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情報変換・機能制御性を持つ分子刺激応答性ゲル 新技術説明会

研究報告コード R070000099
整理番号 R070000099
掲載日 2008年4月11日
研究者
  • 宮田 隆志
研究者所属機関
報告名称 情報変換・機能制御性を持つ分子刺激応答性ゲル 新技術説明会
報告概要 高分子ゲルは、図1に示すように高分子のネットワークと溶媒とからなるソフトマテリアルであり、食品・環境・エネルギー・医療分野などに広く利用されている。さらに、ゲルの体積がpHや温度、溶媒組成などによって不連続に変化する体積相転移現象が見出され、外部環境の変化を感知して体積変化するゲルは、刺激応答性ゲルや環境応答性ゲル、インテリジェントゲル、スマートゲルなどと呼ばれる21世紀型ソフトマテリアルとして、人工筋肉や自律応答型ドラッグデリバリーシステム(DDS)、センサーなどへの応用が試みられるようになった。しかし、そのほとんどがpHや温度などの物理化学的な刺激に応答するゲルであり、特定の分子を認識して体積変化するゲルはグルコース応答性ゲルのみであった。そこで、本研究では、医療分野や環境分野に利用できる刺激応答性ゲルの開発を目指して、シグナル生体分子や環境関連分子などに応答する"分子刺激応答性ゲル"の合成を試みた。一般に、ゲルの膨潤挙動は、①ゲルを構成しているポリマーと溶媒との親和性、②ポリマー鎖中の荷電基の状態、そして③ポリマー鎖を結んでいる架橋点の数によって決定される(図1)。これまで報告されている刺激応答性ゲルは、主に温度やpHなどの外部環境変化によって①と②の因子が変化することにより膨満または収縮していた。しかし、われわれは③の架橋点の数もゲルの膨潤挙動に強く影響することに着目し、外部環境の変化で可逆的に変化する架橋点を導入することによっても刺激応答性ゲルを合成できると考えた。そこで、分子複合体を可逆的架橋点として利用することによって、二種類の異なるシステムからなる分子刺激応答性ゲルの合成を試みた。一つは予め生体分子同士が相互作用した生体分子複合体をゲル網目に結合させた"生体分子架橋ゲル"であり、もう一つはターゲット分子と相互作用するリガンドを最適な配置に導入した"分子インプリントゲル"である(図2)。生体分子架橋ゲルは、ターゲット分子が存在するとゲル網目に結合された生体分子複合体が解離することによって架橋点の数が減少し、その結果としてターゲット分子に応答して膨潤する。一方、分子インプリントゲルは、一つのターゲット分子を複数のリガンドが認識して複合体形成し、それが架橋点として作用するためにターゲット分子に応答して収縮する。以下、このようなコンセプトに基づいて合成した生体分子架橋ゲルおよび分子インプリントゲルの研究成果について報告する。
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研究分野
  • 固-液界面
  • 高分子溶液の物理的性質
関連発表論文 (1) 宮田隆志,環境や医療関連の特定分子に応答するインテリジェントゲルの開発,高圧ガス,40,50-52(2003).
(2) 浦上忠,宮田隆志,選択的分子認識インテリジェント高分子ゲルの開発,BIO INDUSTRY, 20, 23-35(2003).
(3) 宮田隆志,分子を認識して応答するゲル-分子刺激応答性ゲル-,高分子, 52,476-477(2003)
(4) 宮田隆志,ナノテクノロジーがもたらす接着技術の可能性,日刊工業新聞,16-17(2003).
(5) 宮田隆志,機能材料設計のための多成分系高分子の表面および内部構造に関する研究,日本接着学会誌,39,387-395(2003).
(6) 宮田隆志,機能材料の内部構造分析法,色材,77,34-40(2004).
(7) 宮田隆志,分子を認識する刺激応答性ゲルの開発,クミカル・エンジニアグング,49,63-69(2004).
(8) 宮田隆志,生体分子応答性ゲルの合成,高分子ゲルの最新動向(柴山充弘・梶原莞爾監修),シーエムシー出版,114-128(2004).
(9) 宮田隆志,バイオコンジュゲートゲルのインテリジェント機能,ナノバイオエンジニアリングマテリアル(石原一彦監修),フロンティア出版,187-198(2004).
(10) 宮田隆志,バイオゲル,高分子材料・技術総覧(高分子材料・技術総覧編集委員会編),産業技術サービスセンター,591-603(2004).
(11) 宮田隆志,生体分子間相互作用を利用したバイオコンジュゲートマテリアルのスマート機能,ソフトマテリアルの新展開(西敏夫監修),シーエムシー出版,133-149(2004).
(12) 浦上忠,宮田隆志,分子認識高分子ゲルの開発,高分子の架橋と分解-環境保全を目指して-(角岡正弘,白井正充監修),シーエムシー出版,88-106(2004).
(13) T. Miyata, A. Jikihara, K. Nakamae, A. S. Hoffman, Preparation of Reversibly Glucose-Responsive Hydrogels by Covalent Immobilization of Lectin in Polymer Networks Having Pendant Glucose, J. Biomaterials Sci., Polym. Ed., 15, 1085-1098 (2004).
(14) K. Nakamae, T. Nishino, K. Kato, T. Miyata, A. S. Hoffman, Synthesis and characterization of stimuli-sensitive hydrogels having a different length of ethylene glycol chains carrying phosphate groups: loading and release of lysozyme, J. Biomaterials Sci., Polym. Ed., 15, 1435-1446 (2004).
(15) 宮田隆志,刺激応答性高分子ゲルの設計と応用,日本ゴム協会誌,78,135-141(2005).
(16) 宮田隆志,特定分子に応答するスマートマテリアルの開発,膜(MEMBRANE),30,138-146(2005).
(17) 宮田隆志,分子に応答するスマートマテリアル-分子刺激応答性ゲル-,現代化学,415,31-37(2005).
(18) T. Miyata, M. Jige, T. Nakaminami, T. Uragami, Tumor-Marker-Responsive Behavior of Gels Prepared by Novel Biomolecular Imprinting, submitted.
(19) T. Miyata , N. Asami , K. Okawa , T. Uragami , Rapid Response of a Poly(acrylamide) Hydrogels Having Semi-Interpenetrating Polymer Network (semi-IPN) Structure, submitted.
(20) K. Okawa, T. Miyata, T. Uragami, Fluorescence Resonance Energy Transfer by Quencher Adsorption into Hydrogels Containing Fluorophore, submitted.
(21) T. Miyata, N. Asami, M. Jige, T. Uragarni, Design of Biomolecular Responsive Gels Using Biomolecular Interactions, A Symposium in Honor of the 70th Birthday of Prof. Allan S. Hoffman: Gels, Genes, Grafts & Giants; Transitioning Biomaterials in the 21st Century, Maui, December, 2002.
(22) 宮田隆志,分子間相互作用を利用したソフトマテリアルの開発,日本材料学会第49回高分子材料セミナー,京都,2003年1月.
(23) 宮田隆志,分子を認識して応答するゲル-分子刺激応答性ゲル-,独立行政法人産業技術総合研究所-人間系特別研究体第70回人間系セミナー,大阪,2003年2月.
(24) 宮田隆志,機能材料設計のための多成分系高分子の表面および内部構造に関する研究(日本接着学会進歩賞受賞講演),平成15年度(第25回)日本接着学会,大阪,2003年6月.
(25) 宮田隆志,シグナル分子に応答するバイオコンジュゲートゲルの合成,平成15年度繊維
学会年次大会 第19回膜-その基礎科学と技術-に関するシンポジウム,京都,2003年6月.
(26) 宮田隆志,生体シグナル応答性膜の新展開,ニューメンブレンテクノロジーフォーラム2003,東京,2003年10月.
(27) 宮田隆志,分子を認識して応答するソフトマテリアル-分子刺激応答性ゲル-,明治大学理工学部工業化学科セミナ,東京,2003年3月.
(28) 宮田隆志,分子間相互作用を利用した機能性バイオコンジュゲート材料の創製,第7回バイオデザインの活用による新機能物質の開発研究会,名古屋,2003年12月,
(29) 宮田隆志,分子複合体ゲルの分子刺激応答挙動,関東高分子若手研究会2004ミニシンポジウム,札幌,2004年9月.
(30) 宮田隆志,特定分子に応答するスマートマテリアルの開発,第1回分離プロセス最新技術講座,東京,2004年10月.
(31) 宮田隆志,分子を認識する刺激応答性ゲルの創製,平成16年度北陸地区高分子若手研究会,福井,2004年11月.
(32) 宮田隆志,生体分子間相互作用を利用した刺激応答性ゲルの創製,名古屋大学 NatureCOE オプンクラスターシンポジウム2004,名古屋,2004年12月.
(33) T. Miyata, Smart Gels That Respond to Specific Molecules, Harima International Forum "Smart Polymer and Smart Surface in Medicine and Industry", Hyogo, January, 2005.
(34) 宮田隆志,シグナル生体分子応答性ゲルの設計,第58回コロイドおよび界面化学討論会-イブニングセッション,宇都宮,2005年9月.
(35) T. Miyata, Smart Gels That Respond to Signal Molecules, 8th International Symposium , Polymers for Advanced Technologies, Budapest, Hungary , September, 2005.
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/変換と制御
研究報告資料
  • 宮田 隆志. 情報変換・機能制御性を持つ分子刺激応答性ゲル. シンポジウム2005 環境調和型のエネルギー・物質変換を目指して さきがけタイプ研究報告会 「変換と制御」領域 講演要旨集(第三期研究者)(研究期間2002-2005), 2005. p.75 - 87.

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