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ホウ素系ネットワーク物質における物質制御(層状酸化物の選択的組成制御と新機能の開拓)

研究報告コード R070000254
整理番号 R070000254
掲載日 2008年4月11日
研究者
  • 森 孝雄
研究者所属機関
報告名称 ホウ素系ネットワーク物質における物質制御(層状酸化物の選択的組成制御と新機能の開拓)
報告概要 従来より科学技術の発展のために新規な機能性材料の研究・探索が盛んに行われており、その中の重要な分野としてネットワーク物質の研究がある。ネットワーク物質は一般的に、クラスターを主な構成要素とする化合物、および、2次元的なネット構造を含む層状・層間化合物をいい、そうしたネットワークの構造的な秩序がそれら化合物の物性に密接に関わっているという特徴がある。これまで、炭素ベースの化合物において、例えば前者のクラスター化合物はC60フラーレン等、また、2次元的なネット状化合物は、炭素を母物質とするグラファイト層間化合物(GIC)等の炭素ネットワーク物質がさかんに研究されて来ている。これとは対照的に、周期律表で炭素の隣に位置するホウ素を含む化合物はネットワークを形成するが、主にその構造的な性質を中心に研究が進められて来ており、新規な機能性材料を与える広大なポテンシャルが十分に開拓されていないのが現状であった。当研究はホウ素ネットワーク物質の特色を活かし、新しい着想で新機能性材料の開発を目指すものである。ホウ素クラスターの特色として、電子不足─例えばクラスター固体中でボンディングしているB12正二十面体は2個電子不足の状態(intraicosahedral bonding=26+outward bonding=12-12x3=2)─であり、多ホウ化物は一般的に絶縁体/半導体である。電気的には超伝導などの多彩な物性を示す下地があまりないわけであるけれども、後述するように絶縁体ならではの新規な磁性が発見されたり、またホウ素骨子の半導体性を利用して、その強固な骨子の特色である優れた高温での安定性、化学的安定性、また、クラスター化合物の側面から来る熱伝導率の低さに着目し、高温の熱電材料としての新しい可能性を探った。一方で、ホウ素を含む2次元的なネット状化合物においては、特に面内に多彩な自由度を持つホウ素と炭素の混合面から成る[B/C]層状化合物に注目して研究を進めた。最近ホウ素と炭素の混合面[B/C]を持つ初めてのグラファイト層間化合物GICが見出されたが、新しい合成法によってMgB2関連の[B/C]化合物のドーピングも進めた。現在までにLi原子置換によって金属までの転移の誘起に成功したことが示唆された。また、ホウ化物にまつわる話題として、Nature誌等で報告されて世界中で大変注目されていた高温強磁性現象が実はintrinsicなものでないことを示す強い証拠を提示することも出来た。そして何故ドープされているCaB6試料においてドープされていないものに比べて強磁性を観測する傾向があるのかの説明も初めて与えた。この成果は改めて、僅かな量ではあれ試料の不純物の物性に及ぼす大きさ、また厳密な評価やホウ素系化合物における高純度化合成手法の確立の重要性を示すことが出来た成果である。
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研究分野
  • 無機化合物の磁性
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(2) T.H. Geballe, B.T. Matthias, K. Andres, J.P. Maita, A.S. Cooper, and E. Corenzwit, Science, 160, 1443 (1968).
(3) T. Mori and T. Tanaka, J. Phys. Soc. Jpn, 68, 2033 (1999).
(4) T. Mori, F. Zhang, and T. Tanaka, J. Phys.: Condens. Matter 13, L423, (2001).
(5) T. Mori and T. Tanaka, IEEE Trans. Mag, 37, 2144 (2001).
(6) T. Mori and T. Tanaka, J. Alloys. Comp, 288, 32 (1999).
(7) T. Mori and T. Tanaka, J. Phys. Soc. Jpn, 69, 579 (2000).
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(10) F. Iga, Y. Takakuwa, Y. Takahashi, M. Kasaya, T. Kasuya, and T. Sagawa, Solid State Comm. 50, 903 (1984).
(11) T. Mori and T. Tanaka, J. Alloys. Comp, 348, 203 (2003).
(12) F.D.M. Haldane, Phys. Lett., 93A, 464 (1983).
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(24) T. Mori and S. Otani, Solid State Comm, 123, 287 (2002).
(25) C. Meegoda, M. Trenary, T. Mori, and S. Otani, Phys. Rev. B 67, 172410 (2003).
(26) T. Mori, "High Temperature Thermoelectric Properties of B12 Icosahedral Cluster-Containing Rare Earth Boride Crystals" submitted.
(27) T. Mori, M. Tansho, Y. Onoda, Y. Shi, and T. Tanaka, Phys. Rev. B 62, 7587 (2000).
(28) T. Mori, Y. Shi and T. Tanaka, Mol. Cryst. Liq. Cryst, 340, 83 (2000).
(29) T. Mori and S. Otani, J. Phys. Soc. Jpn, 71, 1789 (2002).
(30) J. Nagamatsu, N. Nakagawa, T. Muranaka, Y. Zenitani, and J. Akimitsu, Nature 410, 63 (2001).
(31) T. Mori, J. Mat. Sci. Lett, 20, 1857 (2001).
(32) N. Harima, Physica C 378-381, 18 (2002).
(33) T. Mori, Current Appl. Phys., 4, 276 (2004).
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/秩序と物性
研究報告資料
  • 森 孝雄. ホウ素系ネットワーク物質における物質制御(層状酸化物の選択的組成制御と新機能の開拓). さきがけライブ2004 ナノテクノロジー分野合同研究報告会 「秩序と物性」領域 講演要旨集(研究期間:2001-2004), 2005. p.74 - 87.

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