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やわらかいハードウェアの実現に向けて

研究報告コード R070000150
整理番号 R070000150
掲載日 2008年4月11日
研究者
  • 飯田 全広
研究者所属機関
報告名称 やわらかいハードウェアの実現に向けて
報告概要 日本の半導体産業は、コスト競争力、技術的優位性の低下という2つの大きな課題がある。コスト競争力は、人件費などが高水準な上、利益率が低いことが原因である。これはLSIの品種の多さとシェアの低さに起因する。また、技術的な優位性の低下は、時勢から巨大投資が必要なプロセス技術で遅れが生じており、さらにEDA技術では米国勢の独占が原因といえる。すなわち,下流からは人件費の安い台湾などの製造専業メーカに市場を侵食され、上流は膨大な設計資源とEDA技術を持った米国のメーカに押さえられているのが現状である。一方、日本は家電や自動車など世界的に高水準のシステム技術とアプリケーションを有しており、半導体産業はこれらを取り込んだシステムLSIに再生の活路を開こうとしている。アジア諸国と欧米の狭間で独自性を保ち収益を確保するためには、豊富な応用技術を活かせるこのシステムLSIで利益を出す仕組みが必要である。図1にシステムLSIを取り巻く状況を示す。システムLSIには、MPEGやJPEG、MP3などのメディア処理、各種プロトコル処理や通信用誤り訂正符号などのネットワーク処理、暗号化や認証などのセキュリティ処理など複数の機能を集積する。これらの処理は高い処理能力が必要とするため組込みプロセッサだけでは性能が不足し、現在は専用のハードウェアを個別に設けることで対処している。しかし、SoCは開発コストが高く、製品の個別展開や新しい規格に対応することが困難になることが予想されている。システムLSIはシステムそのものをワンチップ化したLSIであるが、収益率を上げるためには少品種大量生産体制で多品種少量生産を実現しなければならない。また、大きな課題として、消費電力の危機、配線の危機、複雑さの危機への対処も必要である。これらの課題のうち、多品種少量生産の課題に対しては「やわらかいハードウェア」であるプログラマブルロジックの混載による柔軟性の追加が有望視されている。これによりシステムLSIの製造後のカスタマイズにより生産品種数の削減が期待できるためである。他の課題に対してもプログラマブルロジックに対する期待が大きい。しかしながら、システムLSIにIPとしてのプログラマブルロジックを混載するためには、クリアしなければならない課題が2つある。一つはプログラマブルロジックに関する特許の問題であり、もう一つはプログラマブルロジックを活かすEDA技術である。現在、プログラマブルロジックの基本特許は、Xilinx社、ALTERA社等の米国の数企業が事実上独占しているのが現状である。日本におけるプログラマブルロジック関連特許数は、他の半導体関連分野に比べ突出して低い。特許庁の平成13年度特許出願技術動向調査報告である「プログラマブル・ロジック・デバイス技術に関する特許出願技術動向調査」(http://www.jpo.go,jp/shiryou/pdf/gidou-houkoku/pld.pdf)によれば、1993年から2000年までの日米比率は、半導体プロセス関連で0.8、論理回路関連で1.6に対し、FPGA/PLD関連では22.4と圧倒されている。いくつかの基本特許はすでにその存続期限が切れているが、彼らの持つ特許に抵触しないシステムLSI向きのプログラマブルロジック・アーキテクチャの開発が重要である。また、実際に新しいプログラマブルロジックIPが開発され、システムLSIに搭載することはできたとしても、それを活かすEDA技術の集積が日本にはない。プログラマブルロジックを対象としたEDAツール研究・開発は国内では非常に少なく、米国を始めとする世界水準から遅れている分野である。本研究は、システムLSIに柔軟性を加える「やわらかいハードウェア」である新しいプログラマブルロジックのアーキテクチャを研究対象とし、従来のFPGAやPLDより高性能・高機能なデバイス、すなわちリコンフィギャラブルロジックのアーキテクチャとアプリケーションを開発するための設計手法を確立することを目指している。また、システムLSIの課題の一つである消費電力危機に対して、リコンフィギャラブルロジックの機能を活用した消費電力削減方式を提示する。
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研究分野
  • 汎用演算制御装置
  • システムプログラミング一般
  • 固体デバイス製造技術一般
関連発表論文 (1) Hisashi TSUKIASHI, Masahiro IIDA and Toshinori SUEYOSHI : Applying the Small-World Network to Routing Structure of FPGAs, Proc. of 15th International Conference on Field Programmable Logic and Applications (FPL2005), pp. 65-70, Aug. 2005.
(2) Hidetomo SHIBAMURA, Takeru KISANUKI, Isao SAKAMOTO, Masahiro IIDA, Morihiro KUGA and Toshinori SUEYOSHI : An Implementation of Video Streaming Processing on a Dynamically Self-Reconfigurable System, Proc. of The 20th Commemorative International Technical Conference on Circuits / Systems, Computers and Communications (ITC-CSCC2005), Vol. 1, pp. 399-400, July 2005.
(3) Shigeki IMAI, Masahiro IIDA and Toshinori SUEYOSHI : A low power design method using multi-context dynamic reconfiguration, Proc. of The 20th Commemorative International Technical Conference on Circuits / Systems, Computers and Communications (ITC-CSCC2005), Vol. 2, pp. 563-564, July 2005.
(4) Masahiro IIDA, Shinya ABE, Hisashi TSUKIASHI, Ryoji OGATA and Toshinori SUEYOSHI: Adopting the Small-World Network in Routing Structure of FPGA, Proc. of International Workshop on Applied Reconfigurable Computing (ARC2005), pp. 92-98, Feb. 2005.
(5) 今井茂毅,飯田全広,末吉敏則:RLDの動的再構成機能を利用した消費エネルギー削減手法,第12回FPGA/PLD Design Conference ユーザプレゼンテーション論文集,pp.57-64,Jan.2005.
(6) 阿部晋也,飯田全広,末吉敏則:Simulated Evolutionを用いた配置配線同時処理手法の開発,DAシンポジウム2004 論文集,pp.225-228,Aug. 2004.
(7) 今井茂毅,塚本和明,飯田全広,末吉敏則:動的再構成可能なデバイス向け低消費電力化手法の提案と評価,DAシンポジウム2004 論文集,pp. 145-150,Aug.2004,
(8) 池田祐介,木幡雅貴,飯田全広,末吉敏則:次世代リコンフィギャラブル・ロジック向けクラスタリングツールの開発,第17回 回路とシステム軽井沢ワークショップ
講演論文集, pp. 247-252. 2004.
(9) Masahiro IIDA and Toshinori SUEYOSHI : A Shape Evaluation of Circuit Area for Reconfigurable Logic Device, Proceedings of The 2003 International Technical Conference On Circuits / System, Computers and Communications (ITC-CSCC2003), vol.3, pp. 1595-1598, 2003.
(10) 今井茂毅,飯田全広,末吉敏則:自律再構成による低消費エネルギー化手法,信学技法RECONF2005-44(2005-9),Vol.105,No.288,pp.19-24,Sep.2005.
(11) 木佐貫健,坂本伊左雄,柴村英智,飯田全広,久我守弘,末吉敏則:機能分割実装による実行時再構成型 MPEG-2 デコ一ダの実現可能性,信学技法RECONF2005-38(2005-9),Vol.105,No.287,PP.49-54,Sep.2005.
(12) 月足彌,飯田全広,末吉敏則:Small-World Network 化配線構造の遅延削減効果についての評価,信学技法 RECONF2005-12(2005-5),Vol.105,No.42,pp.67-72,May 2005.
(13) 木幡雅貴,飯田全広,末吉敏則:チップ面積及び遅延の削減を目的としたクラスタリングツールの開発,信学技法 RECONF2005-2(2005-5),Vol.105,No.42,pp.7-12,May 2005.
(14) 阿部晋也,飯田全広,末吉敏則:RLD配線構造のSmall-World Network化による遅延削減方法,信学技報 CPSY2004-35(2004-12),Vol.104,No.476,pp.17-22,Nov.2004.
(15) 今井茂毅,飯田全広,末吉敏則:RLDの動的再構成機能を積極的に利用した消費エネルギー削減手法,電子情報通信学会コンピュータシステム研究専門委員会所属第2種研究会 第4回リコンフィギャラブルシステム研究会論文集,pp.204-211,Sep.2004.
(16) 木幡雅貴,阿部晋也,飯田全広,末吉敏則:次世代リコンフィギャラブル・ロジック向けクラスタリングツールの評価,電子情報通信学会コンピュータシステム研究専門委員会所属第2種研究会 第4回リコンフィギャラブルシステム研究会論文集,pp.152-158, Sep. 2004.
(17) 飯田全広,緒方綾二,阿部晋也,末吉敏則:次世代リコンフィギャラブル・ロジック向き配線構造の提案,電子情報通信学会コンピュータシステム研究専門委員会所属第2種研究会 第2回リコンフィギャラブルシステム研究会論文集,pp.28-33,Nov. 2003.
(18) 阿部晋也,緒方綾二,飯田全広,末吉敏則:次世代RLDにおける配線リソースの効率的使用法に関する一検討,第7回システムLSIワークショップ講演資料集およびポスターセッション資料集,pp.359-362,Nov.2003.
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/情報基盤と利用環境
研究報告資料
  • 飯田 全広. やわらかいハードウェアの実現に向けて. さきがけ研究 研究報告会 「情報基盤と利用環境」領域 第2期研究者(研究期間2002-2005) 講演要旨集, 2005. p.1 - 10.

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