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ダイレクト光接続を用いる高バンド幅コンピューティング

研究報告コード R070000148
整理番号 R070000148
掲載日 2008年4月11日
研究者
  • 成瀬 誠
研究者所属機関
報告名称 ダイレクト光接続を用いる高バンド幅コンピューティング
報告概要 あらゆるコミュニケーションの情報伝送ニーズや、ありとあらゆる現象・情報がデジタル化され大量の情報処理が必要になる将来のコンピュテーションニーズに応えるため,光技術のさらなる飛躍が期待されています。実際、最近の光技術の進歩は目覚ましく、100Gbpsを超える速度で動作する光スイッチデバイスや、回折限界と呼ばれる従来の光の集積限界を超えたナノフォトニクスなどの新しい実現技術が萌芽し、また、ネットワークの全光化も検討されています。「光コンピューティング」は20世紀中盤に構想され、残念ながら20世紀末にはその姿を消していきましたが、近年のナノテクノロジーの進歩と社会の要求により、別の形でリバイバルしつつあるとも言えます。しかしながら、単に最新の光技術を用いて従来の実現技術を置換しただけでは、システム全体の革新的性能・機能向上は期待できません。光のもたらす新しい前提を踏まえたアーキテクチャを示し、また、現実のデバイスを用いた実証が重要になります。こうした研究背景をもとに、本研究では将来の光システムにおいて基本的に重要となると考えられる要素を抽出し、新しいシステム提案を積み上げる戦略を取り、具体的には次の3つの観点に注目しました。①超高速性を生かすコンピュテーション:たとえば回線速度1Tbps(毎秒1テラ=1兆ビット)の通信では隣り合う信号の間隔はおよそ0.3mmに過ぎず、タイミング管理が極めて重要となります。他方で、超高速領域のタイミングを利用できれば、膨大な情報処理が光領域で実現されることになります。こうした超高速域でのコンピュテーションを考えます。②超高集積性を生かすコンピュテーション:20世紀の光コンピューティングが開花しなかった理由の一つは、集積度の悪さにあります。すなわち、回折による物理限界のためおよそ波長のスケール以下には光の集積化は不可能でした(シリコンVLSIの線幅は既に90nm程度であるのに対し通信波長は850nmや1.5μmで10倍程度大)。ところが回折限界を打破するナノフォトニクス技術によって、この前提が現在では覆っています。そのため、光の微細化を踏まえた新しいコンピュテーションは如何なるフレームにおいて可能か、という重大な研究要素が派生します。そこで本研究では近接場光の局在的なダイナミクスを用いつつ、機能的には大域的な機構であるデータの和算(summation)やデータの同報(broadcast)機構を考察しました。これにより、20世紀に夢と終わった光ベクトル演算をナノスケールで実現する可能性が示されました。③シンプルな物理構造とアービトレーション:上記の①や②で前提とされる光技術、また他の光デバイス技術においても未だ実現されていない機能に、光のランダムアクセスメモリ(RAM)があります。このために、複雑な演算を光領域で実現するのは現状では困難と言わざるを得ません。また、膨大な光デバイスを制御するために必要な電気配線などの実装上の制約に対応するために、光デバイスの構造的なシンプルさも重要になります。他方で、例えばネットワークのノードにおけるパケットスイッチングでは、回線速度の高速化に対応して、パケット毎に割り当て可能な計算時間は益々短くなっています。すなわち、光技術の物理的制約と応用の要求の双方の観点から、「構成や方式のシンプルさ」は重要な観点と言えます。本研究では、構造と制御のシンプルさを備えたパケットスイッチング方式を提案しました。以降、2章から5章では上記3項の概要を順にご紹介いたします。
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研究分野
  • 光集積回路,集積光学
  • 計算機
  • 光学情報処理
関連発表論文 (1) M. Naruse, T. Miyazaki, F. Kubota, T. Kawazoe, K. Kobayashi, S. Sangu, M. Ohtsu:Nanometric summation atchitecture using optical near-field interaction between quantum dots, Optics Letters, in press (超高集積コンピュテーション)
(2) M. Naruse, H. Mitsu, M. Furuki, I. Iwasa, Y. Sato, S. Tatsuura, M. Tian and F. Kubota:Terabit all-optical logic based on ultrafast two-dimensional transmission gating, Optics Letters, Vol. 29, No. 6, pp. 608-610, 2004 (超高速)
(3) A. Cassinelli, M. Naruse and M. Ishikawa: Multistage Network with Globally-Controlled Switching Stages and its implementation using Optical Multi-interconnection Modules, IEEE/OSA Journal of Lightwave Technology, Vol. 22, No. 2, pp. 315-328, 2004 (アービトレーション)
(4) A. Goulet, A. Cassinelli, F. Kubota, M. Ishikawa: A load-balanced optical packet switch architecture with an O(1) scheduling complexity, 9th OptoElectronics and Communications Conference/3rd International Conference on Optical Internet(OECC/COIN 2004) (Yokohama, 2004.7.15), post-deadline paper PD1-1, July 2004 (アービトレーション)
(5) M. Naruse, H. Mitsu, M. Furuki, I. Iwasa, Y. Sato, S. Tatsuura and M. Tian:Femtosecond timing measurement and control using ultrafast organic thin films, Applied Physics Letters, Vol. 83, No.23, pp. 4869-4871, 2003 (Also published in Virtual Journal of Ultrafast Science, December 2003, Vol. 2, Iss. 12, Ultrafast Mmethods and Measurement Techniques, http://ojps.aip.org/dbt/dbt.jsp?KEY=VIRT05&Volume=2&Issue=12) (超高速)
(6) M. Naruse, F. Kubota, H. Mitsu, M. Furuki, I. Iwasa, Y. Sato, S. Tatsuura, and M. Tian:Femtosecond pulse timing measurement using an ultrafast organic molecular film and a computational sensor array, Optical Fiber Commuication Conference and Exposition (OFC 2004) (Los Angels, 2004. 2. 27), FF6, Feb. 2004 (超高速)
(7) M. Naruse, A. Cassineli, M. Ishikawa:Two-dimensional fiber array with intergrated topology for short-distance optical interconnections, 2002 IEEE LEOS Annual Meeting(Glasgow, 2002. 11. 14)/Conference Proceedings, pp. 722-723, 2002 (光インターコネクト)
(8) M. Naruse, Y. Ide, T. Iino, and F. Kubota:Parallel VCSEL microscope:optimal design and instrumentation, International Conference on Optics-photonics Design & Fabrication 2002(Tokyo, 2002.11.1)/Conference Proceedings, PD06 (超並列光計測)
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/情報基盤と利用環境
研究報告資料
  • 成瀬 誠. ダイレクト光接続を用いる高バンド幅コンピューティング. さきがけライブ2004 情報・知能分野 -人間・機械・環境を支える知的情報システムの構築を目指して 講演要旨集 「情報基盤と利用環境」領域 第1期研究者(研究期間2001-2004), 2005. p.51 - 60.

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