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神経細胞移動の分子機構の解明

研究報告コード R070000106
整理番号 R070000106
掲載日 2008年4月11日
研究者
  • 星野 幹雄
研究者所属機関
  • 京都大学大学院医学研究科
研究機関
  • 京都大学大学院医学研究科
報告名称 神経細胞移動の分子機構の解明
報告概要 これまでに、ヒトの病気やマウスの遺伝的変異体の解析などから、神経細胞移動に関与すると言われる候補分子がいくつか同定されているが、それらの分子だけではその複雑な分子機構を説明するのに全く十分ではない。その理由の一つとして、神経細胞移動に重要な役割を果たしている分子の多くは、初期胚でも必須な役割を果たしているため、通常の遺伝学的解析では同定できないという可能性が挙げられる。なぜなら、そのような分子の単純なヌル突然変異動物を作製しても早い発生段階で致死となってしまい、その後に訪れるはずの神経発生における働きを個体レベルで調べることが困難だからである。この問題点を克服するために、我々は「子宮内エレクトロポレーション法」を用いて、マウス胎仔の大脳皮質細胞で任意の発生段階で様々な分子の機能を抑制し、その分子の果たす役割を調べる方法を採用した(図1)。子宮内エレクトポレーション法を用いれば、マウスの母体内の胎仔の脳室帯細胞に任意の外来遺伝子を簡便に効率よく導入できる。さらにその胚操作自体が正常発生に影響を与えない上、GFP発現ベクターを共導入すれば、遺伝子導入された神経細胞を同定できるだけではなく、その微細な細胞形態を長期に渡ってGFPの蛍光で観察することが可能である。我々は今までの研究から、Rho類似G蛋白質の一つのRaclとその活性化因子であるSTEFおよびTiamlが、神経突起伸長に関与していることを示していたが、その発現様式からSTEF/Timal-Raclシグナル伝達系が大脳皮質の神経細胞移動に関与しているのではないかと、推測した。Raclの単純なノックアウトマウスは発生初期で致死となるが、子宮内エレクトロポレーション法を用いれば、その働きを大脳皮質の移動神経細胞で調べる事が可能となる。そこで、子宮内エレクトロポレーション法を応用する事によって、Raclシグナル伝達系という切り口から神経細胞移動の分子機構に迫ることを試みた。
画像

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研究分野
  • 細胞生理一般
関連発表論文 (1) T. Kawauchi, K. Chihama, Y. Nabeshima, *M. Hoshino. "The in vivo roles of STEF/Tiaml, Racl and JNK in cortical neuronal migration." EMBO J. 22, 4190-4201 (2003).
(2) N. Matsuo, M. Terao, Y. Nabeshima, *M. Hoshino. "Roles of STEF/Tiaml, guanine nucleotide exchnage factors for Racl, in regulation of growth cone morphology. " Mol. Cell. Neurosci. 24, 69-8 1 (2003).
(3) M. Yoshizawa, M. Sone, N. Matsuo, T. Nagase, O. Ohara, Y. Nabeshima, *M. Hoshino. "Dynamic and coordinated expression profiles of Dbl-family guanine nucleotide exchange factors in the developing mouse brain. " Gene Exp. Pat. 3, 375-381 (2003).
(4) N. Matsuo, *M. Hoshino, M. Yoshizawa, Y. Nabeshima. Characterization of STEF, a guanine nucleotide exchange factor for Racl, required for neurite growth. J. Biol. Chem. 277, 2860-2868 (2002).
(5) M. Hoshino, M. Sone, M. Fukata, S. Kuroda, K. Kaibuchi, Y. Nabeshima, C. Hama. Identification of the stef gene that encodes a novel guanine-nucleotide exchange factor specific for Racl. J. Biol. Chem. 274, 17837-17844 (1999).
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/タイムシグナルと制御研究領域
研究報告資料
  • 星野 幹雄. 神経細胞移動の分子機構の解明. 2004年度 “タイムシグナルと制御”研究領域 報告会 要旨集 生命と時間 -新しい生命原理を求めて-, 2004. p.49 - 53.

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