粒子の局所電場増強効果による色素増感太陽電池の光電流の増加 局所電場増強効果により光電流を増大させることができることが明らかになれば、異種の半導体のハイブリッド材料への応用も期待できるようになる。
画像

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研究分野
  • 固体デバイス材料
  • エネルギー変換一般
  • 研究開発
関連発表論文 (1) S. Yokoyama, M. Ihara, K. Izumi, H. Komiyama, C. Yokoyama, Fabrication of SOI films with high crystal uniformity by high-speed zone-melting crystallization, Journal of The Electrochemical Society, 150, A594 (2003).
(2) M. Ihara, K. Matsuda, C. Yokoyama, Stable power generation using a Solid Oxide Fuel Cell with a Ni/Gd-doped CeO2 cermet anode in 100% dry-CH4 fuel based on the anode reaction mechanism, KAGAKU KOGAKU RONBUNSHU, 29, 208 (2003).
(3) M. Ihara, K. Ito, C. Yokoyama, Expansion of range of light-producing photocurrent by using mixed dye in a dye-sensitized solar cell, KAGAKU KOGAKU RONBUNSHU, 29, 238 (2003).
(4) S. Yokoyama, M. Ihara, H. Hashizume, C. Yokoyama, H. Komiyama, Fabrication of crystalline silicon films for solar cells by a new method of gas-flow zone melting crystallization, KAGAKU KOGAKU RONBUNSHU, 29, 242 (2003).
(5) M. Ihara, K. Matsuda, H. Sato, C. Yokoyama, Solid state fuel storage and utilization through reversible carbon deposition on an SOFC anode, Solid State Ionics, 175, 51(2004).
(6) I. Taniguchi, S. Miyashita, J. Ishida, M. Ihara, C. Yokoyama, Fabrication of porous titanium dioxide thin films by electrostatic spray deposition and their application to dye-sensitized solar cells, Transactions of the Materials Research Society of Japan, 29, 1913 (2004).
(7) Y. Tanaka, M. Ihara, Fabrication of FeSi2 films for solar cells using thin film zone melting crystallization, Proceedings of 15th International Photovoltaic Science and Engineering Conference (PVSEC-15), 1, 499 (2005).
(8) M. Ihara, K. Ito, S. Yokoyama C. Yokoyama, Evaluation of the charge transfer processes in dye sensitized solar cell by using applied voltage impedance spectroscopy, submitted.
(9) M. Ihara S. Hasegawa, Quickly rechargeable direct carbon solid oxide fuel cell, submitted.
(10) 横山,伊原,横山,シーディングZMC法によって作製したシリコン薄膜の電気的特性の評価,化学工学会第68年会,2003.3.
(11) Ihara,Matsuda,Sato,Yokoyama,New solid oxide fuel cell using pyrolytic carbon fuel, 14th International Conference on Solid State Ionics,2003.6.
(12) 石田,伊原,横山,金属ナノ粒子による局所電場増強効果を利用したRu色素の吸収係数増大と色素増感太陽電池への応用,化学工学会秋季大会,2003.9.
(13) 伊原,松田,横山,固体炭素燃料を用いたリチャージャブル固体酸化物燃料電池の発電実験,第12回SOFC研究発表会,2003.12.
(14) 石田,伊原,谷口,横山,静電噴霧沈着法により合成したTiO2膜を用いた色素増感太陽電池の発電特性と交流インピーダンス法による評価,化学工学会第69年会,2004.4.
(15) 伊原,長谷川,玉浦,固体炭素燃料を用いたリチャージャブル固体酸化物燃料電池の発電特性と電極構造の関係,第13回SOFC研究発表会,2004.12.[化学工学会第70年会,2005.3,以下2件]
(16) 田中,伊原,馬場,薄膜ゾーンメルティング法による太陽電池用FeSix薄膜の作製
(17) 馬場,伊原,田中,薄膜ZMC法により作製した太陽電池用低欠陥Si薄膜の結晶配向メカニズムの検討
(18) 田中,伊原,馬場,薄膜ゾーンメルティング法による太陽電池用FeSix薄膜の作製,春季第52回応用物理学関係連合講演会,2005.3.
(19) 長谷川,伊原,熱分解炭素を直接燃料に用いたリチャージャブルSOFCの供給ガスと発電特性の関係,電気化学会第72回大会,2005.4.
(20) 田中,伊原,銅によるα-β転移促進効果を利用した薄膜ゾーンメルティング法によるβ-FeSi2薄膜の作製,秋季第66回応用物理学会学術講演会,2005.9.[2005年電気化学秋季大会,2005.9,以下4件]
(21) 長谷川,伊原,熱分解炭素を用いたリチャージャブルSOFCの発電特性と炭素利用効率の評価
(22) 中村,花村,伊原,プロトン導電セラミクスを用いたSOFCアノードの評価
(23) 菅野,井上,伊原,色素増感太陽電池のチタニア多孔質腹中への銀ナノ粒子の導入により生じる発電特性への影響と効果.
(24) 伊原,石田,横山,色素増感太陽電池用チタニア多孔質膜中における色素の局所電場増強効果による吸光度の増加[化学工学会第37回秋季大会,2005.9,以下5件]
(25) 菅野,井上,伊原,色素増感太陽電池のチタニア多孔質膜中に担持された銀ナノ粒子が発電特性に及ぼす効果
(26) 伊原,石田,横山,色素増感太陽電池用チタニア多孔質膜中での銀ナノ粒子による局所電場増強効果
(27) 井上,菅野,伊原,順バイアス印加インピーダンス法による色素増感太陽電池の電荷移動過程の検討
(28) 澤木,田中,尾崎,伊原,界面を利用した太陽電池用Si薄膜の結晶配向性の制御
(29) 田中,伊原,金属-半導体転移を経て得られた太陽電池用Fe-Si系薄膜の構造
(30) Y.Tanaka, M.Ihara,Fabrication of FeSi2 films for solar cells using thin film zone melting crystallization,PVSEC-15,2005.10.[第14回S0FC研究発表会,2005.12,以下2件]
(31) 長谷川,伊原,熱分解炭素を用いたリチャージャブルSOFCの燃料極材料の検討
(32) C.Levy,M.Ihara,K. Yamahara,Power generation of SOFC using dry methane fuel with doped-ceria anodes
(33) C.Levy,S. Nakamura,S.Hasegawa,K. Yamahara,K.Hanamura,M.Ihara,Electrochemical characteristics of Ni/Gd-doped ceria and Ni/Sm-doped ceria anodes for SOFC using dry methane fuel,29th International Conference on Advanced Ceramics & Composites,2006.1.[その他含め、口頭発表全30件]
(34) 伊原,燃料電池は今、自動車用固体酸化物型燃料電池の開発─なぜ、燃料電池自動車なのか?,月刊化学(化学同人),p.18,第58巻第8号(2003).
(35) 伊原,固体酸化物燃料電池の開発ロードマップ,「骨太のエネルギーロードマップ」化学工学会エネルギ部会編,㈱化学工業社,2005.11.
(36) 伊原,「熱分解固体炭素を燃料とする携帯型リチャージャブルSOFC」、次世代電源事情(仮称)、株式会社エヌ・ティー・エス、2005.12発刊予定
(37) 伊原,金属ナノ粒子の局所電場増強効果利用色素増感太陽電池,「ナノパティクルテクノロジーハンドブック」,日刊工業新聞社,2006.3発刊予定
(38) 伊原,太陽電池とバイオテクノロジーの融合,バイオイメージング学会と化学工学会の連携による「ナノとバイオの融合学理構築,産業基盤形成」シンポジウムにて講演,2003.9.
(39) 伊原,光吸収領域の拡張および局所電場増強効果による色素増感太陽電池の高効率化技術,技術情報協会セミナー「色素増感太陽電池の高変換効率・高耐久性とその信頼性」にて講演,2003.9.
(40) 伊原,水素発生型、熱分解固体炭素を燃料とする固体酸化物燃料電池の開発,NEDO燃料電池・水素シンポジウムにて講演,2004.7.
(41) M.Ihara,Development of high-efficient photoelectric conversion materials,INSA de Lyon(フランス国立応用科学研究所リヨン校,フランス・リヨン)にて講演、2005.10.
(42) 伊原,金属ナノ粒子を使って色素増感太陽電池の光吸収過程を高効率化する!─表面プラズモン共鳴を使った色素の吸収係数の増大─,東京農工大学公開講座「次世代光機能材料を指向したナノ構造体のデザイン」にて講演。2005.11.
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/変換と制御
研究報告資料
  • 伊原 学. 環境調和型ハイブリッド光エネルギー変換材料. シンポジウム2005 環境調和型のエネルギー・物質変換を目指して さきがけタイプ研究報告会 「変換と制御」領域 講演要旨集(第三期研究者)(研究期間2002-2005), 2005. p.7 - 18.
出願特許   特許 国際特許分類(IPC)
( 1 ) 国立研究開発法人科学技術振興機構, . 伊原 学, 横山 千昭, . 固体酸化物型燃料電池及び固体酸化物型燃料電池の運転方法. 特開2005-071717. 2005-03-17
  • H01M   8/06     
  • H01M   4/86     
  • H01M   8/12     

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