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電位依存性チャネルの完全化学合成と新機能創製

研究報告コード R090000007
掲載日 2009年2月20日
研究者
  • 井上 将行
研究者所属機関
  • 東京大学 大学院薬学系研究科
報告名称 電位依存性チャネルの完全化学合成と新機能創製
報告概要 我々の神経の細胞膜に存在するイオンチャネルは、リガンドや電気的刺激により迅速に開閉が制御され、特定の無機イオンを選択的に透過させる。神経細胞はこの基本構成分子を巧妙に使い、信号伝達を制御する。巨大かつ高機能な膜タンパク質であるイオンチャネルの分子量は、一般に10万を超える。ポリセオナミドB(1)は、伏谷・松永らによって、海綿 Theonella swinhoei より単離・構造決定された天然有機化合物である(図1)。現在までに知られるペプチド天然物の中で、最大の分子であり(分子量5000)、培養癌細胞に対して、イオン透過に由来する強力な毒性を示す。多くの非タンパク質構成アミノ酸を含む48残基がD体,L体交互に並ぶことが、最大の構造的特長である。この特異なアミノ酸ユニットの存在と配列によって、タンパク質にはないフォールディング様式であるβ-ヘリックスを形成する。結果的に、長さ3nm・内径0.4nmの細胞膜貫通型ナノチューブとなり、単分子でイオンチャネル機能をもつ。また、一価カチオンの自由な透過の際に、電位依存性を示すことが知られる。我々は、1が一般的イオンチャネルタンパク質に比べて、10分の1以下の分子量でありながら類似の機能を有することに着目し、1を分子基盤とした有機合成化学によるチャネル機能の構築と人工制御を計画した。まず、1に含まれる多くの非タンパク質構成アミノ酸などの部分構造と、細胞毒性・ナノチューブの構造安定性・チャネル挙動との関係の解明を第一の研究目的とした。さらに、得られる構造-機能相関の合理的デザインへの活用による、チャネル機能の人工制御を第二の目的とした。すなわち、化学物質・光・電位変化などの外部刺激に応答する部位の有機合成化学的な付加による、新たな人工制御チャネル、選択的細胞毒性物質の創造を計画した。以上の研究には、1の効率的な分子供給が最も重要な研究基盤となる。
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関連発表論文 1. Inoue, M.; Shinohara, N.; Takahashi, T.; Tanabe, S.; Mizoguchi, Y.; Okura, K.; Itoh, H.; Iida, M.; Matsuoka, S. manuscript in preparation.
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/構造制御と機能
研究報告資料
  • 井上 将行. 電位依存性チャネルの完全化学合成と新機能創製. さきがけ「構造制御と機能」研究領域 平成20年度成果報告会 ~ナノサイエンスを舞台とする若き分子科学者達の挑戦~  講演要旨集. p.13 - 14.

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