TOP > 研究報告検索 > 層状酸化物の機能を拓く固体化学的アプローチ(層状酸化物の選択的組成制御と新機能の開拓)

層状酸化物の機能を拓く固体化学的アプローチ(層状酸化物の選択的組成制御と新機能の開拓)

研究報告コード R070000252
整理番号 R070000252
掲載日 2008年4月11日
研究者
  • 下山 淳一
研究者所属機関
報告名称 層状酸化物の機能を拓く固体化学的アプローチ(層状酸化物の選択的組成制御と新機能の開拓)
報告概要 各種機能性材料のなかで、酸化物材料が占める割合は大きく、その特徴としてまず高温から極低温までの広い様々な用途に使えることが挙げられる。古くは耐火、耐熱や構造強化が酸化物材料の主な用途であったが、近年はそれらの物理的化学的性質を利用し、絶縁体、イオン導電体、混合導電体、超伝導体、強誘電体、圧電体、酸化触媒など多岐にわたる応用が展開されている。特に最近の酸化物材料や材料候補物質では、特性の最適化のための部分的な金属元素置換が行われるなど、多元素化が進む傾向にあり、さらに層状の結晶構造を有する物質が増えてきた。なかでも電子軌道に指向性がある遷移金属イオンを含む酸化物の場合、層状の結晶構造を持つ物質中においては特異な2次元的な電気的・磁気的性質が現れやすく、その代表的な例は銅酸化物超伝導体である。このように、層状酸化物は新機能や従来の機能を大きく上回る材料の鉱脈として期待され、熱心な研究が続けられているが、固体化学的にも興味深い物質である。層状酸化物では配位数、結合長など周囲の環境が異なる金属、酸素サイトが増える。金属サイトが増えるということは、部分元素置換をどのサイトの金属を施すかによって、様々な物性の変化が期待できる。また、どの酸素サイトに欠損が生じやすいかを知り、これがうまく制御できれば物性発現の源である金属イオンの電子状態を任意に変え様々な機能の発現を促すこともできる。ところで、酸化物材料開発の全般的な傾向ではあるが、物質の設計においては金属組成の制御に主眼が置かれ、酸素組成の不定比性が考慮されるケースは非常に少ない。金属組成は物質合成の仕込みの段階で決定できる場合が多く、比較的容易に制御できる。一方、酸素組成は温度、雰囲気酸素分圧の関数として変わるものであり、その任意の制御には酸素量に関する平衡状態図が必要になる。もちろん、数多くの酸化物についてそれらの酸素不定比性が詳細に調べられているが、実際の平衡酸素量測定では化学拡散や表面反応が律速になり、十分な状態図を得るには1物質当たり数週間~数ヶ月の長期を要する。このため最近の機能性酸化物の開発のペースに酸素不定比性の評価が十分に対応しておらず、益々金属組成制御偏重の流れが強くなってきてる。つまり、酸素組成制御は金属組成制御と物性発現の意味で同じ重要性を持っていながら軽視されている。以上の背景のもと、本研究では金属組成だけでなく酸素組成の不定比性の制御も生かした新規機能性層状酸化物を開発する手法の確立を目的とした。具体的には機能性材料として注目されている様々な層状酸化物に対して酸素量に関する状態図作成を積極的に進め、また任意の金属、酸素サイトの組成制御を通じて、新機能の発現や従来機能の改善を目指した。本研究のコンセプトを図1に示したが、従来、金属組成制御が主体で、近年、高圧合成や低温非平衡の薄膜作製など合成プロセスが多様化している機能性層状酸化物開発において、酸素量制御の軸を加えることと、また目的金属サイトを意識した元素置換手法の定着、ならびにこれらの手法の有効性を実施することが主旨である。本研究では、数多くの層状酸化物を研究対象としたが、本報告では、新規熱電材料として期待されている層状コバルト酸化物、巨大磁気抵抗効果を示す層状マンガン酸化物、高温伝導体である層状銅酸化物に関する研究成果を記す。
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

R070000252_01SUM.gif R070000252_02SUM.gif R070000252_03SUM.gif R070000252_04SUM.gif R070000252_05SUM.gif R070000252_06SUM.gif R070000252_07SUM.gif R070000252_08SUM.gif R070000252_09SUM.gif R070000252_10SUM.gif R070000252_11SUM.gif
研究分野
  • 分子化合物
  • 酸化物系超伝導体の物性
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/秩序と物性
研究報告資料
  • 下山 淳一. 層状酸化物の機能を拓く固体化学的アプローチ(層状酸化物の選択的組成制御と新機能の開拓). さきがけライブ2004 ナノテクノロジー分野合同研究報告会 「秩序と物性」領域 講演要旨集(研究期間:2001-2004), 2005. p.58 - 65.

PAGE TOP