TOP > 研究報告検索 > 2光子励起法を用いた生体膜融合分子機能の顕微解析システム化

2光子励起法を用いた生体膜融合分子機能の顕微解析システム化

研究報告コード R070000195
整理番号 R070000195
掲載日 2008年4月11日
研究者
  • 根本 知己
研究者所属機関
  • 生理学研究所
研究機関
  • 生理学研究所
報告名称 2光子励起法を用いた生体膜融合分子機能の顕微解析システム化
報告概要 シナプス前終末における神経分泌はもとより、大型有芯小胞の開口放出や細胞分画間の小胞輸送における生体膜融合過程は、共通のメカニズム-酵母から哺乳動物まで広く進化上保存されている可溶性N-エチルマレミド感受性因子(NSF)結合タンパク質受容体(SNARE)連関タンパク質群-によって引き起こされると考えられている。特に、開口放出の初期に小胞膜と細胞膜を結ぶ融合細孔が形成されるが、この融合細孔形成には、対面する2膜に存在するSNAREタンパク質分子(小胞膜:v-SNARE(VAMP2),細胞膜:t-SNARE(SNAP25, syntaxin))が熱力学的に安定な4重αヘリックス構造を形成し、SNAREコア複合体となることが必要かつ十分であると提唱されている(SNARE 仮説)(図1)。しかし、この超分子構造がどのように膜融合を引き起こすのか、その作用機序や生理的機能は未解明である。従って、この問題の解決には生理的な環境下でSNARE複合体形成と融合細孔形成の因果関係や作用機序を解析し、明確化することが重要であると考えた。本研究者は、先端的な光学技術の生物科学への応用を目指し、近赤外フェムト秒パルスレーザーによる2光子励起過程を用いた顕微鏡法の確立に従事して来た。生体組織中での空間分解能や高い定量性、同時多重染色性の向上や、蛍光色素の内部遮蔽効果の回避などを活用し、大型有芯小胞の開口放出の素過程の可視化に始めて成功した(Nature Cellbiol. 2001)。そこで、本課題では、開口放出過程の中間状態の解析法の確立することで、SNARE複合体によるCa2+依存性開口放出現象やその制御機構の解明を目標として、新規的な光学的解析法に遺伝子工学を組み合わせ、分子複合体の新しい機能アッセイ法の確立を目指した。
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

R070000195_01SUM.gif R070000195_02SUM.gif R070000195_03SUM.gif R070000195_04SUM.gif
研究分野
  • 生体膜一般
  • 非線形光学
関連発表論文 (1) "Stabilization of exocytosis by dynamic F-actin coating of zymogen granules in pancreatic acini", Tomomi Nemoto. Tatsuya Kojima, Akihiro Oshima, Haruhiko Bito and Haruo Kasai, J. Biol. Chem., vol.279 pp. 37544-37550 (2004)
(2) "Two-photon microscopic analysis of acetylcholine-induced mucus secretion in guinea pig nasal glands", Akihiro Oshima, Tatsuya Kojima, Kenji Dejima, Yasuo Hisa, Haruo Kasai, and Tomomi Nemoto, Cell Ca. (in press)
(3) "Fusion pore dynamics and insulin granule exocytosis in the pancreatic islet.", Noriko Takahashi, Takuya Kishimoto, Tomomi Nemoto, Takashi Kadowaki, Haruo Kasai, Science, vol.297, pp.1349-52 (2002)
(4) "Switch to anaerobic glucose metabolism with NADH accumulation in the -cell model of mitochondrial diabetes: Characteristics of βHC9 cells deficient in mitochondrial DNA transcription", Mitsuhiko Noda, Shigeo Yamashita, Noriko Takahashi, Kazuhiro Eto, Linming Shen, Kazuo Izumi, Samira Daniel, Yoshiharu Tsubamoto, Tomomi Nemoto, Masamitsu Iino, Haruo Kasai, Geoffrey W. G. Sharp, and Takashi Kadowaki, J. Biol. Chem., vol.277(44), pp.41817-26 (2002)
(5) 学術書「インスリン分泌」第1章「インシュリン開口放出現象の可視化から何がわかるか」担当、畠山裕康、高橋倫子、根本知己、河西春郎、文光堂、東京、2004年5月
(6) 学術書「ナノテクノロジー大辞典」第8章「2光子顕微鏡」担当、根本知己、工業調査会出版部、東京、2003年12月
(7) 総説「2光子励起法による神経機能研究」河西春郎、根本知己、松崎政紀、早川泰之、生物物理、vol.42, No.2, 91-94 (2002).
(8) Gordon Research Conferences, Salivary Glands & Exocrine Secretion, Tomomi Nemoto, Tatsuya Kojima, Akihiro Ohshima and Haruo Kasai. "Dynamic role of actin in zymogen granule exocytosis in paucreatic acini", Feb 2-7, 2003, Holiday Inn Ventura, CA, USA. (co-chair 及び judge for poster session としても招聘を受け運営に参加した。)
(9) 「多光子励起過程を用いた分泌・開口放出現象の可視化解析」根本知己、河西春郎、第66回分析化学討論会、若手シンポジウム「レーザー分光分析の新潮流」、北見工業大学、2005年5月14,15日(予定)、北海道北見市
(10) 平成16年度基礎生物学研究会「生体シグナルの可視化を目指して」、2004年12月2,3日、岡崎コンファレンスセンター、愛知県岡崎市
(11) 平成16年度基礎生物学研究会「光生物学の課題と光技術の展望」、2004年11月25,26日、基礎生物学研究所、愛知県岡崎市
(12) 「2光子顕微鏡によるCa2+依存性開口放出の解析」根本知己、日本生物物理学会第41回年会、200年9月23-25日、新潟県新潟市
(13) 平成14年度生理学研究会、「外分泌腺における開口放出とアクチン動態」根本知己,兒島辰哉、大嶋章裕、河西春郎、2002年10月11日,岡崎コンファレンスセンター、愛知県岡崎市
(14) 「レーザー顕微鏡と光学実験」根本知己、岡崎市教育委員会による講演会、2002年11月17日、愛知県岡崎市
(15) 「モルモット鼻粘膜分泌細胞における分泌現象の可視化」大嶋章裕、根本知己、出島健司、河西春郎、久育男、第54回日本アレルギー学会総会、2004年11月4-6日パシフィコ横浜、横浜市
(16) Tomomi Nemoto, Tatsuya Kojima, Akihiro Oshima, Haruo Kasai, "Dynamic Actin Reorganization in zymogen granule exocytosis in pancreatic acini mediated by Rho", 43rd annual meeting, the American society of cell biology, Dec. 13-17, 2003, San Francisco, CA, USA
(17) 「2光子励起断層イメージングを用いた開口放出におけるRhoによる顆粒膜の高速なアクチン被覆の解析」根本知己、兒島辰哉、大嶋章裕、河西春郎、日本生物物理学会第41回年会、2003年9月23-25日、新潟市。
(18) 「膵臓外分泌腺の酵素原顆粒の開口放出におけるFアクチンの動的役割」根本知己、兒島辰哉,大嶋章裕、河西春郎,第80回日本生理学会大会,2003年3月24-26日、福岡市。
(19) 「2光子励起画像法によるインスリン分泌過程の解析」高橋倫子、岸本拓哉、根本知己、河西春郎、第76回日本薬理学会大会、2003年3月24-26日、福岡市。
(20) 「2光子顕微鏡と閃光活性化法を用いたCa2+依存性開口放出のFアクチンによる制御機構の解析」根本知己、兒島辰哉、大嶋章裕、河西春郎,日本生物物理学会第40回年会,11月2-4日,名古屋大学、名古屋市。
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/たんぱく質関連領域
研究報告資料
  • 根本 知己. 2光子励起法を用いた生体膜融合分子機能の顕微解析システム化. 2004年度“たんぱく質関連領域”合同シンポジウム 要旨集 「生体分子の形と機能」, 2004. p.17 - 22.

PAGE TOP