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超分子ナノクラスターのキラル科学

研究報告コード R090000008
掲載日 2009年2月20日
研究者
  • 津田 明彦
研究者所属機関
  • 神戸大学 大学院理学研究科
報告名称 超分子ナノクラスターのキラル科学
報告概要 キラル(不斉)分子は、右手と左手のように互いに鏡像の関係にある一対の鏡像異性体からなる。生体内では、ほとんどのアミノ酸がD/L体の鏡像異性体のうちL体として存在する。糖質も、天然では多くがD体として存在する。このように、自然界におけるキラル化合物のほとんどは、一方の鏡像異性体への偏り(ホモキラリティー)を持つ。したがって、光学活性物質は、医薬、食品、農薬などへの応用をはじめとして、我々の生命活動と密接な関わりを持っている。このような背景から、不斉合成を基軸とする光学活性物質の合成が盛んに行われてきた。一方、最近では、分子間相互作用による分子や分子集合体の動的キラリティー制御による様々な新概念が生み出され、超分子キラル科学として大きな関心を集めている。これまでのキラル化学のほとんどは、分子スケールあるいはポリマースケールの化学において発展を遂げてきた。しかしながら、それらの境界領域にあるナノスケールの物質を用いたキラル化学は、これまでほぼ未開拓な研究分野となっていた。このような背景から我々は、「超分子ナノクラスターのキラル科学」を研究テーマに掲げ、デザインされた色素分子の自己集合化によって形成される分子ナノアーキテクチャの開発とそのキラル科学への展開を企てた。溶液中において超分子集合体は、集合と解離のダイナミクスを持ち、その構造や性質は、さまざまな物理的および化学的刺激に応答して動的に変化する。ナノスケール化合物による分子認識は、分子スケールのそれとは異なって、主として分子や金属イオンなどのクラスターを認識対象とする。さらに、超分子ナノクラスターのサイズがポリマー化などによって大きくなると、溶媒分子との流体力学的相互作用などマクロな力の影響も無視できなくなる。したがって、得られる現象に対する理解には、分子レベルだけでなくマクロな視点からのアプローチが必用となる。複数個の色素分子が規則的に整列・配向して形成する超分子ナノクラスターは、動的な構造変化を生じるとユニットのπ共役構造や励起子相互作用が変化する。その結果、電子的および光学的性質に大きな変化が生じ、それらは分光学的性質の変化としてアウトプットされる。このような色素分子集合体の特異的な性質をプローブとすることによって、我々は、炭化水素溶媒のキラリティーや攪拌によって生じる渦のマクロなキラリティーの分光学的視覚化に成功した。さらに分子集合体の動的ふるまいを利用し、巨大環状ポリオキソメタレートとπ共役ポリマーから、擬ポリロタキサン構造を持つ無機・有機ハイブリッドナノファイバーの構築に成功した。
画像

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研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/構造制御と機能
研究報告資料
  • 津田 明彦. 超分子ナノクラスターのキラル科学. さきがけ「構造制御と機能」研究領域 平成20年度成果報告会 ~ナノサイエンスを舞台とする若き分子科学者達の挑戦~  講演要旨集. p.15 - 16.

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