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広域環境における高性能分散共有メモリ機構

研究報告コード R070000229
整理番号 R070000229
掲載日 2008年4月11日
研究者
  • 丹羽 純平
研究者所属機関
報告名称 広域環境における高性能分散共有メモリ機構
報告概要 近年急増している新世代E-Scienceアプリケーションは、大量の計算機パワーを必要としており、従来のスーパーコンピュータを多少増強した程度では扱いが困難であり、コストパフォーマンスの点からも非現実的であるという点があげられます。コストパフォーマンスの面では、研究機関内にある計算機資源をネットワークで接続したLANクラスタが優れているものの、如何せん、計算機パワーの不足は否めません。一方、ネットワーク技術の進歩やスイッチング技術の向上により、SuperSINETを初めとする国内超高速バックボーンネットワークが急速に整備されてきました。そして、国際間の超高速バックボーンネットワークも整備されつつあります。その結果、研究機関の計算資源が超高速でつながれ、計算資源を広域的に利用した“次世代実験科学のための計算フラットフォーム”の構成(図1)がコストパフォーマンスの面からも現実味を帯びたものとなりつつあります。広域環境にある計算機資源をフルに活用するには、ユーザ自から並列プログラムを記述することが求められます。共有メモリモデルは従来のスタンドアローンなプログラミングの自然な拡張であり、メッセージパッシングモデルに比べて、並列プログラムを記述しやすいという利点を持っています。もちろん、共有メモリモデルに従って記述された並列プログラム(例:OpenMPやPARMACSで拡張されたCのプログラム)を、直接メッセージパッシングコード(分散計算機上のコード)に変換することは可能です。しかし、幅広いクラスのアプリケーションを効率よく扱うためには、アプリケーションが実行時に直接共有アドレスを扱えること(例:タスクキューを用いた動的負荷分散)が求められます。すなわち、実行時にシステム全体で仮想的に共有メモリを提供する機構:ソフトウェア分散共有メモリ機構(S-DSM)が必要になります。そこで、効率の良いソフトウェア分散共有メモリ機構を構築できるかどうかが鍵になってきます。これまで、LAN上の分散環境では、オペレーティングシステムの支援と最適化コンパイラの支援とランタイムの支援があれば、高性能なS-DSMを構築することが可能であることが示されてきました。この結果から、超高速WAN上であっても、最適化コンパイラとランタイムの支援があれば、共有メモリモデルに従って記述された並列プログラムを効率良く実行できるのではないかと考察しました。もちろん、WANはLANと比較して様々な問題を抱えています。例えば、通信の遅延(レイテンシ)が大きいといった点も挙げられます。また、大量の共有メモリを必要とするアプリケーションが多いという点も挙げられます。更に、計算機の台数が多くなるために、一部の計算機が故障する可能性が増大するので、効率的な耐故障機能が必要となります。本研究では、こういった問題点を克服するコンパイル時最適化と実行時最適化を提案し、それらの最適化を可能とするインタフェイス(WDSM)を導入しました。実際にはシステムを構築し、本手法の有効性を評価・検証してきました。図2は、本研究が提案するコンパイラが支援する広域分散共有メモリ機構のシステムを簡単に表しております。
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研究分野
  • 記憶方式
  • 計算機網
  • 言語プロセッサ
関連発表論文 (1) 丹羽純平,コンパイラが支援する広域ソフトウェア分散共有メモリに向けて,情報処理学会 ハイパフォーマンスと言算科学シンポジウム,pp69-70,2004年.
(2) 丹羽純平,コンパイラが支援するソフトウェアDSMにおけるプリフェッチ機構,情報処理学会 第148回計算機アーキテクチャ研究会 pp7-13,2004年.
(3) 丹羽純平,広域分散共有メモリ機構を支援する最適化手法,情報処理学会論文誌:コンピューティングシステムVol.45No.SIG 11(ACS7)36一49,2004.年.
(4) J.Niwa,Prefetch Mechanism in Compiler-Assisted S-DSM System,CRTPC-04/ICPP-04, Montreal, Quebec, Canada, pp.520-529, 2004/08/15--18.
(5) J.Niwa, Compiler-Assisted Computing: Application S-DSM on a WAN Cluster, Parallel and Distributed and Technologies, LNCS vol.3320, pp.815-828, (PDCAT 2004, Singapore, 2004).
(6) 丹羽純平,コンパイラが支援するソフトウェアDSMにおけるレイテンシ削減技法,情報処理学会 ハイパフォーマンスと計算科学シンポジウム pp81-88,2005年.
(7) 丹羽純平,コンパイラが支援するソフトウェアDSMにおけるレイテンシ削減技法,情報処理学会論文誌:コンピューティングシステム Vol.46 No.SIG7(ACS 10)74-84,2005年
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/機能と構成
研究報告資料
  • 丹羽 純平. 広域環境における高性能分散共有メモリ機構. 個人型研究さきがけタイプ研究報告会 先進情報システムとその構成に向けて 「機能と構成」領域 講演要旨集 第Ⅲ期研究者(研究期間2002-2005), 2005. p.51 - 59.

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