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電子増強振動分光法の開発と応用

研究報告コード R090000016
掲載日 2009年3月6日
研究者
  • 由井 宏治
研究者所属機関
  • 東京理科大学 大学院理学研究科
報告名称 電子増強振動分光法の開発と応用
報告概要 分子の振動エネルギー領域のスペクトルは分子骨格や置換基レベルでの構造・環境情報を鋭敏に反映する。そのため振動分光法は、化学はもちろんのこと、材料や生物の分野でも必須な分析ツールとなりつつある。振動分光法としては赤外吸収が広く一般に普及しているが、信号が大変高感度である反面、水分子が赤外光を強く吸収してしまうため、水中の計測に弱いといった弱点を持つ。一方ラマン散乱は、水中の計測への適用に適しているものの、信号が赤外吸収に比べて大変微弱(10-10程度のオーダー)であり、研究室レベルでは広く用いられるものの、一般にはさほど普及していないのが現状である。しかし今後の生命科学や環境化学において、水中における極微量にしか存在しない分子について、その微細な構造や相互作用の変化を追跡する重要性は一層増すことに間違いなく、ラマン散乱の信号増強法の発展が強く望まれている。しかしその増強法としては、1974年に報告された表面増強ラマン効果(SERS)が現在あるのみで、しかもその適用は特殊処理した金属表面や、金属ナノ粒子表面への吸着分子に限られていた。本研究では、電子のもつ局所電場を利用した新たな振動スペクトル増強法の開発と応用を目的とする。測定対象としては「水分子」を中心に据えた。その理由は、水分子は蛋白質などの生体高分子の水和による構造化や機能発現、環境・電気・触媒化学で重要な固体表面化学反応への寄与から注目を集めながら、SERSによる増強効果を得ることができないためである。また不均一系だけでなく、信号の積算に時間が要求される均一系や既存の振動分光手法への適用も検討した。
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関連発表論文 ・*H.Yui, T.Nakjima, K.Hirao, and T.Sawada, Electron enhanced vibrational spectroscopy: Theoretical approach, Anal. Sci., 24, 111-114(2008).
・*H.Yui, T.Tomai, M.Sawada, and K.Terashima, Spectroscopic Study of Water-Electron Interactions at the Very Early Stage of Laser-Induced Plasma Generation in Supercritical Water, Submitted to Phys. Rev. Lett.
・*H.Yui, H.Kato, Y.Someya, Characteristic wavenumber shifts of the stimulated Raman scattering from interfacial water molecules induced by laser-induced plasma generation at air/water and water/silver interfaces, J. Raman Spectrosc., 39, 1688-1693(2008).
・K.Konno, I.Shiina, and *H.Yui, Application of Vibrational Circular Dichroism Spectroscopy to the Determination of Absolute Configurations and Conformations of a Hydroxylic Chiral Molecule in Solutions, Submitted to Anal. Chem.
・*H.Yui, Electron enhanced Raman scattering and its applications in solution chemistry, Anal. Sci., 23, 769-774(2007)(Cover Article).
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/構造機能と計測分析
研究報告資料
  • 由井 宏治. 電子増強振動分光法の開発と応用. さきがけ 3領域合同研究報告会 講演要旨集「構造機能と計測分析」. p.9 - 12.

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